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ミキタビ始めました!  作者: feel
3章 もう一つの小さな世界
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アイカ 79

 

 カミヤはアイカがいる部屋の中に飛ぶのではなく、その部屋の前に飛んだ。それは、中にカミネートの気配を感じたからだ。


「ナオキ、あんたの拘束を解く。ただし、あたしを殺したら帰れないと思っておいてくれよ」


「…殺さねぇよ。今はな」


 カミヤはナオキが座っている椅子につけられた拘束具だけを瞬間移動させることで、ナオキの拘束を解く。四肢が自由になったナオキは立ち上がる際にふらついたが、問題なく立ち上がった。


「この中にアイカがいる。あんた達を呼んだ元凶と一緒にね。未来は見えるかい?」


「アイカに合うところまでは…。それから先のことは見えない」


 ナオキの視界がとらえる未来の光景は部屋に入ると、ナオキと同じように拘束されているアイカを見つけ、目隠しを取ったところで終わっていた。


「ナオキ、あんたは未来視以外に何かできるのかい?」


「分かんねぇ…。魔法はいくつか使えるだろうが威力とかは…。拘束されていない時もアイカを人質に取られてたから、下手なことはできなかったんだ。」


「…分かった。なら、あたしの手を絶対に離すんじゃないよ」


 カミヤはナオキに手を差し伸ばす。カミヤの瞬間移動は触れている任意のものを飛ばす能力。常に手を握っていれば、緊急事態でも飛べるからだ。ナオキは少し躊躇いを見せたが、未来視が途中で切れた不安もあったために手を握る。


 カミヤは杖を握った手で部屋の扉を開ける。部屋の扉は鍵がかかっていなかった。


 廊下の光が部屋の中に入り、部屋の中央にある椅子に腰かける男の姿が現れる。


「カミネート!」


 ナオキが駆け出すのをカミヤは手を引いて制止する。


「カミネート、あんたがここに居るってことはその子の方が重要度は高いのかい?」


「そうですね。ナオキ君の能力も魅力的ですが、アイカ君がいなくなられては困ります。どうです?ナオキ君は見逃しますので。お引き取りを」


「ふざけんな!アイカも一緒に連れて帰る!」


 ナオキの怒号もカミネートは意に介さず、笑みを浮かべる。その表情にナオキの呼吸は荒くなっていく。


「落ち着きな。あんた達は私が助ける。あいつの言葉は聞かなくていいんだ」


「それはひどいですね。カミヤばあ様、あなたは何をもって助けると言っているのです?」


「もとの世界に変えるのは二人の願いだ。あんたがどうこう言っても、それは変わらないよ」


「なら、アイカさんが望んでいないならどうします?」


 カミネートは笑みを浮かべながら、アイカが拘束されている部屋の扉を開けた。


「……どういうことだい」


 中の様子が分かるカミヤはナオキよりも早く困惑し、ナオキも扉の中から出てくる人影を見て動揺した。


 アイカが歩いて扉の中から出てきたのだ。その体に拘束具はついておらず、未来視で見たはずの目隠しもついていなかった。


「ナオキ、今助けるわ」


「……は?」


 助ける覚悟で来たナオキはアイカから聞いた言葉にさらなる動揺を隠しきれない。


「…そういうことか!カミネート!」


「どういうことだよ!?アイカ、こっちに来い!」


 カミヤはアイカの様子から事態を把握した。


「ナオキ、よく聞きな。アイカは今、私を敵だと思っているんだ」


「なんでだよ!?敵はカミネートだろ!?」


「おそらくだが、アイカは元から拘束なんてされてなかったんだ。そして、カミネート共はアイカを仲間のように扱い、実験に協力させてるんだ。つまり、あんたみたいに拘束なんてされてなかったんだよ」


 カミヤの言葉にナオキは息をのんだ。


「ま、待てよ。でも、俺は拘束を解かれれてるときに未来視でアイカの状態を見た。その時は確かに…」


「あんたの拘束を解除してるときだけ、拘束したんだろうよ」


「素晴らしい考察力ですね。まるで、本に出てくる探偵の様です」


 カミネートはカミヤの説明を聞いた後に、拍手を送りつけた。


「しかし、私は二人を平等に扱いました。ナオキ君の拘束も一時的な物だったでしょう?」


「あれのどこが!俺がどれだけ殺したいと思ったか!」


「アイカさん、あのようにナオキ君は洗脳されています。洗脳を解くために、隣にいる魔女を排除してくれますか?」


「分かりました先生。ナオキ、すぐに終わるからね」




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