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梅雨シーズン。お出かけすることになりました。


(6・15 AM5:20)


「暑い・・・」


外は相変わらずの雨。

蒸し暑く、ジメジメ感をつれてくる梅雨の時期。

椿はたまらず起きてしまった。


(リビング)


「ふぁ~気持ちいい!」


椿の視界に入ってきたのは・・・庭で雨を全身で浴びている蓮流の姿だった・・・。


「蓮流さん・・・ずぶ濡れじゃないですか?風邪ひいちゃいますよ!」

「うん?大丈夫!こんな雨、久しぶりだ!」


「でも・・・」


するとそこへ、火燐と風燕がやってきた。

火燐の耳の毛が静電気で毛羽立っている姿を見て、椿は笑わずにはいられなかった。


「おま・・・そんなに・・・ハハハハハハハハ・・・・!!!」

「風燕も椿ちゃんもひどいべや!!」

「だって・・・すごい事になってます!」

「本当に?蓮流!俺そんなにすごい事なってるべか?」

「なっとる!!俺と一緒に水浴びする?きっと直るよ!」

「それはいい!風邪引くから!」

「そっか!じゃ、俺もそろそろあ~がろ!」


そういうと、蓮流は自分で持ってきたバスマットを敷き、縁側に上がると、タオルで身体を拭き始める。


椿は、蓮流の背中が少しキラキラ光っているのを見つけた。

よく見ると、背骨のラインに鱗。オーロラのように様々な光を放っていた・・・。


「どした?」


見とれていると、風燕さんに不思議そうな顔をされた。


「蓮流さんの背中がキラキラしてるなって・・・」

「そりゃそうだろ。だって、あいつは半魚人なんだぜ。鱗ぐらいあるよ。」

「そ・・・そうなんですか。」


すると、その話に蓮流さんもはいってきた。


「そうそう。ちなみにエラとヒレは無いよ。ほら。」


そういいながら、蓮流は椿に首元を見せ付ける。


「本当だ。エラ無い!」

「でしょ。親父の成分は鱗の部分だけ。」

「お父さんが魚人なんですか?」

「そだよ。親父が魚人でお袋が人間。」

「そうなんですか。」


そのとき、彼らの会話を塞ぐように風燕が入ってきた。


「で、訳あって、ここに来たって感じなんだよな。」

「そ、そうなんだ。いろいろあってね・・・。」

「そうなんですか・・・。」


少しあわてている蓮流の様子を見て椿はこれ以上、蓮流の家族のことは聞かない事にした。



(6・16 AM5:50)


この日も雨が我が物顔で姿を見せていた。

椿が窓を覗くと、蓮流がまた水浴びをしている。

しかし椿には、違って見えていた。


少し悲しそうに・・・



(6・17 AM5:36)


この日も雨

この日も蓮流さんは水浴びをしていた。


リビングに降りると、縁側に蓮流さんが頭にタオルをかけながら、縁側でぼーっと座っていた。


「蓮流さん。」


椿は声を掛けるが蓮流からの返答はない。


「蓮流さん!」


3回読んだところでやっと蓮流に声が届いた。


しかし振り向いた蓮流の目は、赤く充血していた。


「蓮流・・・さん・・・」

「あ・・・変なとこ見られちゃったな・・・」


蓮流は、空を仰ぎ見るように頭の方向を上にあげていた。タオルの上から手で押さえ、目を隠していたが泣いていた。


「ど・・・どうしたんですか?何かあったんですか?」


椿は、慌てながら事情を聴こうとするが、蓮流の涙が止まらなかった。


「蓮流。」


後ろを向くと、そこには禮漸がいた。


「とりあえず、部屋戻っとけ。」


禮漸がそう言うと蓮流は向くっと起き上がり、そのままリビングを後にした。



「大丈夫なんですか?」

「ちょっと昔のことを思い出しただけだから大丈夫だよ。きっと」


禮漸は、そういいながらキセルの中の葉に火をつけ、一服する。



椿は不安でならなかった。


不安でしかたなかった・・・



(蓮流の部屋)


「今日は無理して水浴びすんじゃなかった・・・」


蓮流は、そういいながらベットの上であぐらを組み、泣いている。



「また思い出しちまったじゃねぇか!」



そう言うと、右の拳を思いっきりベットに叩つける。

心の中の気持ちにぶつける様に・・・




何度も




何度も・・・





(緑涼の部屋)


「緑涼さん・・・」

「お、禮漸か。どしたべ?」

「今日、蓮流がちょっと・・・」



「あっ・・・」



緑涼は、何かを思い出すかの様に、ゆっくり禮漸のいる方に顔を向け始める。


彼らは顔を見合わすと、石像の様に固まってしまった。



(縁側)


「蓮流さん大丈夫かな・・・」


椿は、庭を見ながら、ただただサイダーの瓶に口をつける。

蓮流のことが心配で、サイダーのシュワとした飲み口も、味も感じなくなっていた。




“クシュン!”




