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第五話

初戦が勝利に終わり、冥琳殿たちと合流したのいいが……


「…………………」


冥琳殿のお怒り状態が待っていた。隣にいる穏が汗をだらだらと流している。可愛そうに……


「冥琳殿……」


「……どうした?」


やばっ!めっちゃ怒ってんぞ!穏……あなたには同情するよ。


「雪蓮様を止めることが出来ませんでした。申し訳ございません……」


「いや、そもそも、伯符を止めれると思っては居なかった。だから気にするな」


ですよね~。俺も止めれると思ってなかったし。別に、戦いたかったから先行したんじゃないからなッ!


「はい……ありがとうございます……」


「もぉ、冥琳たら、刹那にばっかり優しくして」


あんたのせいで怒ってるんだよッ!


「さて……孫 伯符よ。覚悟はいいか?」


「え?なっなんの話?」


「決まっている。お話しに決まっている」


「私、別に冥琳と話すことなんてないんだけど……」


「お前になくとも、私にはある。行くぞ」


「たっ助けて刹那ぁーーー!!!!!」


「………………(ぷい」


「薄情者ぉぉぉ!!!!」


何も聞こえない。何も聞こえないよ。


「では、儂は休もうかのお……」


ガシッ!


「際殿。貴女にもお聞きしたい事があるので、一緒に来ていただきましょう」


「せっ、刹那。儂を助けって、居ないじゃと!?」


こいう時は、巻き込まれないように逃げるのが得策だ。






「後方に砂塵あり、ですー。どうやら蓮華様たちがやってきたみたいですよぉ♪」


「さすが蓮華様だ。蒼天中央に日輪が至る刻に……という合流時間をしっかりと守ってくれているな」


「そういう融通の効かなさが、心配ではあるんだけどねぇ……」


蓮華様は相変わらず真面目なようだ。

追ってきた牙門旗が止まり、人影がこっちに走り寄ってきた。


「お姉さま!今、報告を聞きました!単騎で敵陣に突入することは、どういうことですかっ!」


「うわっ……」


蓮華様の説教が始まり、蓮華様から逃げ、そのまま俺の後ろに隠れた。


「っ!?刹那……」


「お久しぶりです。蓮華様」


「……………この馬鹿者がッ!」


ドガッ!


「へぶっ!」


予想通り。冥琳殿以上の威力で殴られた。


「私がどれだけ心配したと思っている!今後は、絶対に私に伝えること。分かったな!」


「はっ、はい!」


何なんだ!?この異様な気迫は!?


「さて……と。久しぶりのご対面はこれでおしまい。部隊の再編成をしたあと、すぐに出発しましょうか」


「そうしよう。……興覇、幼平。おまえたち二人は黄蓋の下につけ」


「はっ」


「はいっ!」


「では二人には部隊の再編成を行ってもらおうか。……真ん中は儂の部隊じゃ。二人は儂の両翼につけ」


「了解しました。後曲はどのように配置します?」


「後曲中央に雪蓮の部隊を。右は私の部隊が取る。左は穏が取れ」


「待て。では私の部隊はどうするんだ」


「蓮華様は後曲の後ろ、輜重隊を護衛すると共に、遊軍として待機しておいてください」


「……分かった」


「俺は?」


「刹那は私の横に居てね」


「御意」


「……………………」


やたらと、蓮華様が俺を睨んでいる。まだ許してないのか?


「では部署割りが決まったところで、再編成に移る。一刻後には出発するぞ」


「応」


「はっ」


「はいっ!」


「はーい♪」


「了解」






蓮華様たちと合流を果たし、部隊の規模が膨れ上がり、初戦を勝ちきった勢いのまま、黄巾党本隊が立て籠もる城に着いた。

その城に諸侯が集結していた。


「曹、袁、公孫、それに劉。……良い感じ集まってるわねぇ」


城門近くでは、諸侯の牙門旗が上がっていた。その中で劉の牙門旗に紛れて、十字の牙門旗があった。


「冥琳殿。あの十字の牙門旗は何処の部隊でしょうか?劉備軍に紛れていますが」


「ん?あの牙門旗……見た事がないな。もしかしたら、天の御遣いの軍かもしれん」


「天の御遣い……」


確か、黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す。管輅とかいう占い師の占いらしいが、本当に天の御遣いが現れるとわな。

