保安隊海へ行く 48
「自分が……」
「俺がフェデロ・マルケス海軍中尉。合衆国海軍強襲戦術集団出身で……」
岡部を押しのけて自己紹介を開始したフェデロだが、しらけた雰囲気に言葉を飲み込んだ。
「フェデロ。もう少し余裕を持て」
ロナルドがそう言うと静かに歩み出た岡部が要に向かって握手を求める。
「自分がジョージ・岡部中尉。まあ、このうるさいのとは強襲戦術集団の頃からの腐れ縁で……」
「腐れ縁ってなんだよ!いつもお前の無茶に付き合わされてた俺の身にもなってみろ」
小柄なフェデロはそう言うと岡部の手を引っ張る。
「それならお前が馬鹿やった席の尻拭いをさせられた回数を教えてもらいたいものだね」
にらみ合う二人。
「あのー」
そう言って話しかけてきた眼鏡の女性将校を見て、要の動きが止まった。
「でけえな」
確かにそれは海軍の制服を着ていても分かるくらいの大きさの胸だった。要とマリアは大きい方だが、メガネの将校の胸は何かと邪魔になるだろうと心配してしまうような大きさだった。要はそれを確認すると、緑のキャミソールを着ているカウラの胸に視線を持っていった。
「平たいな」
「おい、要。何が言いたいんだ?」
カウラはさすがにすぐに気がついてこぶしを固めて要をにらみ付ける。
「カウラさん落ち着いて!」
二人の間に入る誠。眼鏡の女性将校はおびえてしまい、また岡部の後ろに下がろうとする。
「シンプソン中尉。そんなに怯えなくてもいいですよ」
ロナルドのその言葉で落ち着いたシンプソンと呼ばれた女性将校がおずおずと前に出た。
「私がレベッカ・シンプソン技術中尉です。よろしくお願いします」
消え入るような声で頭を下げるレベッカ。要、カウラ、アイシャの視線が彼女の胸に集中する。
「そんな……見られると……私……」
「外人だ!」
とつぜんのシャムの甲高い叫び声で、一同は入り口のほうを振り向いた。麦藁帽子、戦隊ヒーローの絵柄がプリントされた子供用のタンクトップ。デニムのスカート。さらに当然のように浮き輪を抱えたシャムが立っている。
「凄いよ!外人さんだよ!ほら金髪の人!」
「おい、シャム。この眼鏡が外人ならオメエは宇宙人じゃねえか!」
冷たくはき捨てる要。誠も要の言う通りなので苦笑いを浮かべるしかない。
「金髪ならマリアお姉さんとかエンゲルバーグとか居るでしょz?」
「でも私、この人たち会ったことないよ?」
アイシャのその言葉も、シャムには届いていない。
「もしかして……あなたがあの遼南青銅騎士団団長のナンバルゲニア中尉ですか!」
そう叫んだのはレベッカだった。彼女はそのままシャムのところまで近づくと。頭をなで始めた。
「この人、日本語うまいね」
「生まれが長崎なんですよ私」
全員がこの奇妙な組み合わせを眺めていた。




