ACT.32 ドライブはもう終わり
ドライブはもう終わりたのは赤城山だ。
頂上の駐車場で4人は何か話している。
「大崎さん……1回、おらのC33を運転しませんか?」
「えェ?」
自分の車を運転してみないかと熊九保は翔子に訪ねる。
「これいいねッ! くにちゃん、熊九保さんの車を運転する大崎ちゃんを見てみたいよッ!」
「うちもいいわ~ッ! 大崎はんのC33を運転するところ見たいでッ!」
川畑と小鳥遊
「いやァ、無理だよ。他人の車を運転するなんて無理だよ、ぶつけたら修理費が掛かるし、この車の具体的な情報を知らないから怖いよ」
もしぶつけたら修理費が掛かる、
車の情報を知らないという理由から、運転は無理だと言う。
「いやいや、そんなことは気にしなくてもいいですよ。おらの車を運転してみてください。ワンエイティ以外の車を運転してても大崎さんが速いかどうか確かめたいんです!」
そんなことは気にしなくてもいい、ワンエイティじゃなくても速いかどうか確かめてみたいと自分の車を運転してみてほしいと言う。
「いいけど」
翔子は承諾した。
「よしッ! おらの車の運転席に座って、ハンドルを握ってくださいッ!」
翔子は熊九保のC33の運転席へ座る。
その横の助手席には熊九保が座った。
残りの2人、小鳥遊と川畑は後部座席へと座る。
「智姉さん、他人の車を運転するおれの姿をポケットの中から見てください。チュッ♥」
座ってすぐ、ポケットの中から智の写真を取り出す。
取り出した後は“自分の走りをみてください”と言い、キスする。
キスの後は写真をポケットの中に戻す。
「よーしッ! 出発をするよォーッ!」
ハンドルを握って、出発進行。
駐車場を出て、長い直線へと入る。
(大崎さん、おらのC33をどう運転してくれるべか……。ワンエイティみたいに豪快なドリフトを決めるだろうべか……。おらのC33は今日1日だけだが人をたくさん乗せるために、車内全体に付けていたロールバーを外し、軽量化のために外していた後部座席を付けただ。今日だけ弱体化したC33をどう運転してくれんだろうべ……) 自分の車をどう運転してくれるんだろうかと熊九保は考える。
実は熊九保、今日は人をたくさん乗せるために、剛性アップにC33の車内に付けていたロールバーを外し、軽量化に外していた後部座席を付けていたのだった。
ただし、これは今日限定のことだ。明日にはロールゲージを付け直す&外し直すらしい。
ロールバーとは車の事故から乗客を守るために付けられる鋼やアルミでできたフレームのことを言う。ロールゲージ、見た目からジャングルジムと呼ばれることもある。
多くの競技車両に装着され、主要なカテゴリにはレギューションで義務づけることによって、クラッシュ時にドライバーの命を事故から守っている。
ノーマルの車にも採用されることもあり、ダイハツ・コペンのようなオープンカーや、ルノー・メガーヌR26.Rのようなパフォーマンスカーに採用されている。
「第1コーナー、どう攻めるッ!? あ~緊張するべ……」
車は長い直線を終え、第1ヘアピンへ入る。
あそこで翔子がどう攻めるか考える熊九保は緊張してしまう。
「行くよッ!」 ヘアピンに入り、C33をスライドさせる。
ガードレールギリギリにぶつけそうなインで進入し、他の3人に負担を掛けないように、豪快さを合わせながらも丁寧にハンドルを曲げる。
その速度は150km/hだ。
キュイッ! と音を立てながらドリフトする。
「うわァッ! 運転しているのは他人の車なのに豪快なドリフトですねッ!」
運転しているのは他人の車にもかかわらず、翔子は豪快なドリフトを見せることに熊九保は驚く。
例え乗っている車が他人の物でも、翔子のドリフトの豪快さは消えない。
ヘアピンの後は短い直線を通り、またヘアピンだ。
翔子の運転するC33は150km/hというトップスピードでヘアピンに入った。
トップスピードから来る豪快なドリフトで攻めるッ!
「ヤッホーッ! 最高ォーッ!」
「あんたのドリフトは気持ちいいでッ!」
後部座席の2人は翔子のドリフトに喜ぶッ!
第2ヘアピンの後は長めの直線を抜け、連続コーナーへッ!
そこに入ると軽くブレーキを掛けて、ドリフトで進入ゥゥゥゥ!!