誰かがくしゃみをする様な音がどこからともかく聞こえてきた。

椿は、傘もささずに庭に飛び出して探したがわからなからない・・・



「気のせいだったのかな・・・」



椿は、そのまま上がろうとしたがずぶ濡れでドロドロ・・・


「椿ちゃん!!」

「おま・・・何やってんだよ、おい!」

「ちょっと・・・いろいろ・・・」

「今、タオルとか色々持ってくから・・・」

「服かしてあげるべ!待っててね~!」

「あうわけねぇだろ!とにかく縁側座っとけ!まったく。」


たまたま、火燐さんと風燕さんに発見され、そのまま椿は、風呂場に連れて行かれた。


(緑涼の部屋)


「明日。」


緑涼は、思い口を開いてそう言った。


「行きますか、明日。」禮漸もつられる様にそう答える。

「あぁ。じゃ、みんなにも伝えに行くか。」

「そうっすね。」


そういながら、禮漸は部屋を後にした。



(椿の部屋)



コンコン・・・



「入っていいか?」


あっ禮漸さんだ。



「どうぞ。」



ガチャ



「ごめんな・・・いきなりなんだけど、明日、みんなで日帰り旅行に行こうかって。」

「日帰り旅行ですか!いいですね♪どこに行くんですか?」



「う~ん・・・ある意味蓮流の生まれ故郷みたいな所。少し遠いから6時位に出るよ。」


「6時・・・早いですね。」


「うん。でね…昼飯の弁当も頼みたいんだけど・・・」

「わかりました。じゃ、早起きして沢山作りますね!」

「ありがと。急なのにごめんな。」

「大丈夫ですよ。」



「あと、魚類厳禁で。」



魚類厳禁・・・?


まさか・・・



「蓮流がきたその日に、晩ご飯で鰈の煮付け出しちゃってな。そしたらその鰈が、あいつの親戚一家だったらしくて、家中大騒ぎになったことがあってさ・・・」



やっぱりそうだったんだ・・・

だから、今までご飯に魚が出てなかったんだ。



「ソーセージとか蒲鉾とかは大丈夫だけど…いろいろごめん。」


「わ…わかりました。色々考えてみます。」


「よろしく♪」



ガチャ




お弁当大変だ・・・



(6・18 AM 4:36)



「メイクも完了!服も着替えたし・・・・弁当作るか!」



昨日ネットでいろいろレシピ探したし、たぶん喜んでもらえるよね・・・


それにしても・・・眠い。



(キッチン)



何か置いてある・・・。



「手紙・・・?」




“いなりずしつくってください。 かりん”




「稲荷寿司か・・・リクエスト2つ目だ・・・」



油揚げあるかな・・・?



ササッ・・・



「???」



スリスリ・・・



「なんか・・・足元にふわふわした感覚が・・・」



チラッ・・・





ジ~~~~~~~~~~~っ




白い狐が・・・


油揚げ咥えながらこっち見てる!!




「火燐・・・さん?」




ポン!!



やっぱりそうだった・・・(焦)



「やっぱり椿ちゃんだったべ!お弁当!」

「昨日、禮さんに頼まれたから。」

「早起きして待っててよかったべ!!三文の徳ってこれのことか!!」

「そうですね・・・」


朝からテンション高いな・・・私はまだ眠いのに・・・。


「俺も一緒にお弁当作る!!」

「じゃ、今からそこの紙に書いてあるおかず作るので、手伝ってください。」

「わかったべ!よーし!」



「やっぱり・・・おめぇって奴は・・・(怒)」



み・・・緑涼さん?



「緑涼・・・?」


「畑行く前にここよってよかった!よかった!」



襟元をガシッ!



「畑、手伝ってくれるべか?火燐!」




ズリズリズリ・・・・




畑に強制的に連れてかれちゃった・・・

でも、これでやり易くなったかも!

よ~し!まずは、から揚げから作っていこう!!



(6・18 AM5:25)


「出来た・・・ついでに朝ごはんも出来たし!」


3段のお重にみんなのお弁当

そこに入らなかったものとお味噌汁とかサラダとかいろいろ・・・朝ごはん。


そろそろみんな集まってくるような気がするからそろそろ準備しよう。


(あの世)


