保安隊海へ行く 62
「要ちゃん達!到着!」
スクール水着姿のシャムが叫ぶ。誠は何度見ても彼女が小学生低学年ではないことが不思議に思えて仕方なかった。
「肉あるか?肉!」
いつも通りの姿に戻った要は、すばやくテーブルから箸をつかんで、すぐにアイシャが焼いている牛肉に向かって突進する。
「みっともないわよ、要。誠ちゃん!お姉さんのところの焼きそば出来てるから……食べたら?」
アイシャにそう言われてテーブルの上の紙皿を取ると奥の鉄板の上で焦げないように脇にそばを移しているリアナの隣に立った。
「じゃんじゃん食べてね。まだ材料は一杯あるから」
いつものほんわかした笑みを浮かべながら誠の皿に焼きそばを盛り分ける。
「お姉さん、ピーマンは避けてやってください」
串焼きの肉にタレを塗りながら遠火であぶっているカウラがそう言った。
「神前君もピーマン苦手なの?」
「ピーマン好きな奴にろくな奴はいねえからな!」
要の冗談がカウラを刺激する。
「西園寺。それは私へのあてつけか?」
カウラのその言葉に、要がいつもの挑発的な視線を飛ばす。
「誠ちゃん!お肉持ってきたわよ。食べる?」
「はあ、どうも」
山盛りの肉を持ってきたアイシャ。誠はさっと目配りをする。当然のように要がにらみつけている。カウラは寒々とした視線を投げてくる。
「そう言えば島田君達はどうしたの?」
そんな状況を変えてくれたリアナの一言に心の奥で感謝する誠。
「ああ、あいつ等なら荷物番してるぜ」
アイシャから皿を奪い取った要が肉を食べながらそう言った。
「もう食べごろなのに。誰か代わってあげられないの?もう用意できてるんだから」
春子がそう言うと、きれいにトレーの上に食材を並べた物を人数分作っていた。
「じゃあシャムが代わりに番してるよ!」
「師匠!私も!」
シャムと小夏が元気に駆けていく。
「気楽だねえ、あいつは」
要はビールの缶を開けた。
「それがシャムちゃんの凄いところよ、ああこれおいしいわ」
つまみ食いをしながらリアナがそう言った。




