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真夜中のお菓子つくり 翌朝、山登りへ


(10・1 PM20:28)


晩御飯も風呂も終え、椿は再び部屋でレシピ探し。



「さつまいも・・・にんじん・・・ほうれん草・・・どれもある。かぼちゃ・・・お米でもお菓子できるんだ。」



様々なお菓子のレシピが目に飛び込んできて、結局何も決まらず。とりあえず候補のレシピは印刷して、リビングにある食材と相談してみることにした。



(10・1 PM22:37)



禮漸が緑涼の部屋に行こうとした時、階段の近くで一枚の紙を発見する。




「何だこれ?ほうれん草の・・・ケーキ?」




これを見て、禮漸は昼間の椿の行動を思い出した。



「あ~・・・そういうことなのかな?」



そのレシピを持って禮漸は緑涼の部屋に向った。


その頃リビングでは



「あれ?一枚足りない?ちゃんと持ってきたのに・・・。」



椿がパニック状態。

レシピが無くなった、誰かに見られてたらどうしようと不安な気持ちでいっぱいになっていた。



(10・1 PM22:40)


禮漸と緑涼は酒を飲みながら、レシピのことについて話していた。



「たぶん・・・椿じゃないかなって?」

「なして?」

「昼間みんなに“嫌いなもの無いですか?”って聞いてるって風燕が言ってじゃないですか。これを作るから聞いたんじゃないかなって・・・」

「は~。それにしてもおいしそうだな、これ。」

「何で気にしてるのかな?料理おいしいから気にしなくていいのにね。」

「んだ♪これのこと内緒にしていたほうがいいべな。」

「きっと、椿なりにびっくりさせたいみたいだし(笑)」


緑涼と禮漸は、椿の気持ちを思い、レシピのことを内緒にすることにした。


(10・2 AM0:15)


「よし!まずは・・・」


さつまいもを角切りして水にさらしたり、人参をすり下ろしたり・・・


したごしらえ。


それから、粉を振るい、混ぜ合わせ。


3つの生地の完成


・さつまいもの蒸し饅頭

・ホウレン草とかぼちゃのケーキ

・人参のパン


それを蒸し気に入れたり、オーブンに入れたり・・・・



(10・2 AM0:52)



「焼きたてか?美味そうだ。」



椿の横から大きな手がすっと伸びて、蒸し饅頭を1つ持って行ってしまった。



「ふぁ、ふぁつい!」



緑涼が、口をパクパクしながら出来立ての饅頭を頬張っている。



「緑涼さん・・・」

「美味い!出来立ては美味しいべや。」



椿は作る事に夢中になりすぎて、近くに緑涼がいる事に気付いていなかった。



「もしかして・・・起こしちゃいました・・・?」



緑涼は、しどろもどろになりながら・・・



「あっ・・・いや・・・ちょっと眠れなくてな!酒でも飲んだら寝れてるかと思って、取りに来ただけだったんだけどな・・・ハハハ(苦笑)」



といって冷蔵庫に入ったビールと、椿の作った饅頭を数個持ってそそくさと立ち去って行った。




(10・3 AM1:07)



