保安隊海へ行く 167
「そんな大層なもんじゃないっすよ。山育ちなんで、サバイバルとかには結構自信があるだけっす」
シャムもそうだが、ラーナも遼南生まれの遼州人は自分と比べて妙に明るい印象がある。そう誠は思いながら要達を見回した。要は特に気にする様子は無かった。カウラは珍しそうにラーナの様子を伺っていた。アイシャが聞きたいことは彼女の趣味と合うかどうかの話だろうと推測が出来た。
四人に黙って見つめられても、照れるどころか自分から話始めそうなラーナを制して、茜は話し始めた。
「近年、特に前の大戦の終結後ですけど、法術犯罪の発生件数は上昇傾向にあります、そのため……」
「おい、茜。そんな御託は良いんだ。それより狙いはどこだ?青銅騎士団か?それともネオナチ連中か?アメちゃんが動いてるって話も聞くわな」
要は相変わらずガムを噛んでいた。茜はそれに気を悪くしたのか、答えることも無くじっと端末を操作していた。
「じゃあ『ギルド』と言う組織のことはご存知?」
ようやく茜が口を開く。要は自分の意見が通ったことで少しばかり笑みを浮かべた。
「噂は聞いてるよ。成立時期不明、組織構成員不明、ただ存在だけが噂されている法術武装組織のことだろ?どこの特務隊でも名前だけは教えられると言う非正規組織。命名はジョンブルだったか?」
要の言葉にカウラとアイシャは黙って聞き入っていた。
「法術犯罪自体が無かったことになっていた時代、先日の近藤事件以降に発生した法術重大事件の陰に彼等がいるだろうと言われてることもご存知なわけね」
「あの、話が見えないんですけど」
アイシャの質問の途中で会議室のドアが開く。
「ごめんなさい!遅くなっちゃいました?」
現れたのはレベッカだった。予想外の闖入者に眉をひそめる要。
「レベッカちゃん。こっちの席、空いてるわよ」
そう言ってアイシャが隣の席を指差す。
「法術に関する研究者か。叔父貴の狙いはアメリカとパイプをつなげときたいって所か?」
「法術研究の最高峰のアメリカ陸軍がお父様とは犬猿の仲である以上、彼女達海軍の方から情報を得るしかないのよ」
茜はそう言うと話を続けようとした。




