保安隊海へ行く 132
「おう、ご苦労さん!そこに置けや。それと一本ビールを持ってきてくれ」
部屋の奥に腰をすえた嵯峨がタバコをくゆらせ始める。誠が見回すと部屋には紙でできた飾りや、万国旗が飾られている。
「誠ちゃん!そこの紐持って向こうの梁に取り付けてくれない?」
アイシャがそう言うと、部屋の中央にある万国旗の紐を指差した。
「おい、アイシャ!せっかくビール持ってきてくれたんだ。少しは休ませてやれよ」
「言うわね要ちゃん。もしかしてあなたの部屋で何かあったわけ?」
目を細めるアイシャ。その言葉にシャムとサラが興味深げに要の顔を見る。
「馬鹿言ってんじゃねえ!そんなことあるわけねえだろ!先輩としての気遣いから言ってやってるだけだ!島田!オメエがやれ!」
「また俺ですか?人使いが荒いなあ」
愚痴りながら島田が万国旗の紐を持ち上げる。誠はビール瓶を持って嵯峨と吉田の隣に座った。
「まあ、一杯やろうや」
そう言うと後ろから栓抜きとコップを三つ取り出す嵯峨。
「お前もこれから大変だろうからな」
誠から瓶を受け取って、嵯峨の手の中のコップにビールを注ぐ吉田。
「なっちゃん!これ大丈夫なの?」
シャムがアイシャのバッグの中から取り出したクラッカーを取り出した。
「大丈夫ですよ。どこぞの馬鹿が拳銃ぶっ放すのとはわけが違いますから」
「小夏。それはアタシか?アタシのことか?」
そう言うと紙の飾りを取り付けようとしていた要がそれを投げ捨てて小夏に歩み寄る。
「要!急に離したら!」
パーラのその声の後、誠が吉田に注いでいたビールの中に紙の飾りが落ちた。
「おい、西園寺……」
「はあ?オメエ等、ビール運んできただけじゃねえか。それに糊の味が加わっておいしくなるかも知れねえぞ?」
「はい、喧嘩はそこまで。とりあえずお疲れ」
そう言うと嵯峨は一息でビールを飲み干した。気を利かせてビールを飲み干した誠が立ち上がった。
「大丈夫よ誠ちゃん。もう終わるから」
アイシャは要が放り出した紙の飾りを画鋲で壁に貼り付けるとあたりを見渡した。
「こんなもので良いかしら?」
「良いんじゃねえの?」
そう言いながら残っていたビールを自分のグラスに注ぐ。嵯峨は泡の少ないコップを何度か眺めた後、ビールを飲み干した。そしてそのコップがテーブルに置かれた時に宴会場にカウラ達が姿を現した。