諸侯と合わせて、兵は十五万。黄巾党は二十万。数ではこちらが不利ではあるが、黄巾党は訓練を受けてない農民の集まり。五万の兵力差は、質で補える。

だが、諸侯が求めているのは名声。連携すれば圧倒的ではあるが、連携は難しいだろう。


「穏。確か城内の地図があったはずだが」


「ありますよーもともと太守さんの持ち物だったお城ですからね。……はい、これですー」


「すまん……」


「……厄介な城だ……」


「攻めづらく、守りやすい……まさに教科書のようなお城ですねぇ……」


「全軍を展開出来るのは全面のみ。左右は狭く、大軍で攻めるには無理がある、か」


「……後ろには絶壁がそびえていて、回り込むことは不可能でしょう」


「雪蓮様。面倒だからと、正面から突入なんて考えないでください」


「げっ、なんで気付いてるの!?」


「勘です」


この人は本当にしそうだから怖い。


「……刹那」


「なんでしょう?」


「おまえの意見を聞かせてくれ」


「分かりました」


城の地図をもう一度見直す。真ん中にあるのが本丸。そしてその横に宿舎、更にその横に倉が並んでいる。


「……倉の辺りが死角になっている」


「あ、そう言われれば……そうですねぇ」


「黄巾党がこの城を本拠地としている以上、兵糧は倉の中に保管されているはず。ならばここを潰すのはどうでしょう?」


「でも、一体どうやって?」


「闇に紛れ、城内に侵入。そして倉に火を放つ。その火で城内は混乱。その隙に本隊が城に突入。黄巾党を一網打尽にする」


「なるほど。際殿。諸侯の軍が引き上げたあと、部隊を正門に集結させてください」


「ふむ。それは良いか……夜襲を掛けるのか?」


「掛けるフリだけで結構。奴らの目を正門に惹き付けるもが狙いです」


「なるほど。囮になる訳か」


「ええ。その後、興覇と幼平の部隊が城内に侵入。放火活動を行います。その状況に合わせて、際殿は雪蓮と合流し、混乱する城内に突入する。……これでどうかしら?」


「良いんじゃない?ワクワクしちゃうわ」


「し、しかし……絶対に成功するという保障が無い以上、お姉さまが前にですのは反対です!」


「蓮華。戦に絶対は無い。……それぐらい分かっているでしょ?」


そう、絶対は戦では存在しない。たとえ、どれだけ強くても、死ぬ事はある。


「しかし……母様が死んだ時と、状況が良く似ていて……」


「城攻めの時に私が死ぬかもって?無い無い。……私が指揮するのは突入部隊だけ。城攻めの指揮は際に任せるもの」


「うむ。承った」


「ね?だから安心して私の背中を見ておきなさい。……孫呉の王の戦いぶりをね」


「………(コクッ」


「聞き分けの良い子は好きよ。……じゃあ蓮華は後方に下がっておきなさい」


「はい……」


「思春、明命。二人はすぐに精鋭部隊を編成し、作戦を検討しておいて」


「「御意」」


「際と刹那、私はしばらく待機。……冥琳たちはどうするの?」


「穏は蓮華様の補佐を」


「了解でありまーす♪」


「私は、雪蓮たちが突入したあとの総仕上げを行う」


その後解散して、陣の構築を行い、夜を待った。






「…………………」


作戦開始まで、もう少し。先ほどから妙な胸騒ぎがする。それがなんなのかは分からないが。


「……一人で何をしている」


「蓮華様……」


後ろを振り向くと、そのには蓮華様がいた。


「何かあったのか?」


「……胸騒ぎがします」


「胸騒ぎ?」


頷いて肯定する。


「取り越し苦労ならば良いのですが……」


雪蓮様ほどの勘はないが、嫌な予感がする。


「そうか……お前なら大丈夫だ」


「え?」


「約束しただろ……私を守ると……だから大丈夫だ!」


約束……してたな。確か、『蓮華を守るために、強くなる』だったか。


「それに、盗賊如き下郎に遅れを取るようなお前でもあるまい」


「くすっ。それもそうですね」


「私はもう行く。……お前も作戦決行に遅れないようにしろ」


「了解。では」


「ああ」

蓮華様を背を向け、戻って行った。

……この胸騒ぎ、何も無ければいいが。

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