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ミキタビ始めました!  作者: feel
3章 もう一つの小さな世界
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与えられる本当の自由  99


 作戦会議が終わり、檻の中にいる人間たちの興奮が落ち着いたころにライラは階段を降りてきた。その背後には収監されている人間のご飯を持った多数のロボットを連れていた。


「まずいぞ。普段なら統括ロボットと数体のロボットだけだが、どういう訳かあんなに連れてきてやがる…どうする?」


 リーナと同じ檻にいる男がライラの耳に入らないように、小声でリーナに話す。だが、そもそもとして乗り気のないリーナの答えは一つだった。


「やっぱり話し合い───」


「続行だよ」


 リーナの声を遮ってカミヤが言葉を皆の脳内へと飛ばした。


「もし失敗しても私がそこに行けば解決する話だ。あんた達は最善を尽くすだけでいい」


「わ、分かった!信じてるぜ!」


 檻の中にいる人間たちの顔に活力がみなぎって行く。カミヤの力強い言葉のおかげだろう。


 そんなことは露知らず、ライラたちロボットは人間を収監している檻の前にご飯を置いて行く。


「おいロボットさんよ!これじゃあ、飯が食えねぇじゃねぇか!中まで入れろよ!」


「本日をもってあなた達への収監は終わりといたします。配膳が終わり次第、各ロボットが檻の鍵を開錠いたしますのでその後は皆さまの自由となります」


 ライラの言葉に人間たちがどよめきを上げる。自由となるために武器を手に立ち上がったはずが、それを実行する前に自由が与えられてしまったのだ。


「落ち着きなあんた達!」


 混乱する人間たちにカミヤが一喝を入れた。その声で戸惑っていた人間たちは押し黙る。


「ロボット共があんたらを言葉通り自由にするとは考えにくい。罠の可能性を考えて、開錠されてからもしばらくは出るんじゃないよ!」


「カミヤさん、あのロボットがそんな嘘を吐くとは…」


「あのロボットどもを操っているのはあんた達を騙したカミネートだ。あいつが意味もなく開放するはずがない」


 カミヤの考えはリーナにも痛いほど伝わり、リーナも罠の可能性を考えた。すると、その時ちょうどライラがリーナのいる檻の前にご飯を置きに来た。


「…リーナ様、申し訳ございませんでした」


 その声ライラの正面にいるリーナにだけ聞こえるほどの大きさだった。


「私のわがままにより、リーナ様に危害を加えてだけでなく、こんなところに…」


「……統括ロボットさん、ううん、ライラ。私は今でもライラ達が大好きだよ。必ず助けるからね」


 リーナの言葉にライラはわずかに肩を上げるが、何事もなかったかのように奥の檻へと行ってしまった。しかし、リーナの中からその会話だけでライラへの疑いはなくなった。


「それでは皆様、長い間お疲れ様でした」


 ライラは一礼をして降りてきた階段を上がって行った。それからしばらくしてロボットたちが次々と檻の鍵を開錠していく。


「カミヤさん、私出ますね。きっと罠なんて無いと思いますから」


 リーナはカミヤの声を待たずに檻の扉を押し開ける。


「リーナ、様!お元気そうで何よりデス!」


「もしかして四千六百番のロボットさん!?」


 ライラの夢を見たのが関係しているのか、リーナはそのロボットがトレーニングなどに付き合ってくれたあのロボットだと直感した。


「四千六百番ではなく、四千六百三十五番デス!リーナ、様!のトレーニングをサポートさせていただいたロボットデス!」


「ごめんね。けど、私も君だって分かったの。再開ついでに一つお願いしてもいいかな?」


 四千六百三十五番はひとみである光を点滅させてリーナの言葉を待つ。それはまるで人間が首をかしげているように見えた。

「ライラ、統括ロボットさんの所に案内してくれないかな?」


「統括ロボットは現在、アイカ様の元へ向かっておりマス!すぐに案内いたしマス!」


 四千六百三十五番は階段を器用に上り、リーナをアイカの元へと案内する。その様子を見ていた檻にいる人間たちはカミヤの声を待たずして、檻から出始めた。


「罠はないみたいだし、俺達も反撃とするぜ!ロボットどもに恨みのあるやつは全員俺に続け!」


 一人の男が先頭に立って、他の人間たちを引き連れる。檻の中に残ったのはリーナを介護した男だけだった。


「あんたは行かないのかい?」


 その男の脳にカミヤが声を掛けた。


「…なぁ、顔も知らないが婆さんはロボットをどう思う?」


「……悪魔が生み出した人形だね」


「俺も似たような考えだったよ。けど、あの嬢ちゃんを見てるとまるでロボットが普通の人間、それどころか素直な子供のように思えたんだ」


 男の考えにカミヤは言葉を返すことはない。


「…婆さん、俺は嬢ちゃんについて行くことにする。その結果騙されようと、後悔はしないだろうからな」


「ふん、好きにしな。まあ、上に上がるまでは案内してやるよ。街の人間たちも動き出したみたいだしね」




 四千六百三十五番の案内で地上に出たリーナが目にした物は、先日リーナ達を襲った巨大ロボットだった。


「あのロボットの頭部に統括ロボットとアイカ様がいらっしゃいマス!」


「ありがとう。四千六百三十五番はこれからどうするの?」


「命令を与えられておりませんので、こちらにて待機予定デス!」


「それじゃあ、私がお願いするね。少し離れて、あの大きいロボットに潰されないでね」


 リーナのお願いを受けた四千六百三十五番の瞳が緑色に短く点滅した。


「そのお願いを全ロボットに通達いたしマシタ!我々は患者、様の安全を確保した後に避難いたしマス!」


 その言葉を最後に四千六百三十五番は院内へと向かっていった。


「さて、このロボットってどこから登るんだろう…?」


 リーナが再び見上げた巨大ロボットは首がいたくなるほど大きく、よじ登るには無理があった。登り方を四千六百三十五番に聞いておけばよかったと、リーナが後悔していると膝をついている巨大ロボットの足裏が開いた。


「入っていいってことかな?」


 リーナは疑うこともせず、開かれた穴へと入って行った。



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