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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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49 無表情黒メイド

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「思いのほか人いるな」

「そうね、男女比率も偏りないし。結構普通の文化祭って感じ」


学校の校門の前に立つ俺と由乃は、校門から見える人数に驚いていた。


俺たちが今いるのは、黒嶺さんのいる学校こと、黒女の文化祭。なんでも、由乃の友達が黒女に通っているらしく、それで招待券をもらったと言われ俺もついてきた。


「にしても、お前にそんな頭のいい友達がいたとは驚きだな」

「まあ、私だからね。当然じゃない」


別に俺も黒嶺さんに頼めば…て思ったけど、あの人は文化祭とか全く興味なくて、招待券以前の話かもしれないな。


「とりあえず、何があるか見るか」


校門に横に置いてある机から、パンフレットを取って校内のマップを見てみる。


「いろいろとあるな」


マップを見てみると、メイド喫茶に脱出ゲームと普通の文化祭。


「みてここ、ミスコンやるみたい」

「しかも今日開催だな」


今日俺たちがやってきたのは、文化祭最終日みたいでミスコンのステージが今日開催されるらしい。


パンフレットにはミスコン出場者の、写真が載っているけれど、やはりミスコン全員顔がいい。


「あれ?でも、黒嶺ちゃんはでてないんだ」

「あの人は、こういうの興味無いから」


ミスコンの顔ぶれを見る感じ、普通に黒嶺さんが出れば、あの冷たい顔でも余裕で勝てるような気がする。


でも、ミスコンって、アピールポイント含め顔プラス性格の結果だから、そう考えると五分かもしれないな。


「てことは、文化祭も来てないのかな」

「そうじゃね、今頃塾か家で勉強でもしてるんじゃない」


この間の黒嶺さんから考えると、到底文化祭を楽しむような人には思えない。


「とりあえず、ゆっくり回ってくか」

「そうね、とりあえず何から行く?」


パンフレットを参考にしながら、適当に由乃と校内を歩き回ることとなった。


やはり驚きなのが、校内の男女比率が校門前と変わらず、同じくらいということだ。て言っても、この中にいる男子は全員、陽キャって感じの見た目をしてるんだけど。


「さて、次はどこに行くか」


今入っていたクラスから、人ごみの中に出て由乃に聞いてみる。


「あれ、由乃?」

「ゆ…こっち」


いつの間にか消えていた由乃が、人の波に流されながらもこっち方向にぴょんぴょん跳ねて、俺に位置を知らせている。


「あーそうなるか…」


とりあえず手でも振って、見送ろう。ここで追いかけても、捕まえられる確信ないし。どうせ後で、電話とかすれば会えるだろう。


「あ、ちょっと優、覚えてなさいよ!」


俺が由乃をあきらめたのがばれたみたいで、小物感ある言葉を残して由乃は流されていった。


「とりあえず、逆方向に行こ」


由乃の流された方向とは逆を向いて、人ごみに逆らいながら進む。


逆方向なら、人減るだろうし。一応言っておくと、俺は決して、由乃から逃げているわけではない。



「お、メイド喫茶」


由乃がパンフレットを持っているため、何もなしでぶらぶらと歩いていると、1年Cメイド喫茶と書かれた看板のおかれた場所にたどり着いた。


「お帰りなさいませ、ご主人様。お好きな席にどうぞ」


何も考えず、即決で教室内に入ると、教室の壁の部分はレンガの壁紙のようなものが貼られている。メイドさんは、当たり前だけど、全員女子。


そして服は、一般的なミニスカタイプのメイド服。その中に1人、ひときわ目立つ黒を基調とした、ロングタイプのメイド服を着る人が1人いるのがわかる。


「梶谷さんじゃないですか」

「黒嶺さん…」


ここのメイド長かのような、貫禄を放っていたのは、ここにはいないと思っていた黒嶺さんだった。


