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RPG~召喚から始まる魔王討伐~  作者: 柊雪葵
第3章 魔王城への道
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 それは大雨が続いた3ヶ月目のことだった。



 ……ん?

 あの建物に向かった後はどうなったのかって?



 結論だけいうと廃墟だった。

 別にモンスターと遭遇したわけでもないし、何か変わったものがあったわけでもない。

 語るほどの出来事もなく、あの後街に帰っただけ。



 それじゃ話を元に戻そう。



 まあ、あの時の俺らは大雨の前に足止めをくらっていた。



「雨……やみませんね」



「こっちに来て初めての大雨なんだが、これは何日も続くのか?」



「私にもこれだけの雨が降った記憶がありませんから分からないですね。アクルセイドさんは何か知りませんか?」



(それがし)もこの世界に来てもう20年ほどになるが初めての経験だ。──そもそもこの周辺だけ雨が降っているならともかく、全域的に雨が降るなんてことがあるのだろうか?」



 このパーティーの中で冒険者として最古参のアークですら知らないのであれば、この先の予測をすることなど無理な話であろう。



 念のためにライドラにも聞いてみたが、年中雪の降っているあの山に棲んでいる時点で宛にはならなかった。



「…………灰色の向こう……空……晴れてる…………そんな話……聞いた」



「それがホントならライドラに乗ってそこまで行けば三厳(みつよし)は旅を続けられるんじゃないの?」



「おい、無茶を言うなよ……」



 確かにサシャの言う通りあの雨雲の向こうには晴れ渡る空が待っている。



 上空は酸素が薄いが、登山でも雲の上くらいにはいけるからどうにかなるだろうと思っていた時もあった。



 しかし試した結果、俺は動かなければどうにかなったが、ライドラの方は高山病に似た症状を訴えたんだよな……



「どちらにしろ召喚士が先に進めようが、進めまいが、私たちが暇であることには変わらないのよね……」



「それはそうだね」



「この狭い室内では剣の鍛練も出来ぬ」



「──ところでマスター。正成(まさなり)さんとゼノさんはどちらに行ったか分かりますか?」



 リリィの言う通り、ここ──俺の泊まっている部屋にはゼノの姿はない。



「正成は山に柴刈りに、ゼノは川に洗濯に行ってるよ」



「あいつら何をしてるのよ……」



「2人とも大丈夫なのでしょうか?」



 あっ、はい。

 元の世界では──というか日本では誰もが知っているような有名な話であってもRPGでは通じないか……



「──召喚士殿! 山から大きな桃が流れて来たでござる!」



「なんで山から流れて来るんだよ」



「流れ的に拙者しか意味が分からないかと思ったのでござるが、召喚士殿が山と言ったからこうなったでござる」



「あんたたちなんの話をしてるのよ……」



 2人で盛り上がる俺たちの話に対してミリスが呆れたようにツッコミを入れる。

 それに賛同するように他の4人もうんうんと頷いていた。



 なんだよ!

 俺たちアウェイかよ!



「桃太郎でござる」



「俺が昔いた場所では有名な昔ばなしだな」



「そんなの分かるわけないじゃん……」



「まったくだ……」



「それで正成さんはどこに行っていたんですか?」



 リリィが仕切り直すように鬼な質問をする。

 これ、質問されたのが俺なら泣いてるな。



「拙者は最初からこの部屋にいたでござる!」



「ああ、正成は最初からこの部屋にいたんだよな……」



「えっ、嘘!? ござるの人影が薄すぎて気付かなかったよ」



「某も気が付かなかった……」



「あんまりでござる……それと拙者は正成でござる」



 いつも通りのこの流れも今は悲愴感しかない。



 心象風景が本当に存在するのであれば、この雨は正成の悲しみを表していると解答できれば満点が貰えることだろう。



「まあ、正成もだいぶ気配を消すのがうまくなってきたからな」



「召喚士殿には気付かれていたからまだまだでござる」



「──ホント、まだまだだな」



「────」



 誰が何を言ったのか分からないくらい一斉に驚きの声が上がった。



 てか、みんななんで芸人並みのリアクションをしてるんだよ……



「ゼノウィリア殿もいたでござるか?」



「多分ゼノも最初からいたぞ」



「ああ俺も川に洗濯になんて行かず、最初からここにいたな」



「もう……ホントどうなっているのよ」



 途中から展開的にゼノもいるんだろうなとは思っていたが、まさか本当にいるとはな……



 こいつの気配の消し方だけは異常だから仕方がないが、心臓に悪いからやめてほしい。



「これくらいは獲物に気取られずに近付くための初歩技術だろ……もしお前らが俺の標的だったら殺されていたぞ」



 ゼノが言うと冗談で済まないからやめてくれ。



 これは俺が仲間を攻撃できないように誓約を立てていなければ全滅もあり得た話だぞ……



「その技術は某にも使えるようになるものなのだろうか?」



「さぁな。要領とセンスの良い奴ならできるようになるんじゃないか」



「その技術ご教示いただきたい!」



 アークがゼノに土下座をして頼み込む。

 そこまでするのかとは思うが、育ってきた環境が違うから行為の意味が違ってもおかしくはないしツッコまないでおこう。



「拙者にも教えてほしいでござる!」



 ついでに正成まで土下座し始めたよ……



 こいつの場合は俺の知っている意味と同じだが、まあ、古風な忍だから絵にはなるんだよな。



「どうせすることもないし簡単になら教えてやるよ」



 そしてその後、なんか偉そうなゼノによる気配の消し方講座がスタートするのであった。

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