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【笑え】笑ってはいけない貞操逆転世界!【おもんなくとも】  作者: ながつき おつ


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プロローグ

新作始めました。一ミクロンでも口角が上がれば★やブックマークをお願いします。


 今からするのは、カッコ悪いまま終わった、ある一人の男の前世の話。


 俺なんかの人生にはみんな興味はないだろうけど、できれば我慢して聞いてほしい。


 そして、もし「先生」のことを知っている人がいれば、伝えてほしいんだ。


「ここでもなんとかやってるよ」って――




 昔の自分を思い出すと、恥ずかしくて仕方がない。


 そう、陳腐な言葉で当てはめると、荒れていたんだ。


 孤高の一匹狼なんて気取っちゃってさ。俺なんて、せいぜい小さく力のない野良犬がいいところだってのに。

 

 ろくでなしの親のもとに生まれ、とにかく自分勝手に育ってきた俺にできることなんて、そうやって虚勢を張るくらいだったんだ。


 たまに帰ってきては俺を殴る父親。男をとっかえひっかえして、家で嬌声を撒き散らす母親。


 コイツらと同じ血が流れていることが、嫌で嫌で仕方なかった。


 血なんて考えたって仕方ないのにさ。


 思春期ってそういうものなのか、簡単には割り切れず、本当に本当に、心の底から嫌だった。


 バカな俺は、自分に流れる血を見るのすら嫌だったんだぜ。血ってそういうことじゃないのに、ほんと、バカだよな。


 そんな親と俺の視野の狭さが相まって、小さい頃の俺は「大人ってみんなクズばかり」だと思い込んでしまっていた。


 確かに親は根っからのクズだったさ。


 でもさ、俺は恵まれていたと思うんだよ。


 小学生くらいまでは、地域に住むたくさんのあったかい大人が、陰ながら俺のことをサポートしてくれた。


 その中でも、特にあの「弁当屋のババア」には、あの時もっと感謝しておけば良かったと、後悔してもしきれない。


「ほら!廃棄予定の弁当、持ってきな!」


 そうやって小さな俺の背中を叩き、毎日のように抱えきれないくらいの弁当を持たせてくれた。


 多分俺が家でコンビニの菓子パンとかしか食っていないってこと、知ってたんだと思う。


 愛情たっぷりの料理ってこんなに美味しいんだって、そのとき初めて知った。


 俺、態度に出せなかったけれど、あの人が大好きだった。


 小さくてしわくちゃで可愛くないババアだったけれど、かっこよかったよ。


 今思えば、あれが俺の初恋だったかもしれない。

 

 でも、「おせっかいババア」として地元で有名で、学校ではちょっとバカにされた存在だったからさ。


 素直に感謝するのが恥ずかしかったんだ。


 ほんと、バカだよな、俺。


 あの人の愛情にどれだけ救われたのか、ガキすぎる俺はちゃんと分かってなかったんだから。



 そんな愛情たっぷりの弁当のおかげか、俺はすくすくと育った。


 中学生の時点で体つきも相当ゴツくなり、ガリガリの父親に殴られたところで、どうってことないくらいにまでなった。


 ただ、身体だけデカくても、まだまだガキだ。


 大人はみんな敵だというバカな考えは根深く、中学を卒業して働き出しても、その価値観は変わることはなかった――


 

