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RPG~召喚から始まる魔王討伐~  作者: 柊雪葵
第4章 決戦! 魔王城
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「説明すると言ってもほとんどさっき魔王が言った通りだ」



「それじゃまったく説明になってないじゃない!」



「いや、そもそもミリスは俺と魔王の関係を知ってただろ……」



「姉さんそうなの?」



「それは……聞いたことがあるようなないような」



 鳥頭かよ……

 俺はあの時もミリスに問い詰められる形で説明をしたんだが……



「…………お兄さん……説明した……」



「なんでそれをサシャが知ってるのよ!?」



「…………あの時……ミュナーの酒場……いた……」



「ってことはサシャは最初から知っていたのか?」



「…………」



 サシャはいつものようにコクコクと頭をふる。

 まさか聞かれていたとは思いもしなかったわ……



「──つまりどういうことなのだ?」



「簡単に説明するとマスターは魔王を召喚することができます。それでまあ色々あって1年以内に魔王を討伐しなければならない状況になったわけなんです」



「……つまり三厳(みつよし)が全て悪いってわけか」



「いや違うから!」



 リリィも相変わらずの説明ベタだな。

 これじゃ俺が魔王を怒らせて宣戦布告をくらったと取られてもおかしくはない。



 いや確かに怒らせるようなことはしたし、あながち間違ってはないのかもしれないんだけど。



「私の説明の仕方が悪かったです。あの日──私がマスターに召喚された時には既にマスターは魔王を召喚した後でした。そしてそれとは無関係の事態としてモンスターの群れが始まりの街を襲撃してきました」



「それは拙者も覚えているでござる。百鬼夜行が街に向かって来た時は崩壊すらも覚悟したでござる」



 そういえば正成(まさなり)が仲間になる前のことだが、あいつはあいつであの街にいたんだもんな。

 知ってて当然と言えば当然なのか。



「それで私が前線に立って襲撃を止めようとしたのですが、数があまりにも多すぎて結局止めることができませんでした」



「その時俺が魔王を呼び出してその襲撃を止めたわけだ。──しかし魔王としては冒険者側に肩入れをするわけにもいかず、その結果としてあいつが言ったのが1年後に冒険者の代表と戦うということ」



「それを理由に魔族が冒険者を襲うことを禁止にした。──というのが事の発端です」



「なるほどね。そこまでは理解できたわ」



「三厳が悪いわけじゃないのか……」



 おいエリス!

 どうしてお前は残念そうな顔をしているんだ!

 そこまでして俺のせいにしたかったのか!?



「しかしそれではゼノ殿が仲間としてパーティーに加わっていたわけが分からない。その取り決めが行われたのであれば三厳殿と魔王は敵対関係になるわけだが、どうして敵に塩を贈るような真似をしたのだ?」



「それは魔王が冒険者たちとの全面戦争を望んでいなかったからだ。魔王やゼノ、バルハクルトは魔族の中でも穏健派。食糧を確保するために冒険者を捕食することはあっても無為に殺戮したいわけではないってことだよ」



「それならば話し合いで解決ができるでござる」



 話し合いで解決か。

 そういえば昔俺もそんなことを魔王に言ったことがあったな……



「それは無理だった。魔族の中にはこの前戦ったジルバークのような急進派も多く存在する」



「なんだかかなり複雑な話なんだね……」



「──ただいまから、魔王軍対冒険者の決闘を開始します! 第1試合に出場する選手はそれぞれ闘技場入り口でお待ちください」



 まだ説明途中だというのにアナウンスが鳴り響いた。



「はあ……説明途中だがきりやめるぞ。これからは戦闘に集中してくれ」



「はい」



「御意!」



「わかったわ」



「仕方ないなー」



「承知した」



「…………」



 6人はそれぞれ返事こそは違うが1つの方向を向いてくれた。

 分裂の危機は乗り越えたと言ってもいいだろう。



「それで第1試合は誰が戦うのですか?」



「第1試合はサシャに行ってもらう」



「えっ!? 最初からサシャを使うなんて何を考えているの!?」



「説明をしてる暇はないんだ。とりあえずサシャはこっちに来てくれ」



 控え室の奥。

 闘技場へと続く道へサシャと2人で向かう。



「サシャにやってもらいたいのは──」



 そして耳打ちをしてサシャに指示を与えると「分かった」と返答があった。



「──…………お兄さん……」



「どうした?」



「…………んっ……いってきます……」



 そしてサシャは俺の唇を奪い闘技場へと歩いていく。



「──それでは第1試合! 選手の入場です。──冒険者チーム『聖者サシャ』対魔王軍『第3貴族ウレーヌス』!」



 俺はそんな実況を聞きながらその小さな背中を見送ることしかできなかった。

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