第九章:・・・・・・・・ ~『はっちゃけ娘』~
確信は無かったが、ゆりには、『今、私のこの中には、ツッキーがいる』
元気もとり戻し、苦手だった美術の成績も、そして体育の成績も上がった。
ただ、誤算であったのは、今まで主要5科目の偏差値「70」以上が、今や「50」を切るか切らないかに、なってしまっていた事ぐらいである。
目標だった早明高校への入学は、諦め、近くの公立の総合高校への入学になってしまったが、セーラー服もかわいいし……。
ゆりは、まるで、月子のように、
「まっ、いいか~」と。
ゆりのお父さんもお母さんも、そして家政婦さんも、元気で過ごしている姿を見られる事の方が、名門私立高校への進学より、ずっと幸せだった。
ゆりの部屋には、共同作品の、
『満月につつまれ、光輝き集まる星々達 by ツッキー&ゆり』が飾られ、
ツッキーと一緒にいられる自分が嬉しかった。
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そして、月子の家では、いつものように茶の間のテーブルに椅子が4つ。
父さん、母さん、姉さんが座り、残った1つの席には遺影が。
テーブルの上には、小さなホールのイチゴのケーキが4等分にされ、
姉さんが、
「誕生日、おめでとう、月子 ……」
母さんが、
「はい、これが月子の分だよ ……」と、切り分けたケーキの1つを席の前に置き、
父さんが、
「ちゃんと、人様のお役にたっているのか?、邪魔してないか? ……」
その遺影からは、すぐにでも飛びだしそうな満面の笑みで、
「何、みんな、しんみりして、大丈夫だがら。私はなんてったって『はっちゃけ娘』なんだから!!」と言っているような気がした。
そして、遺影のすぐ後ろには、得意だった美術も活かせる総合高校の真新しいセーラー服が、
飾ってあった。
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END
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もし、最後まで読んで下さった方がいれば、ありがとう御座います、感謝です。
今まで、理系畑で時を過ごしていましたが、何かプチ小説? でも書きたいなと思っていた私です。まだまだ、読んで頂けるレベルでは無いのかと思いますが、これからも投稿をしたいと思っています。
いつかは、皆さんの頭の片隅に『えだいち』と、残れるよう執筆したいと思っています。
ありがとう御座いました。