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保安隊海へ行く 16

「凄いですねえ」 

 誠は正直に言った。そして意外だと思った。大体が戸籍上は叔父であり、血縁としては従姉に当たる嵯峨に似て妙なところにこだわりがある要を知った。

『意外にマメなんだ。見直したな』 

 そう思って要の顔を見る。要はまた機嫌良く酒を飲み続けている。

「はい!焼きそば」 

 いつの間にか誠の後ろに立っていた小夏が注文の品を運んでくる。誠は要の前のスコアを見ている。小夏も誠と同じ様な感想を持っているのだろう、時々要の顔と見比べながら凝視している。

「シャムちゃんが大好きな大たこ焼きよ」 

 春子は巨大なたこ焼きの並んだ皿をシャムに渡す。飽きた猫耳を外して、ちょろちょろ落ち着かない表情だったシャムの顔が満面の笑みに変わる。

「たこ焼き!たこ焼き!」 

 そのまま嬉しそうにたこ焼きに飛びつくシャム。そんなシャムを見つめながらどこか腑に落ちない顔のアイシャが見える。

「要。聞きたいことがあるんだけど……」 

 好奇心を抑えきれないようで、アイシャはそう切り出した。誠もカウラも要がまた不機嫌になるかと思いながらじっと二人を見つめている。

「なんだ?」 

 たこ焼きを自分の取り皿に移しながら要が答える。

「今日あんた、なんか変じゃない?」 

 ストレートすぎる。誠は冷や汗を掻きながら要を見つめた。しかし、要は別に気にしていないようで、グラスの酒をまた口に含んだ。

「どこが変なんだ?」 

 まじまじと要はアイシャを見つめる。タレ目、少しばかり頬が染まっているのは体内プラントのアルコール分解速度を落としているからだろう。だが要はまったく自覚していない棟に見えた。誠はそう確信した。理由は特に無いがとりあえず気分的にはハイなんだろう。しかし、そんな理由で満足するアイシャでないのも確かだった。

「お前と違って金の使い方は計算してるからな。お前らどうせアニメグッズ買いすぎて金がねえだろうから気を利かせたわけだ」 

 そう言うと要は勢いよく焼きそばに取り掛かった。なんとなく納得できるようなできないようなあいまいな答え。アイシャもその後にどう言葉を続けようか迷っているようだった。

「要ちゃんの奢りなんだ。いいなあ」 

 リアナがうらやましそうに要の方を見つめる。正面でジョッキを傾ける健一はリアナにそういわれて流れで頷く。

「奢りませんよ!」 

 とりあえずこの話題から逃げたいというように要は苦笑いを浮かべながらそう言った。しかし、その目は深い意味などないというようにすぐ焼きそばに向かった。

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