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ミキタビ始めました!  作者: feel
2章 旅に出ます!
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アムリテとの訓練 49


「……きなさい!起きなさい!」


 リーナは大きな声と声の主からの揺さぶりによって、目を覚ました。

「おはよう、アムリテ。早起きなんだね」


「あんた、明日が決闘なのよ!早く着替えて、弓の練習をしないと!」


 リーナはアムリテに急かされ服を着替えて、出かける準備をする。しかし、リーナはあることに気付いた。


「弓の練習はしたいけど、矢を売ってくれる武器屋はまだ空いてないよ?」


 まだ太陽は上り切っておらず、窓の外は暗かった。武器屋が空くのは昼前からだ。


「あー、そっか。あたしは杖さえあればだったから…。その腰にある短剣は使うの?」


「うん。というより、私は元々短剣がメインだよ」


 アムリテはその言葉を聞くと、何かをひらめいたようだ。


「なら、武器屋があくまであたしと決闘しましょう!きっといい訓練になるわ!」


 リーナは決闘をシオン以来一切していなかった。負けられない決闘にいきなり挑むのも怖かったので、その提案は大賛成だ。


「うん!水の魔法なんて、戦ったことないからぜひお願いしたいよ!」


「それじゃあ、今すぐギルドの決闘場に行くわよ!」


 二人は訓練場に行こうと、勢いよく部屋の扉を開けると


ぐぅうう…


 二人してお腹の音が鳴った。


「…まずは、食堂で朝ごはんにしない?」


「し、仕方ないわね!」


 二人は行き先を変えて、ギルドの食堂に走って向かった。



 二人は朝ごはんを食べ終え、ギルドから決闘場の使用許可を得ると早速入った。中は、王国にあったものとさほど変わりはなく、広さも十分すぎるほどだった。


「それで、リーナの決闘相手のアッシュ、って武器は何を使うの?」


「よくは知らないけど、弓を使うんじゃないかな?弓もアッシュから教えてもらったし」


 リーナはアッシュの印象が、男性か女性かわからないと言うのが強く、服装に関しては騎士のような恰好をしているとしか覚えていなかった。


「弓なら離れたところから始めればいいけど…。決闘なんて場で、弓だけとも思えないし…」


アムリテは頭を悩ませ、会ったことのないアッシュの手の内を考える。


「ま、考えても仕方ないか。リーナ、少し離れたところから始めましょ。あたしが上げてる手を下ろしたらスタートね」


「わかった。なら、私があっちに行くね」


 リーナはアムリテから距離を取り、向かいの壁まで歩く。限界まで歩き、アムリテの方を見るとアムリテは手を上げていた。その周りには小さい水球がいくつも浮いており、リーナはシオンの事を強く思い出した。


 そんなことをしていると、アムリテの腕が下ろされ訓練の開始が開始した。


 リーナはとっさに短剣を構え、アムリテの様子をうかがう。アムリテの持つ杖が青白く光り、水球が矢の形をして飛んできた。


 正面から飛んでくる水矢(アムリテが放った矢)を回避し、アムリテの方向に走り出す。アムリテも近づけまいと、リーナに向かって水矢を放つ。だが、リーナはそれを時には回避し、時には短剣でさばくことによって、アムリテへの距離を確実に縮める。


「アルト・スフィア!」


 アムリテはいくつかの水球を集めると、その中に入った。アムリテを入れた水球は宙に浮き、リーナが届かない位置に行ってしまった。


「そんなことできるの!?」


「ほら、驚いてるとずぶ濡れになるわよ!」


 アムリテは再び杖を光らせ、水矢を作ると今度は三本同時にリーナに向けて放った。


「ちょ!」


 リーナは真横に転がり、三本全てを回避しようとする。しかし、水矢はリーナが転がると軌道を変えた。


「冷たい!」


 軌道を変えた三本の水矢をリーナは背中で受けてしまい、服がびしょびしょに濡れてしまった。


「今のが、本物の矢なら死んでたわ!」


 上空で水球の中にいるアムリテの声が聞こえる。水の中にいるアムリテの声が聞こえるのも変だったが、リーナはそれよりも言わなければならないことがあった。


「本物の矢は曲がらないよ!?」


「きーこーえーなーい!」


 アムリテはわざとらしく、耳を傾けリーナを挑発する。その挑発に乗るリーナではなかったが、そんな茶番の間にも矢は三本ずつ飛んできた。


「もう!」


 リーナは短剣を腰の辺りで構え直し、水矢を一刀で切る作戦に出た。まっすぐに斜め上から飛んでくる水矢。その下から、短剣を差し込むと一番下の水矢がはじけ飛ぶ。


 そのまま力をこめ、残る二本も切り裂こうと上に押し上げると、二本の水矢はまた軌道を変えてリーナのわき腹を濡らした。


「もう!どうやったら上から来た矢がなんで、体の横に刺さるの!?」

 

これでは、矢を使うアッシュの決闘の参考には一切ならないとリーナは思った。


「ほらほら、次々行くわよ!」


 鼻息が上がり、見るからに興奮しているアムリテは次々と矢を繰り出し、自身を包んでいる水球以外がなくなるまでリーナに向かって放った。その間、リーナは無言で短剣を振るい、全身をびしょ濡れにされた。


「あら、もう残りがなくなっちゃったのね…」


 アムリテは自分が作り上げた水球がなくなっているのに気づくと興奮が収まったのか、静かに空中から降りようとする。


「ねぇ、アムリテ。もう矢はないの?」


 地上で待っているずぶ濡れになったリーナはにっこりとアムリテに笑いかけた。しかし、その笑いは決して穏やかなものではなかった。


「……ほら、リーナ!訓練はもう終わりにしょ!もう、武器屋も空いてるんじゃ──」


「まだ、終わらないよー。矢がなくなったら、降りてくるしかないんじゃないのー?」


 リーナは笑みを絶やさず、アムリテから視線を離さない。


「あー、怒られるか…」


 アムリテは覚悟を決めると、水球をゆっくり下ろして、息をたっぷり吸う。


「楽しかったわ!」


「アムリテー!」



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