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ミキタビ始めました!  作者: feel
4章 決闘の街
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また旅を 最終話


 カルッベラの車でメルモに戻る車の中で意識を失ったように眠りについたリーナとアムリテ、ヒイロの三人をシャンシャンは宿まで運び、家へと帰宅した。


 翌朝、三人は太陽の光で同時に目を覚まし、寝ぐせの付くそれぞれの顔を見て笑いを上げた。


 ひとしきり笑いあった三人は宿のシャワーを浴び、朝食を取ろうと宿の一階に降りると、シャンシャンとロミオ、すっかり体調の良くなった様子のジュリエットが待っていた。


 リーナ達の顔を見たジュリエットは小走りで駆け寄り、三人の前で頭を下げた。


「ありがとうございました。あなた達がいなければ、私は……。今日はお礼をしたいのだけど、付き合ってくれる?」


 三人、特にヒイロは自分のせいだと言い張り、断った。だが、それでもジュリエットは引かず、三人はジュリエットにご馳走になることにした。


 大所帯になったリーナ達はロミオがあらかじめ予約していたビュッフェ式の店に入ると、それぞれが思い思いの料理を皿に乗せて席に着いた。


「それじゃ、祝勝会、というのも変だけど皆無事でよかった。乾杯!」


 ロミオの掛け声にリーナ達はグラスを合わせ、会話を楽しみながら朝食を済ませた。


「ところで、ヨイラさんの容体は…………?」


 激しい戦闘の中で仲間が負った傷を治療していたヨイラ。その労力は計り知れず、結果、ヨイラは重度の魔力切れで倒れこんだ。


 カルッベラから目を覚ましたとの情報は聞いていたが、面会を禁止されていたためにリーナはそれ以上の情報を知らなかった。


「完全回復、とは言えない。だけど、もうずいぶんと元気になっているよ。支えをしていれば、歩くことも出来ている」


「ほんとうですか……!良かったぁ……!」


 その知らせにリーナは安堵の息を吐いた。


「彼女も君たちに会いたがっている。僕たちは行けないけど、この後にでも足を運んであげてくれないかな?」


「もちろんです!」


 その後、ロミオとジュリエットと別れたシャンシャンを含む四人はヨイラの病室へと足を運んだ。


 病室の扉を開けると、そこにはベッドに座るヨイラがいた。


「ヨイラさん!」


「リーナ!アムリテ!それに、ヒイロさんまで!」


 病室に入ったリーナ達を見たヨイラは笑みを浮かべた。


「やったのね!よく頑張ったね三人とも!」


 ヨイラはベッドの横まで近寄った三人の頭を抱きしめ、体を震わせた。


「私、ヨイラさんがいなきゃ、死んでました。何度も助けてくれてありがとうございました!」


「あたしもあんたにはお礼を言うわ。ありがとね」


 戦闘面で見れば、一番の功績者は間違いなくヨイラだろう。彼女がいなければ、リーナ達は初めのダモクレス戦。いや、書庫でのエンソフィリア戦で詰んでいたのだから。


「いいのよ!皆が無事なら私はそれで!ヒイロさんも無事で……!本当に良かったです!」


 ヨイラは更に力を強め、三人の姿勢が傾いたところで腕を離した。


「あの、ヒイロさん。今までは王者さんってことで遠慮してたんですけど、これからはヒイロ、って呼んでもいいですか?」


 全く予想だにしてしていなかったヨイラの要求にヒイロは驚きつつも、笑顔で言葉を返した。


「私からもお願いします!」


 リーナ達はそれからしばらくヨイラに事の顛末を伝え、病室を後にした。




 宿に戻る途中でシャンシャンは用事があると言い、リーナ達は三人で宿に戻り話をしていた。


「リーナ、あんたはこれからどうするつもりなの?」


 アムリテと出会った頃のリーナの目的はこの街、メルモに来ることだった。それが達成された今、次なるリーナの目的はどうなるのか。


 リーナは顎に手を当て、考えるそぶりを見せる。


「うーん、私はもっといろんな場所に行きたいな。もっと色んな場所に行って、色んな人に出会って。皆と友達になりたい」


 リーナの言葉を聞いたアムリテは目を軽く瞑り、少しの間を置く。そして、次にアムリテの口から出た言葉にリーナは耳を疑った。


「……そっか。頑張りなさいよ」


「……え?」


 それはどこか他人事な。決して嫌味などがあるわけではない。心からの応援と感じられる。だからこそ、リーナはある一つの予想が頭をよぎり、先に手を打とうとした。


「そんな、アムリテも一緒に──」


「──あたしは一緒に行けない」


 アムリテはリーナの言葉を遮り、はっきりと口にした。


「今回の戦いで自分がどんなに弱いか。今までどれだけ甘えてきたのか分かった。これから先、このままあんたに付いて行っても足を引っ張るだけ。だから、一緒には行けない」


「そんなこと!一緒にいてくれるだけで!」


「でも!でも、あたしは必ず強くなって戻ってくる。あんたの横に!だから、その時は一緒にまた、旅をしてくれる?」


 アムリテの目端には涙が溜まり、その声は上ずっていた。アムリテにとっても、リーナにとっても辛い選択。


 だが、アムリテは全てを覚悟して、リーナとの別れを選択したのだ。その覚悟にリーナは涙を流しながら、無理矢理に笑顔を作って答えた。


「うん!待ってる!いつまでも!私ももっと強くなって!アムリテとまた旅ができるように!」


 二人は涙を流す。だが、顔は俯かせない。視界は涙でろくに見えない。だが、互いの顔から眼を離さい。


「私、も、私もいつか二人と一緒に旅がしたいです!今はまだ、できません。ですが、その時は私も一緒に行ってもいいですか!?」


「うん、うん!ヒイロも一緒に!三人で!」


「ふふ、騒がしくなるわね!今から、もう楽しみになってきちゃったじゃない!」

 三人は涙を流しながら手を合わせ、いつの日か三人で旅をすることを誓った。


ミキタビをお読みいただきありがとうございました!

長いようで短い、一年にも満たない間読み続けていただき、本当にありがとうございました!

ミキタビはここで終わりとしますが、もうすこし勉強の期間を置いて続編、あるいは新作を書こうと思っています!

あまり後書きが多くなるのも、と思いますのでこれにて失礼します!

本当に「ミキタビ始めました!」を読んでいただき、ありがとうございました!

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