本当に来た
エリカだ。
グリッグリにカールさせた自慢のブロンドヘアーを頭に束ね、大胆に肩を出したパンキッシュな黒のワンピースに身を包んでいる。
「エリ、こういうゴスロリって初めて着たよ。あはは」
彼女はそう言って濃くメイクされた目でウィンクした。ゴツいつけまつげがバサバサする。
周りの娘達はそんなエリカを注目した。異物を見るような表情で。
「アンタ一人か」
「いいえ、友達も一緒だよ」
エリカはそう言い、ネイルがぎらつく手を上げた。すると三人の男が彼女の周りに集まった。
一人はマントを羽織った皇子のような格好を、二人目の大柄な男は全身レザーとスパイク、それに何本ものチェーンで固めたアーミーな服を、三人目の細身な男はまるで大衆演劇の花形のような和装で身を固めている。
「おいおい、そんな物騒な物ぶら下げていいのかよ」
タツは皇子服と和装の男が腰にぶら下げる、細いサーブルと日本刀が気になった。
「気にすることじゃない」
和装の男が冷たく答える。その顔にタツは何かを思い出した。
「アンタら、まさか……」
皇子服の男が一歩迫った。
「気づいたか。そうだ、俺らの参加は今日限りだ」
皇子服の男は叫びながらサーブルを抜き、タツに振りかざしてきた。




