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「おっ、いたぞ! スラマルの友達だ!」
木陰に、二体目のスライムを発見した。
要領は掴んでいる。今度は簡単にテイムできそうだ。
「君はここで見てて。すぐに終わるから」
スラマルを優しく地面に降ろす。
付近に生えた光苔の胞子を体表で反射して、スラマルの体がキラキラと薄緑色の光を映しとっている。
"おぉ、新しく仲間を作るのですね! カイト様、ご武運を"
スラマルが体を縦に伸ばして左右に振り始めた。
まるで、フレーフレーと応援してくれてるみたい。心強い応援団長だ。
「行くよっ!」
槍を逆向きに構え、石突きのほうでスライムを叩く。
的を絞らせないように走り回りながら、ツン、ツン、ツン……と、優しくね。
「負けを認めるかい?」
地面とスライムの間に槍を潜りこませ、そのまま持ち上げてコロンと転がす。
突いては転がし、叩いては放り投げ。やられたい放題のスライムは、すぐに戦うことを諦めて逃げ始めた。
よし、今だ!
「一緒に強くなろうね……テイム!」
新たな従魔との繋がりが構築されていく。
今回も無事に成功したみたいだ。
「よろしく! 君の名前はコロゾーだよ!」
"コロゾー……なんと素晴らしい名前か。テッペン取りましょうぜご主人!"
コロゾーがポヨンと飛び上がる。ずいぶんとやる気満々だ。
スラマルは従順な犬みたいな感じ。コロゾーは強気なタイプ。スライムによって性格が違うらしい。
個性があるなんて、これは嬉しい発見だ。
【名 前】 コロゾー
【種 族】 スライム
【レベル】 1
【魔 力】 1/1
【筋 力】 1
【防御力】 1
【スキル】 なし
ステータスは、スラマルと変わらないね。
みんな同じなのかな?
【名 前】 カイト・フェルト
【適 性】 スライム超特化テイマー
【レベル】 3
【魔 力】 1/3
【筋 力】 5(4)
【防御力】 5(4)
【召喚枠】 0
【スキル】 テイム、モンスター鑑定
よし、僕も強くなってる!
すごいぞ、ワクワクしてきた!
一人と二体で最強を目指す。待ってろよザンブ……オークだろうが関係ない。絶対に、僕らがお前を倒してやるからな!
「今日は、スラマルとコロゾーのレベル上げだね。そうだな、僕と同じレベル3を目指そうか!」
スラマルが、体の表面を震わせて喜ぶ。
コロゾーは、高く飛び上がってやる気を見せている。
二体を両脇に抱え上げると、ずっしり重たい。これじゃあ僕のトレーニングだ。
両脚に負荷を感じながら、スライムを探す。
そんなに歩く必要はないんだけどね。『スライム見たけりゃ五歩進め』なんて言葉があるほど、そこらじゅうにいるんだから。
……ほら、もう見つけちゃったよ。
「いたいた! スラマルから戦ってみよう。危なそうなら助けてあげるから」
"お任せ下さい! ご指示を!"
スラマルが、頭を少しへこませる。分かったよと頷いてるみたい。
昨晩本を読んで勉強したんだけど、テイマーにとって大事なのはモンスターとの絆だ。
この人の言うことを聞いておけば大丈夫なんだって、信頼してもらわないと。
「スラマル、転がって体当たりだ! 全身を強く固めて押しつぶしちゃえ!」
さっき教えた移動方法を早速活かしてみよう。
そんなに長くは転がれないけど、攻撃に使うくらいなら問題ない。
加速したスラマルは、その場から飛び上がるよりよっぽど速かったからね。
「いっけええええぇ!」
ボールと化したスラマルは、回転力を増していく。
どんどん加速して、僕が走るくらいの勢いで敵のスライムに激突した。
意識して体を固めていることで、野生のスライムよりも体表が硬くなっているらしい。ぶつかった瞬間、湖に岩を投げ込んだかのような――バチュンというなかなかの威力を感じさせる音を鳴らす。
"カイト様、やりました!"
核にまでダメージを与えられたようで、一撃で勝負が決してしまった。スラマルも大喜びだ。
薄膜が破れて、敵のスライムの体から中身の液体がドロドロと漏れ出していく。
皮と核だけが地表に残り、モンスターが死んだという証明である紫色の煙が立ち昇る。
この煙は、モンスターの魂とも言われているが、ほとんどの人は経験値と呼ぶ。
経験値がスラマルの体に吸い込まれて、溶け込むように消えていく。
「凄いじゃないかスラマル! 一発で倒しちゃったよ! コロゾー、見てたかい? 体を固めてやれば、あれだけのダメージが出せるんだ」
偉そうに言ってるけど、僕だって驚いてる。
なんだか学校の先生の気持ちが少し分かった気がするよ。
"これも主君のご指導の賜物です"
僕がスラマルの体を撫でてやると、嬉しそうにフルフルと体を揺らす。
"そんなやり方があるなんて……。このコロゾー、びっくりして核が体から飛び出すところでした。もしやご主人……天才ですか?"
飛び上がる体当たりしか知らなかったコロゾーにとって、よほど衝撃だったのだろう。体を仰け反らせて感激を表現しているようだ。
テイマーとしての一歩を踏み出せた気がする。