「行くよォーッ! イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェェーーーーーーッッ!!」
ドリフト時に叫ぶ決めセリフを叫んでコーナーを攻めるッ!
攻めるゥッ!
攻めるゥゥゥゥッ!
火事のような白煙を出し、狼のような鳴き声のエンジン音立てながら攻めるゥゥゥゥッ!
「これは本当に無免許べッ!? これは本当に他人の車を運転しているものべッ!? 大崎さんは主走前に"熊九保さんのC33ローレルの情報は知らない"と言ってたけどォ、ワンエイティを運転しているみたいに操っているだッ! 恐ろしいドライバーだべ、大崎さんは恐ろしいべッ!」
他人の車を運転をする翔子のそれとは思えない運転を見る熊九保は驚きが止まらない。
さらには驚きから来る興奮のあまり、地元の方言が出てしまった。
「大崎ちゃんのドリフトォ~ッ! くにちゃん気持ちいいィィ~!」
「大崎はんはワンエイティ以外の車に乗ってても最高やでェ~ッ!」
他人のC33で魅せる翔子のドリフトに後部座席の2人は気持ちよく楽しんでいる。 「このまま行くよッ!」
翔子が操るC33は連続コーナーを次々にクリアしていく。
その後も翔子は熊九保のC33を操りあ赤城の峠を駆け抜けていった━━。
ふもとの駐車場。
「大崎さんはワンエイティ以外の車でもすごいということが分かりましたね」
「いや……いや、そんなことはないよ━━」
翔子はワンエイティ以外のでもすごいということを熊九保は感じた。
けど、翔子はそれを実感していない。
「でも、すごかったと思うよッ! またワンエイティ以外の車でもドリフトしてよッ!」
「うちもやッ! あんたのワンエイティや、熊九保はんのC33じゃない車でも見せて欲しいでッ!」
他人の車を運転し、それをしているとは思えないほどのドリフトテクニックを見せたがら、小鳥遊と川畑はそれをもう1度見たいというほどすごかった。
「さぁねぇ……。今度は考えとくよ」
「答えはないんかいッ!」
翔子の“考えとくよ”に小鳥遊と川畑はツッコむ。
「じゃあ、帰ろうか。大崎さんの家に帰ろうか」
「せやな」
もう帰ろうかと熊九保は言う。
「もう帰りましょう。車に乗ってください」
4人は熊九保のC33に乗る。
運転席には翔子ではなく、熊九保。
翔子が座ったのは助手席だ。
後部座席には右に小鳥遊、左に川畑が座っている。
「じゃあ、大崎さんの家へしゅっぱーつッ!」
赤城山ふもとの駐車場にいる熊九保のC33は出発を開始した。
駐車場を出て、目的地へのドライブが始まる。
前橋の市街地。
一般車に紛れながら熊九保ら4人が乗るオレンジ色のC33が走っている。
「今日は楽しかった?」
今日のドライブは楽しかったか熊九保は3人に聞く。
「楽しかったよッ!」
「くにちゃんもッ!」
「うちもやでッ!」
熊九保以外の3人は楽しかったと答える。
そうか、楽しかったのか。
「そうだったね。今日を思い出すといい思い出だらけだよ」
今日を思い出せばいい思い出ばっかりの日だったと熊九保は言う。
が、熊九保のいい思い出はさっきまでのこと。
その次には悪い思い出が来るのだった。
「ティアナァァァァ!? 嫌ァァァァァ!! 嫌だべェェェェェェ!! おらはティアナが嫌だべェェェェェェェェェ!!」
そう、目の前にはティアナが走っていたのだった。
ティアナが嫌いな熊九保はすぐパニックになり、叫びだす。
「帰りに悪い思い出ができるなんて笑っちゃう……ンフフフッ!」
ティアナを見てパニックを見た姿を見て、おかしさのあまり翔子は爆笑した。
午後3時30分、熊九保C33は智の家に着いた。
家に翔子ワンエイティと、もう1台智のR35が止まっている。
仕事から智が帰ってきたようだ。
「大崎さん、着きましたよ。ここはあなたの家です」
「ワンエイティ、おれは帰ってきたよ」
帰ってきた翔子は車から降り、
家に止まっているワンエイティにあいさつをした。
「今日はいいドライブでした。じゃあ、おらはくにちゃんと川畑はんを家まで送ります。またです!」
「またね~! 今日は楽しかったよッ!」