おかしくない?黒嶺さん、こういうの断固として参加しないタイプじゃん。1人だけ、ロングスカートのメイドはノリノリの人のやつじゃん。


「あ、今はご主人様でしたね」


いつも通りの、あまり感情のこもっていない冷たい声ではあるけれど、普通にメイドの仕事はしてくれるみたい。


「では、ここの席にどうぞ」

「あ、ありがとう」

「メイドとして当然ですから」


黒嶺さんに言われ、クラスの角、窓際の方の席に座った。


「ところで、なんでここに居るんですか?ここに居るってことは、女性の友人がここに居るってことですよね」


まず、完全に逃げられない席に案内されてた。しかも、今由乃いないから一緒に来たって言っても、信じてもらえるか微妙だ。


これが罰、か…。さっき、見送るんじゃなくてちゃんと追いかけておけばよかった。


「ご主人様は、たしか刃物がお好きでしたよね。こちらの包丁なんて、どうですか?」


どこからか、包丁を取りだして俺の鼻先に向けてくる黒嶺さん。


「いや怖いって、俺にそんな趣味ないし」

「この包丁、切れ味がいいんですよ。試しに使って見ましょうか、()()()で」

「いいですいいです!」


試しに使う、という言葉があまりにも怖すぎる。


「俺そもそも、ここに黒嶺さん以外の友達いないから!今日は由乃に連れてきてもらっただけだし」

「誰ですか、その人。もしかして、また新しい…」

「それも違うから!ほら、この間水着買った時の」

「そういえば、そんな人もいましたね」


あまり人に興味が無いからなのか、そこまで時間が経っていないはずの由乃すら覚えてないみたいだ。


それに関しては、俺もあまり人のこと言えない気もするけど。


「証拠は不十分ですが、今回は良しとしましょう。では、ご注文をどうぞ」

「黒嶺さんのおすすめは?」


黒嶺さんから渡されたメニュー表の中には、言うのが恥ずかしいようなメニュー名が書かれている。


黒嶺さんにおすすめを聞いたのは、黒嶺さんがこれをどう言うのかが気になったからではある。


「私のおすすめは、アンコウの吊るし切り体験ですね」

「そんなものないんだけど…」


黒嶺さんに言われたメニューは、メニュー表のどこを探しても見つからない。


「はい、私専用の特別メニューですから。今なら、私がが切りますよ」

「あ、俺が着られる側か」


そんなのしたら、このふわふわとした雰囲気が一気に、サスペンスホラー的な雰囲気になるぞ。


「それ以外がいいかな、このメニュー表にある中でおすすめできない?」

「そうですか、それなら死亡感覚体験なんでどうですか?」

「いや、だからそんなものないって」

「いえ、メニュー表の文字を繋ぎ合わせれば、できますよ」

「屁理屈言わないでよ」


にしたって、即興でそれを作り上げるって、どんな思考回路してるんだ。


「ていうか、メニューの前に言いたいんだけど、黒嶺さん文化祭参加するタイプの人だったんだね」


今の黒嶺さんは、いつも通りの性格しているけれど、仕事であるメイドというのはしっかりこなしている。


「いえ、全く参加するつもりなかったんですが、シフトを決める時間、私が勉強してたら勝手に入れられまして」

「あ、そういう…」


思っていたより、黒嶺さんは黒嶺さんをしていたらしい。その割に1人だけロングのメイド服なのは、気になるけど。


「あの、黒嶺さんさっきからその人に時間かけすぎじゃない?ナンパでもされてんの?」


黒嶺さんの後ろから、別のメイドさんが嫌味っぽくやってきた。


「いや、俺はそういうものではなくててですね」

「そうですね、この方は私のほんとのご主人様ですから」

「え?」


黒嶺さんは急に何言ってるんだ、俺が黒嶺さんのご主人様って言われると語弊が生まれる気がするんだけど。


「え、なに!黒嶺さん彼氏いたの?それなら言ってよ。ていうか、話聞かせてよ。ほらほら、休憩入ろ」

「いえ、今ご主人様と話しているので」


嫌味風に来たメイドさんは、恋というような話に飢えているのか、突然黒嶺さんに対しての興味が湧いてきたみたいだ。


「もう、そんなのいいから。ご主人様はオムライスでいいですよね。オムライス1つお願いしまーす!」

「私、まだ行くとは…」