「正嗣~!ただい・・・ま…クシュン!」


正嗣の前にいたのは、尻尾が2つある黒猫。部屋に入るなり、黒猫は、女の子に変わっていった。



「月見ちゃんおかえり!うわ!びしょ濡れ。」


「風邪引いたかも・・・クシュン!」

「あの雨じゃねぇ・・・」


正嗣は、月見の為にタオルを出しながらこう続ける。


「で、どうだった?」


月見はタオルで頭を拭きながら見てきた現状を話し始める。


「特にトラブルは無かったよ。強いて言うなら、火燐が椿ちゃんにべったりって感じ。」

「そっか・・・ちょっと心配になってきたな~。椿が。」


正嗣は、不安そうな顔をしながらコーヒーカップに口をつける。


「そこは、緑涼ががっちりガードしてるよ。」

「緑涼、よくやった!ちょっと安心かも。」


正嗣は思わすガッツポーズをしてしまった。月見はその光景を見ながら少し笑ってしまった。

正嗣になぜ笑ったか聞かれたが、次のように話をそらしてしまった。


「あっ!なんか今日みんなで、どっか出かけるみたい。」

「そうなんだ。どこか聴いた?」


「うん。蓮流の実家みたいなこと言ってた。」

「そっか…もうそんな時期がきたんだな。」


正嗣の眼がどこかを遠くを見つめているように感じた月見は、正嗣に疑問をぶつけてみる。


「何かあったの?」

「色々ね。さ、向こうに帰る準備しょうかな。」

「お盆だね。でもまだ2か月あるよ。」

「色々そろえていこうと思ってね。」

「ふ~ん。電車で帰るの?」

「一応。こっち来てすぐに、チケット貰ったし。初盆だからって。ほい。」


正嗣は、サッと月見に電車の切符を渡す。


「へ~本当だ。しかも往復乗車券だし。はい。」


印字された表示をすっと見ただけで月見は切符を返した。


あの世では、お盆の時だけの交通手段がある。基本は、あの世とこの世を結ぶ特別電車である。それ以外にも船などの交通手段があるようだ・・・。


その時、切符を受け取った正嗣の口からぽろっと言葉が飛び出した。



「母さんと一緒に帰れたらな・・・」



月見は正嗣のことが少し不安に思えてしまった。それは、最初に会ってからずっと感じていたことなのだが、その気持ちがさらに大きくなった気がしていた・・・。


「見つからないの?」

「そうなんだ(泣)なんか他に捜す方法ある?」

「う~ん・・・場所がわかればいいから、川の近くの役所とかいいかも。」

「役所か・・・」


三途の川のほとりにある役所。

この場所は、人間の世界でいう役所と、警察や裁判所など様々な機関が合体したような場所である。


「あそこ、公的書類の申請したり、色んな相談窓口とかあるからいいかも。」

「一回いってみるか。他にも色々相談したいし。」


あの世に来て1ヶ月。まだ生活に慣れていない正嗣は、ここに一度相談してみようと決めた・・・。



(玄関)


玄関では、禮漸以外のメンバーが待っていた。

椿は、蓮流と軽く話をしている。


「あとは、禮漸と車だけだな。」

「車で行くんですね。」

「それ位、遠いんだわ。俺の実家。」

「そうなんですか?」


「ここから3時間ぐらいかかるから・・・交通手段も皆無といっていいほど無いし。」


その時、緑涼は、何かを思い出すかの様に火燐を見て・・・


「それより、火燐!ちゃんと耳隠してるな。」


と確認していた。



「そこは大丈夫だべや!」



その言葉を聴いて、椿の目線は火燐のほうに・・・。


「あっ!耳が変わってる!」

「人間に変化したんだ~ま、着いたら戻すけど。」


火燐は、椿に自慢するようにそういった。

しかし、その言葉を聴いた途端に、風燕がくい気味に話しに入ってくる。



「ダメだって!前にいった時も、人間にバレかかっただろ!」

「そうだっけ?」



その話に今度は緑涼と蓮流が乱入。


「あの時は、正嗣が、隠してくれたべな。」

「そうだね。猫耳とかつけるのが好きな子でとか言って。」



その会話で風燕は何かを思い出し、笑い始めた。





「ちなみに今日は狐なんですって・・・ハハハハハハ!!!!!!(笑)」






親父・・・すごいフォローしてんじゃん。


私にできるかな・・・そんなこと




火燐は、むきになりながら、風燕に怒鳴った。



「ちゃんとするべや!向こうでも!」



そこから喧嘩に発展しかかり・・・。


「それが出来てないからいってんの!」

「できるもん!」

「絶対できない!」

「出来るべ!絶対出来る!」


「はいはい、そこまで!揉めない!」


止めたのは、帰ってきた禮漸だった。

火燐と風燕の頭をキセルでぽんと軽く叩く。


「毎回毎回お前たちは・・・いつもこの事で揉める。」


「だって、風燕が・・・。」


「だってじゃない!」


「「ごめん。」」

「じゃ、行くぞ!」


玄関を出ると、椿の前には大きな車が・・・。




「キャ・・・キャンピングカー・・・」

「やった~!!動く家だ!!」



はしゃぐ火燐の横で、椿は開いた口を塞ぐことができなかった・・・。



こうして、彼女達の小旅行が始まった・・・。




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