保安隊海へ行く 99
「貴様等、ここに住めというわけか?」
見開いた目を島田と菰田に向けるカウラ。
「菰田ちゃん。そこのゲーム一山で手を打つってのはどうかしら」
「アホだなオメエ等」
部屋に入りエロゲーを物色するアイシャ。西から取り上げた消臭スプレーを撒き散らかしている要。
「それはですねえ……」
追い詰められた島田。じりじりと額に浮かぶ汗は暑さのせいではないだろう。
「間違えました!この下の階です!」
苦し紛れに叫ぶ島田。
「それにしちゃあずいぶん必死じゃねえか」
周りで冷や汗を流している隊員。
「それでは案内してくれ」
額に手を当てたカウラの目線が誠に注がれ、彼もまた苦笑いを浮かべた。
「良いんですか?あそこって日が当たらないからカビとか……」
「文句は言うな!他に部屋が無いんだからしょうがないだろ!」
誠に耳打ちする島田。菰田は複雑な表情で三人を案内する。一階の西館。日のあたらないこの部分は明らかに放置されていた区画だった。階段を下りるだけでもその陰気な雰囲気は見て取れた。
「島田、あご砕いて良いか?」
要はそう言いながら指を鳴らしている。カウラも半分はあきれていた。アイシャは『図書館』に未練があるように上の階を眺めている。
「大丈夫ですよ!ここは元々豊川紡績の女子寮だったんですから、西館には女子トイレもありますし……」
「苦しい言い訳ね」
アイシャの声が陰気な廊下に響く。『図書館』の改装が無駄に終わることが決まった寮の住人がその後に続いて階段を下りていく。まずは一番階段に近い部屋。島田は鍵を取り出すと扉を開けた。
意外にもカビの臭気は漏れてこなかった。島田を先頭に菰田、カウラ、要、アイシャ、誠。部屋に入るが奇妙な冷気意外は特に問題はなさそうに見えた。
「意外と良い部屋じゃねえか。西日が当たるのかね、畳が焼けてるみたいだけど……」
「畳は近日中に入れ替えます!」
要の投げた視線に、悲鳴にも近い調子の島田の声が響いた。