無理やり手を引かれて、黒嶺さんはそのメイドさんと共にバックヤード見たいなとこに入って行った。


「居酒屋じゃないんだから…」



「どうぞ、ご主人様こちら解凍したオムライスです」

「もうちょっと、夢のある言い方して欲しいんだけど」


黒嶺さんが連れていかれてから、少し待たされようやく俺の元に冷凍らしいオムライスがやってきた。


「では、ごゆっくりお過ごしください、ご主人様」

「黒嶺さん、これやってくんないの?」


メニュー表にでかでかとかかれた、おいしくなる魔法0円の表記を指さす。


「私は適用外ですので」

「えーでもここに、メイドは全員って書いてあるけど」


多分言葉の強制力を出すためなのか、メニューにはそう書かれている。


「チっ!はい、やりますよ。おいしくなれもえもえきゅん」


そこはかとなくやる気のない声プラス早口で、魔法の詠唱をする黒嶺さん。黒嶺さんはただ唱えただけで、手でハートを作っているわけではない。


やらないと言う割に、口上は覚えてたのは意外だったな。


「もっと、愛みたいなのが欲しいなー」

「は?」

「いえ、何でもないです。ごめんなさい」


迷惑客みたいなことを言ったら、さすがに殺意交じりの声できれられた。


「でも、ケチャップで文字くらいは」

「いちいちうるさいですね」


ため息交じりで、片手に持っていたケチャップのふたを開け、置かれたオムライスに文字を書き始めた。


「はい、完成しましたよ」

「た、達筆だね」


黒嶺さんがオムライスに書いた文字は、習字並みの綺麗な文字で、なおかつ短時間で、「殺」と卵に書き込んだ。


「習字を習っていたので、当然と言えば当然なのですが」

「それはそれは」


確かに黒嶺さんのノートを前に見せてもらった時、めちゃ綺麗な文字だなとは思った。


でも、ケチャップの文字が習字で綺麗になるとは到底思えないけど。


「とりあえず、いただきます」


スプーンを手に取って、オムライスを口に運ぶ。


「うん、普通のオムライスって感じ」

「冷凍ですからね」


黒嶺さんに冷凍と言われてるからか、どうも味に文化祭補正が追加されない。


「あ、黒嶺さん早く戻ろ」


先ほどの黒嶺さんを連れて行ったメイドさんが、こっちに戻ってきた。


「私言いましたよね、さっきのが全部と。それにまだ、梶谷さんとは…」

「まあまあ、とりあえずー」

「だから」


恋に飢えたメイドさんにまたもや、無理失理連行されていく黒嶺さん。


こんな黒嶺さんは、あまり見られないから新鮮だな。


「では、ご主人様は甘いひと時をどうぞ」

「はい、どうも」


嵐のように来たメイドさんに、あっけにとられつつオムライスを再度食べ始めた。



「いってらっしゃいませ、ご主人様」


メイドさんに見送られて、メイド喫茶を退転した。


「あ!優いた!あんた、なんで私見捨てたのよ」

「いひゃいいひゃい。ごめんって」


メイド喫茶から出ると速攻で由乃に見つかり、ほっぺを強めにつねられた。


「てかあんたメイド喫茶いたのね」

「冷凍オムライス食べてきた」

「あんまし、夢のないこと言わない方がいいわよ」

「しょうがないだろ」


夢のないことって言われても、メイドさん本人の口から言われちゃったし。


「そういや、黒嶺さんいたんだよここ」

「嘘、きてたの?」

「強制的にやらされてるっぽいけどな。どうする?入りなおすか?」

「いや、メイド喫茶はあと3つあるみたいだし、そっちいきましょ」


由乃に見せられた、パンフレットには確かにあと3つあるみたいだ。


執事喫茶に猫耳メイドカフェと、ほぼコンセプトカフェになっている。


「これ全部周りましょ」

「でも俺今おなかいっぱい…」

「適当にコーヒーでも、飲んでればいいでしょ」

「ほんとに適当だな」


この後、俺は残り3つの出し物のコーヒーを飲み比べた。


ちなみに由乃は、3つの出し物すべてでパフェを注文して完食した。俺は、太るぞと言ってみたところ、軽くたたかれた。

もし面白いと思っていただければ、ブックマーク、評価等々よろしくお願いします。

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