熊九保は翔子にさよならし、車は家を出発する。
次の目的地は小鳥遊と川畑を家まで送ることだ。
「帰ってきたのか、大崎。どこに行っていたのか?」
家から智が出る。
R35が家にあるとおり、智は仕事から帰ってきたようだ。
熊九保とのドライブから帰ってきた翔子に、どこにいっていたのか聞く。
「熊九保さんたちと一緒にドライブに行っていました」
翔子は熊九保と一緒にドライブに行っていたことを言う。
「どうだったのか?」
感想を訪ねる。
「楽しかったです」
楽しかったと翔子は答えた。
そりゃそうだもんな。
「今日のドライブは楽しかったようだな。私に何があったか聞かせてくれ」
「聞かせます!」
今日は仲間と共に、1日楽しい日々を過ごした翔子だった。
午後11時、赤城山。
メゾメゾという雰囲気の音が鳴る夜の峠に3台の車が登ってくる。
3台には「土、風、火」と書かれたステッカーをリアフェンダーの左右両方を貼っている。
先頭の車種はトヨタ・86、色は黒。
2番目の車種は三菱・スタリオン、色は黄色。
そして最後尾の車はレクサス・IS350(初代)、色は銀色だ。
それらの車は、目の前の君たちならどこかで見たことがあるだろう。
そう、かつて翔子を馬鹿にしたあげくに敗北してしまった3人組の車だ。
86に乗る黒髪ツインテールの少女の谷村と、スタリオンに乗る金髪セミロングの関西少女の堀内、そしてISに乗る銀髪二本結びの女性の矢沢。
3台の車にはステッカーは前後ウインドウに「DUSTWAY」のステッカーが貼られていたが、今はそれがない。脱退したんだろうか?
3台は赤城山の頂上にある駐車場に着く。
ここにはDUSTWAYリーダーの雨原芽来也とその愛車、FD3Sがある。
「よぉーゥ! 雨原ッ! 今は敵同士だけど来てやったよッ!」
谷村の雨原を呼び捨てすること、
敵同士という発言━━。
そう、谷村たちはDUSTWAYを脱退したのだッ!
「あたしは「アースウインドファイヤー」のリーダー、谷村ッ! 今のDUSTWAYが嫌だから脱退したよッ!」
脱退した谷村は独立して新チーム「アースウインドファイヤー」を結成したのだッ!
谷村たちの車の貼っていたリアフェンダーのステッカーはチームのロゴだったッ!
「あたしたちは大崎翔子と言う無免許ごときに葛西サクラが負けたのが嫌だったんだッ!」
脱退を決めるキッカケはサクラが翔子に負けたことだった。
「葛西サクラの敗北を聞いたうちらはあいつと一緒にいることが嫌になって、彼女への呼び方が「さん」付けから呼び捨てするようになり、彼女を見たら「この弱虫」と馬鹿にしとった」
「葛西サクラが敗北し、それが原因でチームの弱くなることを恐れる私たちは「ここにいる意味がない」と思ってチームを脱退し、この新しいチームを作ったわ」
堀内も矢沢も続く。
サクラの敗北を機に、サクラのことを嫌い、サクラを馬鹿にし、サクラが敗北を機にチームが弱体化するかもしれないと悲観した3人はチーム脱退し、この新しいチーム「アースウインドファイヤー」を結成するのだった。
「サクラを馬鹿にするんじゃねェーッ! あいつは走ることに1番頑張っているんだッ! あいつは弱くないッ! あいつはあたしが認めた走り屋だッ! 大崎もそうだッ! あたしは大崎を無免許だが認めてるッ! サクラは悪くないッ! 無免許に負けたぐらいで悪くないッ! 無免許でも大崎にように強い走り屋だってたくさんいるッ! 大崎はWHITE.U.F.Oのメンバーに勝つほどのウデがあるんだッ! サクラは負けたの相手が強すぎるからだッ! サクラは悪くないんだッ!」
谷村ら3人の発言に雨原は激怒するッ!
サクラは弱くないとたくさんある怒りの言葉を谷村にぶつけるッ!
「そう言われてご立腹ですか~?」
「そりゃ、ご立腹だよッ! チームメンバーを馬鹿にされてカンカンだよッ!」
自分のメンバーを馬鹿にされていることに雨原は腹が立っている。
それは自分を傷つけるようなこと同じで腹を立てているんだ。
楽しい楽しいドライブももう終わりです。
終盤、話がやっと進んだと思います。
展開を速くしたい……。




