表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第六話

夜。ついに作戦が開始された。


「作戦ま開始する。興覇、幼平。行け!」


「「はっ!」


「黄蓋殿は孫策と共に正面へ。あとは作戦通りに頼みます」


「任せておけ。策殿、信龍、行くぞ!」


「了解。……蓮華、行ってくるわね」


「はい。お気を付けて……刹那も」


「はい」


「孫策隊、出るぞ!」


「「「「応っ!」」」」


「黄蓋隊も続く!皆、儂についてこい!」


「「「「応っ!」」」」


雪蓮様の隣を歩き、門正面に立つ。始まる。これから、城に籠もる獣どもを狩る時が。

そして、城から火の手が上がった。それを合図に冥琳殿の隊が矢を放ち、黄巾党を殲滅していく。


「敵の大将旗が倒れました!」


「よし!今こそ決戦の時!皆の者、雄叫びと共に猛進せよ!」


「「「「おおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!」」」」


雪蓮様の言葉に応えるように、各所で兵たちの雄叫びが上がった。


「殺せ殺せぃ!賊を人と思うなよ!餓えた獣を狩りつくせぃ!」


「甘寧隊、追撃する!」


「「「「応っ!」」」」


「周泰隊は敵側方に回り込み、横撃を掛けます!我が旗に続いてください!」


「「「「はっ!」」」」


「刹那!」


「はっ!」


雪蓮様と共に城内に進行し、賊を蹴散らす。雪蓮様が前を進み、俺がその背中を守りながら進む。


「報告します!」


賊を蹴散らしている時、急いで伝令が来た。


「後方より、黄巾党が出現。まっすぐ、こちらに接近中のこと」


後方は確か、蓮華様と穏が居たはず。


「どこから湧いて出た!?」


「それが、突然現れたと」


どういうことだ。この近くにいた黄巾党は全滅した。だとしたら――


「別働隊か!?」


夜になるのを待って、別働隊が後から来る事で、挟み撃ちにするつもりか。頭を使うようになったな。どうする、冥琳殿は総仕上げをしているから、動けない。思春、明命は前線で戦っている。俺が動こうにも、雪蓮様の護衛がある。


「刹那、すぐに後方に下がって、蓮華を守りなさい」


「ですが、それでは、貴女の護衛が……」


「大丈夫よ。賊如きに遅れは取らないし」


「策殿の護衛は儂が引き継ごう」


「祭殿……」


「行きなさい。あなたが呉で一番足が速いんだから」


「御意。蒼流四神技 白虎ッ!」


白虎で、陣に戻った。






蓮華SIDE


刹那の策通り、城から、炎が上がった。それを合図に姉様達が突入した。


「報告します!」


「どうした!?」


「後方より、黄巾党が出現!数は約二千です!」


これが刹那の胸騒ぎの正体か!?

黄巾党が雪崩れ込んできた。


「殺せぇぇぇぇっ!!!!」


「くっ!」


私だって、孫文台の娘、賊如きに遅れをとるものか!

剣を取り、賊を切り伏せる。


「くっ!」


私の前に現れた大男。少しは出来るようだ。


「きゃっ!」


力で勝てるはずも無く、吹き飛ばされた。剣も別の場所に弾き飛ばされた。


「死ねええぇぇぇぇ!!!!」


大男の剣が迫る。手には剣がなく、なす術もない。


(刹那……)


気が付けば、涙が出ていた。


「!?」


急に体が浮き、誰かに抱きかかえられていた。


「せつ……な…」


「ご無事ですか?蓮華様」


私を抱きかかえていたのは、幼馴染みだった。






刹那SIDE


「間に合ってくれ……」


あの胸騒ぎの正体はあれだった。くそっ!嫌な予感ばっかり当たりやっがる!

