表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/27

2・14 それぞれのバレンタインデー


(2・10 AM7:26)



Re:バレンタインのことで相談です


ひさしぶり。相変わらず元気してるみたいでよかった。

バレンタインは気持ちを伝える手段だから、どんな形にするかは椿ちゃん次第ね。

私は、彼に内緒で手作りするつもり。市販にしちゃうと“どこの?”とかいって研究しそうだから(笑)

チョコのレシピ一緒に添付しておくね。がんばれ! 美月




「私次第か・・・。」



椿はそういいながら、添付ファイルを開けていく。完成写真と材料、作り方、それにそのお菓子にあう飲み物まで事細かに記載されている。


「材料、買いに行かなきゃ。でも、どうやって・・・あっ!」



数秒後


椿のパソコンの画面は、通販サイトのトップページを表示していた・・・。




(2・11 AM9:18)



ピンポーン・・・



「宅配便で~す。」


「は・・・」


「は~~~~~~~~~~~~~い!!」



蓮流が出ようとしたので、つかさず椿がカット!

そのままの勢いで商品を受け取ると、部屋へとダッシュしていった・・・。



「椿ちゃん・・・何があったんだろ・・・?」

「なした?」



そこへ緑涼がひょこっとやってきた。蓮流は先ほどの椿とのやり取りを説明。



「椿・・・何があったべや・・・?」

「本当です(泣)」

「隠し事するなんて・・・とりあえず、おらもしばらく様子見るべ。」

「わかった。」



彼らはそう話し合いをし、部屋へと戻っていった。


そのころ椿はというと・・・



「チョコレート、リキュール、ココア・・・。」



中身の確認をしていた。

その後、レシピとにらめっこ。



「問題は、いつ作るかだよね~・・・」



そういいながら、カレンダーを見つめていた・・・。




バレンタインは、椿達のところだけではなかった。



「正嗣さん・・・どんなのがいいかな?」



美佐子は、本を見ながら悩んでいた。

正嗣が甘いものが苦手なことももちろん知っているので、美佐子にとって毎年この時期は悩みの種でもあった・・・。



「あっ・・・そうだ、あれ作ろう(笑)」



美佐子は何かを思い出すと、そそくさと買い物に出かけていった。




(2・12 PM23:25)


男性陣は、緑涼の部屋に集合していた。

話題はもちろん、このごろの椿について・・・



「やっぱり何かおかしいべ、椿。」

「んだ。いつもの椿ちゃんじゃないべや(泣)」

「あの荷物届いてからだよな、蓮流?」

「うん。」


みんなが、口々に何かをいっているのを聞いた風燕は何かに気づく。



「2月・・・もしかして。」



そういうと、緑涼のパソコンをいきなり操作し始めてた。



「こら、いきなり触るな(怒)」

「ごめん、もしかしたらこれかも・・・。」



風燕は、あるページを出す。



「バレンタインデー・・・?」



みんながきょとんとした顔でその画面を見つめている。風燕はつかさず説明に入った。



「バレンタインデーは、毎年2月14日に女の子が好きは男にチョコレートをプレゼントするイベントだ。ま、近年は、友達だったり、親兄弟に渡すケースもあるみたいだけど。」



