保安隊海へ行く 161
「ちょっと待ちなさい!要ちゃん!」
アイシャが要の肩をつかむ。そしてすばやく拳銃を抜き取った。
「要ちゃんもしかしてこのまま歩こうとしてない?」
「だってアタシ等コイツの護衛だぜ?銃の一挺くらい持っているのが……」
「だから抜き身で持ち歩くな」
カウラの声で渋々要はアイシャに銃を任せた。アイシャは手にしたバックに銃を入れる。
「これからはこう言うものを持ち歩きなさい」
アイシャはブリーフバックを指し示した。その重そうな持ち方から見て、彼女の愛用の拳銃H&K・USPピストルが入っていることは間違いないと誠は思った。
「それじゃあ行くぞ」
ようやく自分のペースを取り戻した要が歩き始める。夏の日差しはもうかなり上まで上がってきていた。アイシャは通り過ぎる猫を眺めながら取り出した扇子を日よけ代わりにしている。寮の駐車場は半分ほどが埋まっていた。今の時間に止まっているのは夜勤か遅番の隊員の車が大半である。
「早く開けろ。暑いんだから」
要の言葉に鍵を開ける要。そのまま後部座席に滑り込む。
「こっち来い!」
そう言うとサイボーグならではの強い力で誠を後部座席に引きずり込んだ。
「そんなに強く引っ張らなくても……」
「がたがた言うな!カウラエンジンかけろ、それから窓も開けるんだぞ!」
要の言葉に少し不愉快そうな顔をしながらカウラはエンジンをかけ、そのまま窓を開けた。
「今の時間だと駅前に向かう道は全部ふさがってるわね。裏道で行きましょ」
アイシャはそう言いながらナビを設定している。
「そうだな。引越しした直後に遅刻と言うのもつまらないからな」
そう言うとカウラのスポーツカーはすばやくバックし、そのまま切り替えして駐車場を出た。
「狭いなあ。カウラ、車買い替えないのか?」
要の言葉を無視してアクセルを吹かすカウラ。後ろを覗き込んで要と誠が密着しているのを見てこめかみを振るわせるアイシャ。
「良いんじゃないの、このままのほうが。誠ちゃんとラブラブごっこが出来るじゃない」
一瞬、アイシャの言葉が理解できなかった要だが、その視線でアイシャが何を言おうとしているのか理解すると誠の足を踏みつけた。