「完全に、バレてるじゃないですか(驚)」


「あまりにもいい香りがしたもんだからつい・・・。」



禮漸も唖然。

手には椿が作った饅頭とビール・・・。



「内緒で作りたかったんだろうな・・・どうするべか・・・」



饅頭をつまみに緊急会議。


これからどうするかについて・・・



その頃椿は・・・



「どうしよう・・・緑涼さんにもばれたし・・・」



椿の視線の先には、キッチンの床に座りながら人参のパンを食べる火燐の姿・・・。



「なして隠そうとするべ?」

「今度の朝ごはん驚かそうと思って・・・。」



椿の胸のうちを聞いた火燐は、にこっとしながらこう話す。



「これは驚くべ!でも、作り置きするより出来立てのほうがおいしいべや~。だから、俺達の目の前で作った出来立てがほしいべや(笑)」



そういいながら、火燐はまたパンをふ~ふ~しながら食べていた。


そんな会話をしている時



「椿。」



緑涼が禮漸と一緒にリビングにやってきた。



「緑涼・・・」

「あれ?火燐なしてここに居るべや?」

「おなかが空いて・・・(泣)」


火燐が視線に入ってきた緑涼と禮漸は、泣きそうな火燐を見ると怒れなかった・・・。


「夜中にすいません。起こしちゃって・・・。」

「緑涼、禮漸・・・怒らないであげてほしいべや。みんなを驚かせようと思って・・・」


「誰が怒るって言ったべや?」


そういいながら椅子に座ると、禮漸と一緒にテーブルに置いていた饅頭を食べ始める。


「おいしいから、食べると止まらなくってね・・・(笑)」

「んだ。」


「よかった・・・(泣)」


そこから、真夜中の夜食会が始まった。



「おいしいね~♪」

「でも、この時間に作るのは駄目だ。寝不足になるべ。」

「ごめんなさい。」

「怒らないっていったのに怒ってるべや!」

「怒ってねぇべや・・・」

「芋とか野菜でこれが出来るんだな・・・あっ、緑涼さん。」

「何だべ?」


「山に行きません?紅葉がてらに。」

「紅葉がてら・・・?あっ!」


緑涼はそれが何を意味しているのかすぐにわかった。禮漸ににこっと笑いながら目の前の人参のパンを手に取りかじる・・・。



椿には何を示しているのかが分からなかった・・・。



(10・4 AM8:15)



「おはようございます・・・。」



椿がリビングに入ると、そこには大きな荷物を持った禮漸が朝食をとっていた。



「お、来た来た。椿、今日、裏山に栗とかキノコとか採りに行くぞ!」



キッチンにいる緑涼から、朝いきなり告げられた“山登り”

いきなりすぎて、椿の心の中には“なぜ?”という気持ちでいっぱいである。



「今の時期なら、きっといい食材が取れるべ。たくさん採ってたくさん食べるべ!」


「は・・・はい。みんな行くんですよね?」


「んだ♪たくさん採るにはたくさんの手が必要だべ。それに、みんなで協力したほうが後のご飯がおいしくなるからな~♪」


ということで、山での食材探しがきまった・・・。


(10・4 AM10:28)