そういうと、風燕はじっとパソコンの画面スクロールさせていた。

「お返しイベントとして、3月14日にホワイトデーというのもある。これは、男の子が女の子にお返しのお菓子を渡すイベントだったと思う。」




「この家、野郎ばかりだから・・・なじみのないイベントだな(笑)」



禮漸はそういうとキセルを銜え、火をつける。




「ま、そうだな(笑)」

「もしかして、あれだべか?この時期に、正嗣がもって帰ってきてたお土産のお菓子のこと?」

「まさしくそれ!結局、正嗣さ~、一口だけ食べて後どうぞって感じだったあれだ。」

「あれか~♪椿ちゃんどんなのくれるんだろう(喜)」



風燕と火燐はそんなトークで盛り上がっていた・・・。



その横で・・・



「椿に・・・好きな人・・・」


「だ・・・大丈夫?緑涼さん?」



緑涼だけが、みんなと逆の気持ちが浮かんでしまっていた・・・。




美佐子はお店で商品を吟味。かごにインを繰り返していた。



「こっちで売っているものでうまく作れるかな?」



そう思いながらいろいろ手にとっては、考え、返したりかごに入れたり・・・



「このくらいでいいかな(笑)」



そういってレジに行こうとした時、あるものが美佐子の目に入る。


美佐子はそれを手に取り見つめるとそのままかごに入れた・・・。



「正嗣さん喜ぶかな・・・10年ぶりのバレンタイン。」





(2・13 PM11:49)