思春が剣の相手をしていたから、賊如きには負けることは無いと思うが、最悪の事態だけが脳裏をよぎる。


「間に合え……間に合ってくれ」


脳裏によぎる最悪の事態が起きる前に。速く。速く。更に氣の量を増やし、速度を上げる。量を増やしたせいで、負担がかかってくるが、そんな物に気にしてはいられない。

周喩隊の兵の間を縫う様に進み、穏と蓮華様の牙門旗が見えた。

少し進むと、蓮華様が黄巾党の大男に圧倒されているところだった。


「させるかよッ!」


そして、蓮華様が吹っ飛ばされて、大男が得物を振り下ろそうとしていた。再度、加速して大男が得物を振り下ろしきる前に蓮華様を抱きかかえて、救出した。


「せつ……な…」


「ご無事ですか?蓮華様」


「えっ、ええ」


「よかっ、ぐっ!?」


急に背中に激痛が走った。さっきので斬れたか。


「刹那!?」


「大丈夫です。掠り傷です」


実際は掠り傷ではないが。


「蓮華様、穏と一緒に冥琳殿に合流してください」


「だが、その傷では!?」


あれ?気付かれた?演技は上手いほうのはずなのに……


「大丈夫です。必ず帰ってきます」


「……分かった」


「穏!」


「は~い」


調子が狂いそうな、気の抜けた声が聞こえた。実際調子狂ったが。


「数名の兵を連れて、蓮華様と一緒に冥琳殿に合流してくれ」


「了~解でありま~す。行きましょう、蓮華様」


「……ああ。刹那、必ず帰って来い」


「御意!」


そうして、数名の兵を連れて、冥琳殿の方に向かった。


「孫権隊、陸遜隊、これより、黄巾党を叩く。賊に成り下がった、獣どもに身のわきまえさせろ!」


「「「「応ッ!!!!」」」」


「突撃せよッ!」


「「「「おおおおおッ!!!!!」」」」


再び、黄巾党とぶつかる。士気が上がっているため、こちらが押している。


「蒼流剣技 爪龍爪破ッ!」


斬冥を振ると同時に、三つの氣で出来た刃が、賊を切り裂く。この技は、殺傷能力を上げた技で、この技を受けたら、ほぼ確実に死に至る。


「!?」


横から殺気を感じ、後ろに飛んだ。


「……やるじゃねえか。流石は蒼鬼ってところか」


「……………………」


俺を襲撃したのは、黄巾党の賊だった。だが、何か違う。賊と根本的に違う。


「……お前、本当に賊か?」


さっきの動きといい。構えといい。殺気も賊とは全く違う。武芸者そのものだ。


「俺の名は、無月。お前を殺しに来た」


目の前の男、無月。何者だ?


「誰の命令だ?」


「教えるかよッ!」


「ちっ!」


ガキンッ!


初撃は単純な、正面からの斬撃。単純ではあれど、速度が速い。


「おらおらおらおらッ!!」


「くっ!」


そこからの速さを生かした、連撃。防いではいるが、時々斬られている。


「この程度か?蒼鬼さんよぉ!」


「ちっ!嘗めるなッ!」


迫ってきた斬撃を弾き、そのまま無月の胴に蹴りを入れる。


「ぐはっ!」


「蒼流剣技 爪龍爪破ッ!」


「しまっ――」


蹴りを入れ、怯んだ瞬間に爪龍爪破で切り裂く。


「ぐあっ!」


技は完全に決まった。これで死んだだろう。


「!?」


「くくくッ!はははははッ!」


生きてるだと!技は完全に決まったはず!


