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好きな色
日が昇り、昼も過ぎた。
とびっきりのフリルとレースをあしらった膝丈のお洋服に身を包んだ明蘭は、鏡の前で何度も身体を捻って今日の着付けを確かめていた。
彼女が身体を動かす度に、深紅の豪華なスカートが薔薇のように広がる。
「赤色、好きなんだな」
「うん。それに、天国に行ったママがメイにとって大切な時には赤い服を選びなさい。って言ったの」
そう言いながら彼女はレースの頭飾りを整え、自分の腕に鞄を通してタツに向かってポーズを取った。
「今日のメイ、どうかな」
「ああ。最高だよ、お嬢様」
指で頬をかきながらタツは答える。すると、明蘭は突然ハッとして小物入れを開いた。
「ねぇねぇ。目を閉じて」
言われたとおりタツは目を伏せた。暗闇の中、百合の優しい香りが近づき、細い手が一瞬だけ彼の首を囲った。
「開けて」
目を開けると、彼の首には金色の丸い何かがチェーンでかけられている。
「懐中時計……」
手の平程の大きさで、蓋のついたタイプの物だった。
タツはぼんやりとそれを眺めていた。
「さ、行くよ」
「お、おう」
彼は胸ポケットに時計をしまい、玄関を出る明蘭の後に続いた。
中華では、赤は縁起の良い色として好まれます。
逆に白は死の色として避けられるそうです。