椿はリビングに向かっていた。もちろん宅配で届いたバレンタインセットと美月からのレシピを持って・・・



しかし・・・




「椿・・・なした、こんな夜中に?」




そこには、緑涼の姿が・・・

しかも、酔っているのか眼がとろんとしていて、顔も赤い。



「緑涼さんもどうしたんですか?そんなに飲んで・・・。」

「椿のことが心配で眠れないの!!」



口調も酔っている為にいつもと違う。



「な・・・何が心配なんですか?」


「椿の~様子がおかしいっ!!バレンタインとか言う~イベントで~っ!好きな人のところに行くんじゃないかって~(泣)」



挙句の果てに泣きだした・・・

椿には何がどうしてこうなったのかが分からず、頭の中がパニック状態。



「何で、そうなるんですか!とにかくお部屋行こう!」



椿は荷物をキッチンに置くと、緑涼を部屋まで運ぼうとするが・・・とにかく大きいし重い。なので、救援要請することにしたが・・・



「椿~行かないでくれ~(泣)」



ものすごい力で右腕をつかまれ、引っ張られる。

そのままぎゅっと抱きしめられ動けなくなった・・・・。


息が苦しくなってくる椿・・・




「なし・・・おい、大丈夫か(慌)」

「椿ちゃん大丈夫(慌)」

「何してるんですか、緑涼さん(慌)」



「た・・・す・・・けて・・・(泣)」




騒ぎを聞きつけた、1階部屋トリオ(風燕・火燐・蓮流)があわてて彼らを引き離そうとするが・・・緑涼の力が強すぎて離れない。



「仕方ない・・・火燐!」

「了解だべ!」



そういうと、緑涼の背中をぽんと押す。すると、緑涼は気を失い、そのまま眠ってしまった。その間に蓮流が椿を救出。



「ハァ・・・ハァ・・・」


「大丈夫?」


「半分意識飛んでるぞ・・・椿(怖)」

「大丈夫だべか?」


「蓮流、ビニール袋とか何でもいいから袋用意して!」


「なんで?」



「椿が過呼吸起こしてるからだよ(怒)」




蓮流は、訳が分からないままキッチンにあった紙袋を風燕に渡すと、風燕は椿を起き上がらせ、紙袋を口元に当てる。



「大丈夫か?ゆっくり呼吸しろ、ゆっくりな。」



椿の目を見ながら呼吸を促していく。



「火燐。禮漸呼んできて。緑涼運んでもらおう。」

「わかったべや!」



そういうと、火燐は急いで階段を上がっていく。その間に、椿の呼吸も安定してきた。



「ありがとう・・・。」


「バレンタインだろ?」


「なんで・・・わかるの?」

「時期考えたらそれしかねぇべや(怒)」



椿の質問を怒りで返す風燕。その間に入るように蓮流がこういった・・・。




「心配してたんだよ、緑涼さん。ずっと・・・」



と・・・




その頃、美佐子もバレンタインの準備に取り掛かろうとしていた。


しかし・・・



「何してるの?」



美佐子が頭を上げると、コーヒーカップを持った正嗣の姿があった。



「ま・・・正嗣さんこそ。眠れないの?」

「うん。美佐子も?」


「ま・・・そんなとこ(笑)」



しかし、正嗣にはその嘘は通じなかった・・・



「明日の準備でしょ?下手だな~嘘つくの。見てたら駄目か?」



にこっとしながら、美佐子を見つめる正嗣。

その眼を見ると、美佐子も観念せざるを得なかった。



「10年ぶりだから・・・驚かせたかったのに。」

「ごめんごめん(笑)」



そういうと、キッチンの方にやってきて、美佐子を抱きしめると



「楽しみにしてるよ。」



とだけ耳元で言った。

そのあと、コンロに置いてあったケトルのお湯を入れると、コーヒーの香りを漂わせながら部屋へと戻っていった。


美佐子は、ニコニコしながらバレンタインの準備に取り掛かった。



(2・14 AM0:08)


「心配してたんだよ、緑涼さん。ずっと・・・」

「そうだな。俺もいらないこと言っちまったって思うくらい・・・凹んでたしな。」



椿は、緑涼のほうを見る。緑涼は眠っていたが、その周りにはいつも飲む以上のお酒の空き瓶が転がっていた。



「私・・・悪い子ですね・・・。」



椿は思わずそうつぶやいた。



「そうだな。」



その言葉と同時に椿のおでこにぽんと軽い痛みが。目線を上にすると、そこには禮漸の姿・・・。



「今日は悪い子。バレンタインとか言うイベントだから、椿はみんなを驚かせようとしたのかもしれないけど、緑涼さんは心配性なところがあるから(笑)」



「・・・。」



「とにかく、朝起きた時にでも緑涼さんに謝るように。」


「・・・わかりました。」



「じゃ、楽しみにしてる。でも、遅くてもいいから、体壊すなよ。」



そういうと、禮漸は、風燕たちに指示を出し、男性陣総出で緑涼を部屋まで運んでいった。



「・・・はじめなきゃ・・・・。」



椿の足は、キッチンへと向かっていった。



(2・14 AM8:19)



