ゾルバ戦後の「着用刑」の間、不自然にだぶついたレオタードを、背後から必死に引き上げようとする麗子の手です。本来なら一寸の狂いもなく密着するはずのロイヤルブルー。しかし、分子構造が破壊された生地はだらしなく波打ち、彼女の指の力を受け止めてくれません。以前のような「パチン」という心地よい合図は返ってこず、ただ自分の無力さを物理的に突きつけるだけの布の塊。自分の鎧を自分の手で直せないという事実が、どれほど彼女を孤独にさせているか分かりますか?
第1章第6話
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