「お前達準備できたか?!」


「「「「「は~い!」」」」」


全員ジャージにスニーカー


「じゃ、行くべ!」


大きなかごを背負って裏山に向う。

庭から出て少し歩くと、少しうっそうとした木が生い茂る山道に入る。少し歩くとあの祠につくのだがそこをさらに通過して奥へと進む。



「椿ちゃん大丈夫だべか?」



椿の隣を歩く火燐が声をかけるが、声が出ないくらい息を切らしていた椿。その顔を見て火燐は、椿からかごを外すとすぐさまお姫様だっこ・・・。


「ちょ・・・ちょっ・・・火燐・・・さん・・・」

「しばらくは、俺が椿ちゃんの足になるべや!」


その光景を見た緑涼は思わず・・・


「火燐、何やってるべ!」

「うん?椿ちゃんだっこ!すごく顔色悪いから!」


それを聞いた緑涼と禮漸は椿達のところまで駆け寄ると顔色確認。


「だいぶ疲れとるべな・・・。少し休憩するべか。」

「椿は、少し力をつけないとね(笑)」


ということで、近くの大きな木の根元で休憩。

椿は火燐の膝枕で横になるかたちで休憩をとることに・・・。


「椿ちゃんの疲れた顔もかわいいべ~♪このままずっとこうしてたいべや~(笑)」

「私は・・・結構です・・・火燐さん。」


そう小さくつぶやく椿の頭をやさしく擦る火燐。


「お前が残るのはいいけど、椿は連れて帰るからな(笑)」

「きゅ~・・・やっぱりお家帰るべ(泣)」


禮漸のかなり鋭い突っ込みに火燐も降伏。その光景を見て緑涼達もゲラゲラと笑い始める。

その声が森の中を静かに反響する。

その時、風燕の視界にあるものが入ってきた。


「火燐・・・。」


「何だべ?」


「お前の足元に・・・生えてるやつ・・・舞茸かもしれねぇ。」



「「「「「え?」」」」」



火燐は、下を向くと木の割れ目に大きなきのこをおもむろに引っこ抜いた・・・。

そしてそのままそのきのこの香りを確かめる・・・。



「舞茸・・・だべ・・・」


「・・・よし、持って帰って味噌汁に入れて食べよう!」

「そ・・・そうだべな・・・こんな貴重な食材は、しっかり味わって食べねぇと罰が当たるべや・・・。」



あまりにも貴重なきのこを発見で、幸先のいいスタート。

火燐は、震えながらその舞茸を緑涼に渡すと、緑涼はさっとかごの中に入れる。

それから数分後、彼らは再び歩き始めた。



(10・4 PM12:09)


「風燕!これ食べられるべか?」


緑涼は、木の根元に生えている小さな草の様な物を抜いて風燕に見せる。


「食べられる。」

「よし!」


そういうと、緑涼はかごの中にその草を次々に入れていく。


「風燕!これは食べれるの?」

「これはやめといたほうがいい。腹壊す。」


蓮流が手にしていた小さなきのこを見るたびに毒キノコと判断。

蓮流はそれを元の場所に同じような形で埋めていた・・・。


その頃、火燐と椿と禮漸は栗や木の実の採集。

禮漸が栗の木に体当たりすると、上からたくさんの毬栗が降ってくる。それを火燐がさっと割ると、椿が中の栗を取り出し、かごへ入れていく。



「これだけ栗があると、いろいろ出来ますね(笑)」

「そうだな(笑)じゃ、手始めに栗ご飯してもらおうかな、椿。」

「んだ♪俺も椿ちゃんの作った栗ご飯食べたいべ♪」



禮漸と火燐からの思わぬリクエストに戸惑う椿。


「私、栗ご飯作ったこと無いんですけど・・・」


「無いの?」


「・・・はい。」


「じゃ、俺も一緒に作るべ!」



ということで、火燐さんから作り方を教わることに・・・。



「お!火燐あれも食べれるか?」



禮漸の視線の先には、外の皮が少し割れ、中の小さな実がたくさん見えるもの。



「これ食べられるべ。昔よくこの時期に食べてたべ。」



そういうと、火燐はそれを拾いかごの中へ入れた。


「これって・・・」

「椿知ってるのか?」

「うん。ざくろって木の実で、この頃、健康とか美容にいいって注目の果物。」

「ほ~・・・食べれるんだ、これ。初めて知った。」

「私も、独りで住んでた時にジュースとかで飲んだことはあるけど、生は無いです・・・。」

「これ、おいしいべ。プチってはじけたら少し甘酸っぱい味がする。それがおいしいべ(笑)」


そんな話をしながら、椿と禮漸はざくろを拾い、火燐のかごに入れていく。


(10・4 PM2:37)



「お~~~~~~~~~~~~い!!!!!!!!!帰るべ~~~~~!!!!!!!」



山の中に、緑涼の声が響く。



「どの辺りにいるんだろう・・・緑涼さん達・・・。」

「大丈夫。火燐、分かるな。」

「うん。俺についてきて。」


火燐の後ろを椿と禮漸がテクテクと歩いていくと、さっき休憩した大きな木にたどり着いた。その根元で緑涼達は座って休息中。



「いたべ♪」

「おまたせ!いっぱい採れたよ!」

「ぅお~~っ!栗だべ。」

「今日は、椿に栗ご飯作ってもらうから。」

「俺が一緒に作る♪」


「お前じゃ不安だな・・・。」

「何でだべや!風燕!」

「喧嘩するでねぇ・・・。よし、みんな揃ったところだし、帰るべ!」



「「「「「は~い!!」」」」」



そこから、もと来た道まで戻り、あの祠で少し休憩してまた歩く。

家に着くと、みんなその場にぐったりとしながら座り込む。



「ちょっと休憩したら、今日取れたもの確認していこう・・・。」



椿は、疲れた身体を引きずりながら冷蔵庫に向かい、みんなのお茶を用意していった。



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