「う~・・・頭が・・・。」



緑涼は、ひどい頭痛と吐き気(=二日酔い)で眼を覚ます。窓からは光が射し、時計を見ると8時を回っている・・・。



「やば・・・畑・・・行かない・・・と・・・」



必死で布団から出ようとするが、体が思うように動かない。緑涼は、ただ布団の中でもがいていた。



コンコン・・・



「ふぇ~い・・・。」


「緑涼さん・・・大丈夫ですか?」



部屋に入ってきたのは、椿。手には、マグカップを持って・・・



「椿・・・」

「寝ててください(笑)」

「でも、畑・・・」

「今日はみんなで収穫したから、大丈夫。」



椿はそういうと、緑涼にマグカップを渡す。


「ふ~っ・・・」

「落ち着く?」

「落ちつくべ(笑)」

「よかった。朝から作ったんだよ、野菜スープ。とにかく今日はゆっくりしてね(笑)」



そういうと、椿は二日酔いの緑涼を布団に戻す。



「あと・・・心配かけてごめんなさい。」


「本当だべ(笑)」


緑涼は、少し笑いながら椿の頭をやさしくぽんとたたいた。



「私・・・好きな人いないから。みんなが好きだから・・・心配しないで。」



「ありがと。おらも椿が好きだ。おらの娘だから・・・本当に心配したんだぞ、どっか行っちゃうんじゃないかって(泣)」



「ごめんなさい。みんなを驚かせたいから・・・。」



そういうと、緑涼に淡い緑色のカードを渡す。




緑涼さんへ


いつもありがとう。

これからも、私のお父さんでいてください。


                   椿




「チョコ、冷蔵庫に入れてるから。」



そういうと、椿は照れくさそうに部屋から出て行った。

緑涼の眼から、大粒の涙が流れて止まらなくなった。




正嗣・・・おら、やっと・・・お父さんになれた気がする・・・。




緑涼の心の中には、そんな気持ちで一杯になった・・・。




椿が、リビングに行こうとした時、火燐に後ろからぎゅっと抱きしめられた。


「椿ちゃん。チョコおいしかったべ(笑)」

「ありがとう。」

「もう一回作ってほしいべや。」

「えっ!もう食べちゃったんですか!」

「んだ(笑)だっておいしかったんだもん!!」

「どうしよう・・・材料残ってるかな(困)」



「お前らな・・・廊下の真ん中で何してんだ(怒)」



部屋から出てきた風燕が火燐たちの様子を見てイライラ・・・。



「風燕には関係ないべや(怒)」



「はいはい(呆)あっ、椿。」

「何ですか?」



「ありがとな。う・・・うまかったぞ。」



風燕は、顔を伏せるように椿達の横を通り過ぎるとそのままリビングに入っていった。



「と、とにかく・・・離れてください(泣)」


「作ってくれる?それともお嫁さんになってくれるべか?」


「材料が残っていればだけど・・・。って、えっ?」



とんでもない内容の2択を出された椿。答えはもちろん作るしかないのだが、材料がなければ自動的に後者を選ばなくてはならないハイリスクな天秤。その時・・・



パンっ・・・



「何するべ(怒)」



そこには、右手を握り拳にした禮漸の姿が・・・



「それは物事を頼む態度じゃない(怒)」



そういうと、禮漸は火燐を椿から引き離す。そして首元を持つと、そのままリビングに引きずっていった・・・。



「とりあえず、キッチンに行きたいけど・・・。」



椿はそういいながら、キッチンへと重い足を無理やり上げながら進んでいった。



朝、正嗣が眼を覚ますとそこに美佐子の姿はなかった。正嗣は不思議に思いながら、リビングに向かう。リビングに入るといつもと違うテーブルが目に入ってきた。

中央には花が飾られ、テーブルクロスが敷かれ、テーブルの上にはお皿の上に置かれたナッツのタルト。



「おはよう!」



美佐子がいきなり正嗣の背中に飛びついてきた。正嗣は驚いてこけそうになる。



「お・・・おはよう(笑)」

「どう?」



ニコニコとした表情で正嗣を見つめる美佐子。その表情の正嗣はドキッとしてしまう。



「これって・・・」

「思い出した?」



美佐子がそう聞くと、正嗣は目を潤ませながらこう話した・・・。



「あぁ。椿が初めて美佐子と一緒に作ったナッツのタルト。あの時は、みんなでこうやってバレンタインのチョコ食ってたな(笑)」

「でしょ?椿がまだ小学校に入ってすぐの時に、バレンタインのことをお友達から聞いて“私も作ってお父さんにあげたい!”って。」

「うん。あのタルトはすごくおいしくってさ~・・・。」

「小さな手で必死にタルト生地作って、ナッツ砕いて・・・。」

「俺、うれしかったな~♪朝起きたらこうやって置いてあるだもん!コーヒーと一緒に・・・その日、仕事絶好調だったし(笑)」

「10年ぶりのバレンタインは、ちょっと再現(笑)」


美佐子がそういったとき、正嗣は美佐子を抱きしめキスをした。




「ありがとう。やっぱり、美佐子と結婚してよかった。」

「私も。正嗣さんの奥さんにしてくれてありがとう。」



彼らは席に着くと、そのタルトを食べながら楽しい朝食をすごし始める。



(2・14 PM2:09)


キッチンには、温かく甘い香りが広がっていた。

椿が手際よくナッツを砕き、チョコレートを溶かして生クリームと混ぜていく・・・。



「何作ってるべ(笑)」



少し二日酔いが改善した緑涼が、椿の様子を横で眺めている。



「ナッツのタルト。って、もう二日酔い大丈夫?」

「大丈夫だべ。さっき禮漸から二日酔いの薬もらって飲んだから(笑)」



そういいながら、緑涼は冷蔵庫を開ける。そこには、4種類のトリュフがお皿の上にちょこんと乗っかっていた。


「うわ~!!団子みたいだべ!」

「色合い的には・・・ね(笑)でも、味はチョコとミルクと抹茶といちごだよ。」

「そっか・・・ありがと。」



そういうと、緑涼は抹茶味のトリュフを口に入れる。



「うまい!やっぱり椿の作るものはうまい!」

「ありがとう。じゃ、後でこれみんなで食べよう。」

「んだな(笑)」



そういうと、椿は出来上がったタルトを冷蔵庫に入れる。そんな時・・・



「あれ?」

「どしたんですか?」


「なんか・・・チョコの数が減ってるような・・・。」




フワッ・・・




緑涼は、その感覚でこのチョコ減少のからくりを知った。そして・・・



ギュ!