 卒業後の俺は地元を飛び出し、地方で住み込みの工場勤務のバイトをしながら、朝から晩まで働いた。


 とにかく金を稼ぎたかったんだよ。


 金さえあれば、自分のやりたいようにできる。今までできなかったこと、全部やってやる。


 金は自由への切符だ。とにかく、金、金、金……


 その当時の俺は、取り憑かれたように働いていたんだそうだ。


 ……まあ、職場のみんな、どいつもこいつも目に光のない、俺と似たような奴らばっかりだったんだがな。


 で、だよ。そんなことはどうでもいいんだ。俺の人生、こっからが大事なんだから。



 そんな俺の曇った瞳を、さも簡単に晴らしてくれる存在と出会ったんだ。


「〇〇君。お金を稼ぐことを目的にしちゃあダメよ。お金を稼ぐっていうのは、ただの結果。仕事をするっていうのは、社会貢献なの。どんな仕事もね」


 勤務中の俺に向かって、突然説教を始めた女。


 確か、ここの工場長の娘だとか、そういうやつ。


 30代後半だというのに、ノーメイクで大きなメガネをかけた、飾りっ気のない、いかにも真面目を体現したような女だった。


 たしか職場の奴らからは、影で「クソメガネ」って呼ばれていたはずだ。


 この工場には、いかにも底辺だという空気が蔓延している。


 そんな場所で誰にも物怖じをせず、口うるさい女なんて、嫌われても仕方ない。


 そう、この女は、みんなから邪険に扱われていた。


 だから、俺もそうしようと思ったんだ。


 ただ、さ。


 その女と目が合って、その綺麗な瞳を見た時。


(なんてかっこいいんだ……)


 背筋がしゃんとして、その力強い目が前を向いている。


 世の中には、こんなに綺麗な物があるんだって、なんか、感動したんだよな。


 俺、バカだから、なんでかは分からないんだけど、素直にそう思ったんだ。

 

「好きだ」


 気づけば、そう口に出していた。


「は?」


 ははっ、そりゃ、そんな反応にもなるだろう。


 こんな目の死んだ、無口でデカいだけの男にそんなこと言われたら、当たり前だ。


 てか、そもそもこの時初めて話したくらいだしな。


 ただ、俺の真剣な目を見て、彼女はしっかり返事をしてくれた。


「……ごめんなさい。私、夫がいるの」


 俺の初恋(自覚あり)は、当たり前に実らなかった。



 ただし――


 俺の人生は、明確にここから変わったんだ。


「そう、よくできました。あなただってやればできるのよ。じゃあ、次は四則演算から学び直しましょうか」


 何を話した結果そうなったのかは分からない。


 とにかく舞い上がって、彼女にいろんなことを話しているうちに……気づけば彼女の元で、今までサボってきた「勉強」というものを学ぶことになっていた。


 彼女の家で、俺が生徒、彼女が先生。我が子に教えるように、彼女は教えてくれた。


 いつの間にか俺は、彼女のことを「先生」と呼ぶようになっていた。


 彼女はいずれ塾の先生になりたいらしく、俺のようなろくに学んでこなかった人は、「ちょうどいい」とのことだそうだ。


「人はいつだって再スタートできるのよ」


 口癖のように、先生は言う。大好きな人の言葉だからこそ、俺は信じる。



――本当に楽しかった。


 先生の作るオムライスも、ふいに夫と死別したことを(うれ)う様子も、全てが愛おしかった。


 たとえ先生の気持ちが俺に向かなかろうが、どうでもよかった。


 先生が幸せそうならば、それでいい。


 それくらい好きだったし、大人として尊敬していた。


 結局、俺が二十歳になる頃、先生をかばい、しょうもない事故で俺だけ死んでしまったけれど……



(先生。ここでも、()はそこそこ頑張ってるよ)


 先生の言った通り、再スタートだ。


 ここは少し変な世界だけど、やれるだけやってみるよ。



 今度の僕が生きる世界は、日本とほとんど変わらない。


 ……ある一点を除いて。

 

 その違いのせいで、この世界は血飛沫飛び交う修羅の国みたいになっている。


 なんて、感じることがあるんだ。


 言い過ぎって思うかな? でもさ、


「「「私、お笑い芸人になる!!!」」」


 俺が笑っただけ。


 それだけで、僕の大切な人が人生を再スタートしてしまうような世界なんだよ。


 僕の本気の笑顔には、人の人生を強引に変えてしまうほどの力がある。


 だから僕は、腹の底から笑うことだけはしないと誓った。



作者の過去作↓ 

リンクをコピーして飛んでみてね。


男女比が1:5の男が少ない世界で、小物な彼女を振り回す

https://ncode.syosetu.com/n8582hx/


貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する

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【自信作】心に「オジサマ」を飼うお嬢様のマナー~とんでもない名家のお嬢様なのに、気づけばクソボケ扱いされていました~【毎日投稿】

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