「はははッ!蒼鬼……俺はお前を過小評価していたようだ。いいだろう。お前は本気で潰してやるよ」


無月の周りの空気が変わった。殺気も質が変わった。


「――解放」


無月の氣が変わった。正確には、無月の氣と別の氣が混ざっているが正しい。そうして、無月の髪が黒から血のような紅に、瞳も黒から紅に変わった。


「!?」


気が付いた時には、無月はすでに俺の後ろに立っていて、左肩辺りを斬られていた。


「ぐっ!」


「分かったかい?これが俺とお前との力の差って言う奴だよ」


無月の体は、俺が斬ったはずの傷が塞がっていた。


「どういうことだ!?お前のと混じっている氣と、さっき俺がつけた傷が塞がっているのは!?」


「お前、鬼って実在すると思う?」


「鬼…だと。……まさか!?」


こいつの言っている通り、鬼が実在すると言うなら、あの混じっている氣は――


「そう!お前が思っている通り、今の俺には鬼の氣が混じっている。この力がある限り、お前は俺に勝てないッ!」


どうすればいい……。鬼の力は未知数。何が起こるかわからない。


「くそっ、あまりこれは使いたくなかったのによ……」


三つ目までなら、いいでしょう?父上。


「蒼流奥義 青竜門。開門ッ!」


体から、何かが外れたような感覚を感じ、青い光を纏い氣が増幅する。この技は、氣の総量を拡張する技。起源は、人間が神を超越するためにや、神に対抗するために生み出された技という説がある。その力は強大で、五つの門を開く時、神に等しき力を得ると言われている。だが、その力を使うにもその負担の尋常ではない。五つ目の門を開いた時には、死が待っている。四つ目までは、生きてはいられるが、どれほどの負担がかかるか分からない。


「へへ、まだ楽しめそうだなッ!」


「時間の無駄だ。早々に片付けるッ!」


この技は時間をかければ、こっちが不利になる。無駄に時間をかけるわけにはいかない。


「蒼流四神技 白虎ッ!」


無月の速度に追いつくためには、白虎で補わないとダメだ。それに、いつもより量を増やさないと。


「へ~え、まだ速くなるんだ。なら、俺も上げようか!」


「ちっ!」


こいつ、まだ速くなるのか!?くそっ!こっちは増幅していく氣を制御しながらなのによ!


「破竜咆哮弾ッ!」


「しまっ――」


ドンッ!


突っ込んできた時に、氣弾を撃った。氣が増幅しているため、威力が倍になっている。


「なーんてな。あんな遅い攻撃じゃ、俺を捕らえられないぜ!」


出鱈目すぎる。あんな速度を出していても、涼しい顔をしていやがる。最速の攻撃じゃないと、仕留められないか。


「んじゃ、ここで死ねやッ!」


「……………………」


斬冥を鞘に戻し、目を閉じ集中する。周囲には、氣を糸状にして、張り巡らす。その氣が無月の正確な位置を教えてくれる。3、2、1、今だ!


「蒼流抜刀術――」


ザンッ!


「なっ!」


「疾風ッ!」


蒼流抜刀術 疾風。刃とは違い、抜刀の速さだけを追求した技。実際は二撃だが、一撃にしか感じられない。


「俺のスピードを超えただと!?」


「残念だったな。これで終わりだ!」


「ちっ!」


再び、疾風で仕留めようとしたが、その前に煙玉を投げつけ、姿を眩ました。


「くそっ!」


試しに朱雀を放ち、煙を払ったが、そこに無月の姿は無かった。


「逃がしたか……ぐあっ!」


技を解除した瞬間に、その負荷がかかった。白虎の分も合わさっている。


「蒼夜様!」


近くにいた、兵達が駆けつけてきた。


「賊は?」


「全滅を確認しました」


「そうか。これより、本隊に合流すると全体にしらせろ」


「はっ!」


そして、一人を残して、他の兵たちは通達しに行った。


「悪いが、肩を貸してくれ」


「はっ!」


さっきの戦闘で負傷した。それに五竜門の一つ、青竜門を開いた代償がある。そのせいで、誰かに肩を貸してもらわないといけない状態になった。

それにしても、無月と言う男。そして、無月を動かしている者。それに鬼の力。


「蒼夜様、もうすぐ本隊と合流します」


「ああ。すまんな」


「いいえ」


「刹那!どうしたのだその怪我は!?」


本隊と合流した瞬間、蓮華様に見つかった。


「とりあえず、治療だ!行くぞ!」


「ちょっ、待って!」


身体中に激痛が走っているため、逃げること叶わず、蓮華様に捕まり、天幕に引きずられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