保安隊海へ行く 50
「お前、何か企んでいるのか?」
要の気まぐれに恐る恐るカウラがたずねた。サングラスをはずしてまなざしを投げる要。
「何が?」
じっと要のタレ目を確認した後、そのまま押し黙るカウラ。
「別にいいじゃないの。要、先行ってるわよ」
そう言うとアイシャはいまひとつ納得できないと言うような顔をしている島田達を連れて出て行った。
「じゃあアタシ等も行くぞ」
要はそう言うと先頭を切って歩く。
「神前の兄貴。あの外道、何かあったんですか?」
小声で誠につぶやく小夏。首をひねってみた誠だが思いつくことも無いので黙って要について行く事にした。
「うわっ、暑いなあこりゃ」
自動ドアを出たとたん要が叫んだ。9時を回ったばかりだと言うのに、破壊的な日差しが一同に容赦なく降り注ぐ。海風も周りのアスファルトに熱せられて、気味が悪くなるほどの熱風となって誠一行を迎える。
「コンビニって近いんですか?」
誠は車止めの坂を下りながら要に尋ねてみた。
「なに、ちょっと海水浴場を通り過ぎた所にあるだけだ」
要はそう言うとずんずん先を歩いていく。
「アイス!アイス!」
麦藁帽子のシャムはうれしそうにそう繰り返す。国道まで出ると要は振り返って叫ぶシャムに目をやった。
「シャム。それはテメエの金で買え」
シャムは少し残念だったと言うように口を尖らせる。みやげ物屋が軒を連ねる海辺の街道に出ると、それまでの熱風が少しはさわやかな海風と呼べるような代物になった。誠は眼下に広がる砂浜のにぎわう様を見ていた。
「やっぱり結構人が出てますね」
砂浜はパラソルの花があちらこちらに咲き乱れ、波打ち際には海水浴客の頭が浮いたり沈んだりを繰り返している。
「まあ盆過ぎだからイモ洗いにはならねえけどな。小夏のジャリ」
「ジャリじゃねえ、この外道が!」
今度は小夏が頬を膨らませる。
「アタシ等、一箱づつ持って帰るわけだが、お前持てるか?」
そう言って得意げに振り返る要。誠は伊達に鍛えてはいない、要は軍用のサイボーグである。シャムはその小柄な体に見合わず力持ちであることは誠は知っていた。
「アタシだって……」
缶ビール一ケースの重さは、飲み屋の娘である小夏には良く分かっていた。
「僕が二箱持ちますよ」
当然そうなるだろうと覚悟しながら誠はそう言った。




