↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
退屈は僕を殺したい  作者: おどろん
第六章 七騎士編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
123/130

爆撃

「クライマックス…?あなた、何か勘違いをしていないかしら?」


「勘違い?」


「確かに弱点であることは否定しないけど、それが分かったから勝てるなんて言うのは思い上がりも良いところ。」


…まだ何か策でもあるのか?

目も慣れてきたし、動きも大分()()()()()()()

必殺の攻撃だけ捌いて時間を稼げばどんどんアタシに有利になるはずだ。


「弱点がバレたところで、当たらなければ意味はない。やりようはいくらでもあるのよ。クロ。」


「オーケー。」


見た目には何も変化はない。

だが、雰囲気は確かに変わった気がする。


…体の主導権か?


先ほどまでの単調な動き。

シロの制止を聞かずに攻撃を仕掛けてきたことを考えると、今までの行動の主導権はクロが握っていたと思われる。


「こういうのはどうかしら?」


その言葉と同時にシロクロの周りに多数の黒い球体が発生する。

よく見ると周りだけじゃない。

アタシの上にも、横にも、後ろにも。

どんどん数が増えていってる。


嫌な予感しかしない。


軽く100は超えている数であろうその球体は、

一つ一つが濃密な神通力の塊だった。

サイズは小さいものの、その濃さ…強度はアタシのアカネソードにも匹敵する。


「耐えれるものなら耐えてみなさい!!」


…来た!!


全方向から遅い来る死の球。

とても避けきれる量ではない。


捌ききれるか!?


球の速度も相当だが、今の自分になら見えないわけではない。

反応もできるが…問題は数だ。

極力は気合いで回避して、危険なコースのやつだけアカネ・デュアルソードで迎撃するしかない。


最初の数発を身体を掠めながらなんとか躱すが、すぐに限界が来る。



「ぬぅあああぁぁあ!!!」



両手に握るアカネソードを全力で振り回して迎撃する。

心臓と頭のコース以外は全て無視するしかない。

死角からの球で右足が勢いよく吹き飛ぶ。

地面に倒れるが、腕は止めない。

同方向から2つの球が来て捌ききれずに左腕も吹き飛んだ。

慌ててアカネソードを口に咥える。

頭狙いは口で、心臓狙いは右腕で迎撃する。

時折背中で跳ねながら位置を調整していないとおそらくとっくに死んでいるだろう。

腹にもどんどん穴が開いていく。

激しい痛みに意識が揺らぎ、もう無理かと思ったところで右足が治る。

全力で地面を蹴り、無理やり壁まで跳ぶ。

全方位で捌ききるのは不可能。

しかし、背後が壁ならば攻撃の方向を先程までの半数程度に絞り込むことができる。

腹に風穴がたくさん開いているから力がうまく入らない。

しかし、対応しなければならない数が減ったおかげでなんとか捌くことができていた。

そうしてるうちに左腕も治った。


そのままほとんど気合いだけで捌き続け、

ようやく球体の攻撃が停止した。

時間にしておそらく1分程しか経過していない。

しかし、その短い時間は今までの人生で最も過酷だったとハッキリ言える。


「…なんで死なないのよ。いい加減にしなさい。」


呆れたように言うが、こっちの台詞だ。

本体がバカみたいに強いのに、こんな遠距離攻撃手段まで持っているのは予想外だった。

あんな絨毯爆撃みたいなものをずっと続けられたら流石に防ぎきれない。

しかし、1度止まったのを考えると消費は激しいようだな。


「はぁ…はぁ…なんだ、泣き言か?アタシはまだまだ全然余裕だぜ…」


無論、やせ我慢。

しかし、腹の傷も癒えた。

このまま時間を稼げば本当に余裕も出てくるはずだ。

もう少し、時間を…


全力で横っ飛び。

おそらくは心臓狙いの球体を避けるため思い切り跳ぶ。

ギリギリ回避できた。


「卑怯者め。不意を突けば当たるとでも思っ…」



左足が吹き飛んだ。



回避したはずだ、間違いなく。

ギリギリではあったが、通りすぎた球体を横目でたしかに確認した。


なのに、時間差で左足を持っていかれた?


尻もちを突く。

激しい痛みが遅い来るが、今となってはそんなことは些細なことだ。

回避したはずの球体を凝視する。

何も違和感はない。

今までのものと何も変わらない、はずだ。


…また来る!!


その球体は再びこちらへと飛んできた。

1つだけなら回避はそこまで難しくはない。

右足で地面を強く蹴ってその場から跳んで回避する。

アタシのいた位置、地面を球体が穿つ。


やはり、これまでと何も違わない。


左足が治る。


またいつの間にかアタシの周りに集まっていた球体が一斉に襲い掛かってきた。

しかし、アタシの動きも格段に良くなっている。

目も良くなったからか、球体の速度も少し落ちたような錯覚を覚える。

さっきよりも余計な被弾は抑えながら、大きい負傷もなく迎撃できていた。



突如、肩から右腕が落とされる。



まただ!!避けたはずなのに!!


ひょっとしたらこの球体、一方通行のものではないのか?

シロクロによって、制御が可能?

しかし、それなら全てそうすればいい…。


…1つしか動かせない?


「そうか。()()だな?」


「…ユウトはあなたのこと、『バカだけど賢い』と言っていたわ。どうやら間違いじゃないようね。」


こいつらには実体がある。

しかし、『形』はないんだ。

神通力…いや、魂の塊のようなイレギュラー過ぎる存在。

謎の人物…『ご主人様』とやらによって産み出されたこの世の道理から外れた者。

あの巨大な獣の姿も、あの球体も本質的には変わらない。


あの赤い【核】こそがシロとクロそのものであり、

それ以外はただそう見えているだけなんだ。


…なのに実体はある。

反則だろ。

シロとクロの主導権が変わったのは、おそらく球体の制御が難しいのだろう。

…そうか!

球体はまっすぐ飛ばしてくるだけだし、

真っ直ぐ突っ込みがちなクロとも相性がいい。

同じ存在だし、見ているだけでは違いも分からない。

軌道で判別するのも不可能。

こんなもの、防ぎ切れるはずがない。

というか続けられたらこっちから攻撃をする隙がなくなる。

演技の可能性もあるが、この攻撃の持続可能な時間を1分程度として…それから再び爆撃が始まる僅かな時間でアタシと同程度の速さのシロクロの弱点、『核』を一発でぶち抜かなければならない。


攻め手に欠けるか…


どれがクロかが分からない以上、先程よりも強く急所への攻撃を警戒しなくてはならない。

まだ全然【超越】が足りていない。

この怪物を倒すには、たとえ身体を蜂の巣にされようとも生き残る必要がある。


兎にも角にも生き残ること。

それが勝つための条件。

生きるために、なんでもする。


攻撃が止んだ。

右腕も治った。


どんなに惨めでも、

どれだけ苦しくても、

生き残れば勝ち。


攻撃が止んでいるうちに壁まで後退する。

まだ『壁』の機能を有したままコンクリートに拳を軽く打ち付ける。

いとも簡単に爆散し、目当てである鉄筋を引き抜く。

同じことを繰り返し、長めの鉄筋を10本ほど入手した。


「…何をするつもり?」

「あんなにあっても持てないよな?口、手、足だとしても5本あれば充分だ。」


今からアタシがやろうとしていることは()()()()()()()

しかし、まともな方法では生き残ることができない。

コイツらを倒せない。

だからしょうがない。


人間ではなく、バケモノとして。

バケモノのように戦い、バケモノを討つ。


絶対に勝って、ユウトとユリヤを連れて帰るために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。