「きゅぁ~~~(泣)」



緑涼は思いっきりそのふわふわしたものを足で踏む!



「み~つけた。ちょっとお口周りが茶色いですが・・・(怒)」



火燐は、尻尾を思いっきり掴み逆さにしている為に動こうにも動けない。



「言ってくれたらあげたのに・・・(怒)」



緑涼はそのまま火燐をつれて、リビングを後にした。


椿は少し笑いながら、その光景を見送っていた。





(2・14 PM3:10)



椿は、ミルで豆を擂っていた。キッチンには、少し苦味のある大人な香りが広がる。

コーヒー豆を摺り終ると、コーヒーメーカーにその豆をいれ、お湯を注ぐと、あとは静かにコーヒーが溜まるのを待つだけ。椿はその間にみんなのマグカップやフォークをテーブルに置いていく。そして、ミルクを温めている横で、冷蔵庫から取り出したナッツのタルトを6つに切り分け、皿に盛り付け、リビングへ・・・。




「おやつできたよ~~~~~~~!!!!!!」




椿は、リビングを出て廊下から男性陣に呼びかける。

みんな匂いに釣られてくるようにしてリビングに入ってくる。


みんなが席につく間に、椿は温めていたミルクを小さな容器に入れて、マグカップの横に置いていった。



「作ってくれたべか(泣)」

「うん♪」



火燐はうれしそうに席について、タルトをじっと見つめている。

椿はその間も、みんなのマグカップにコーヒーを入れたり、砂糖を用意したりしていた。



「お!出来たべか、椿!」

「うまそ~!」



そういいながら、緑涼と禮漸が席に着く。



「なんかうまそうだな。」

「お母さん直伝なんで、味は保障できます(笑)」

「そっか。あっ、蓮流風呂入ってるから少し遅れると思うぞ。」



さらっと報告をしながら風燕も席に着く。



数分後・・・


「ごめん!!遅れた!」

「お風呂中だったから仕方ないですよ(笑)」

「んだ。体が乾燥したりしたら大変なんだろ?」

「うん。命にかかわるかも(笑)」



そういいながら、申し訳なさそうに蓮流が席に着いた。



「じゃ・・・。」


「「「「「「いっただきま~~~~~~~~~す!!!!!!」」」」」」



ゆっくりとした時間の中、みんなが談笑しながらタルトを食べる。違った形ではあるが、椿が幼かったころによくあった光景に近い状態だった。



「なぁ、椿。」


風燕がコーヒーを一口飲んで問いかける。


「さっきさ、このタルトお母さん直伝って言ってたよな。」

「うん。小さいころに一緒に作ったの、お母さんと。」



その話にみんな興味津々。みんなじっと椿のいる方向を見つめていた。



「初めてのバレンタインで、お母さんと一緒にこれを作って、お父さんにあげたの。朝ごはんにこれをテーブルに置いてみんなで食べて・・・。」



「そっか・・・思い出のメニューか。」



緑涼はそうつぶやくと、コーヒーに口をつける。


「うん。お父さんには“甘いチョコ”とかより“苦めのチョコ”使おうって言いながら作ってたんだ。でも、今日は甘めのチョコ使ってるよ。」


「確かにそんなに甘くないべな。」

「大人な感じのお菓子だな(笑)」



火燐と風燕がタルトを口に入れながらそう話す。

すると、椿はにこっと笑ってこういった。



「みんな大好きだから、これを作ったの。このお菓子は、大好きな人にしか送らないって決めてたから。」



と・・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