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最速の美少女オオサキ ~幼い美少女ドライバーと赤城の山~  作者: まとら 魔術
キャプター2「となりの白い未確認飛行物体」
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ACT.20 ヒルクライムでの戦いッ!

 時間は午後11時になる。バトルの予定時刻だ。

「今回はサクラと違うじゃん。下って競争じゃなく、登って勝負するじゃんッ!」

「登り下りでも関係ない。おれはここを何回も走ってきたから」

 バトルはサクラとバトルしていた頃と違って、ヒルクライムだ。

 このヒルクライムは翔子にとって初めてじゃない。智と一緒に走ったり、熊九保たちとの勝負でもヒルクライムを走っている。

「何回走ったって言っても、あたしは地元でのヒルクライムは無敵だったじゃん。あたしは強いぜ。じゃあバトル開始と行こうか」

 2人はそれぞれの車に乗る。

 スタートラインに智が立つ。このバトルのスターターは智がやるようだ。

「カウント行くぞッ! 10秒ッ! 9ッ! 8ッ! 7ッ! 6ッ! 5ッ!43ッ! ッ! 2ッ! 1ッ! GOッ!」

(ヴワアアアアン! ヴォオオオオオオオアアアアアンッ!)

(ウワオォォォォン! オワアアアアアアアンッ!)

 智がスタートの合図を終えると2台がスタートする。

 サクラ戦同様、先行は翔子ワンエイティだ。

 

 最初のコーナー、5連続ヘアピンに入る。

「あれ、ドリフトしてねーじゃん」

 後ろの柳田はいつも使っているサイドブレーキのみのドリフトでコーナーを攻めるものの、

 前の翔子はドリフトではなく、ほとんど使わないグリップ走行で攻めた。


 翔子の使ったグリップ走行とは、車をスライドさせずにコーナーを攻めることを言う。

 ステアをきって、出口付近で加速を始めるという、教習所で習う走り方をそのまま発展させた方法なんだ。

 GTやF1といった舗装された道路を走るレースではこれが一般的だ。


 次のコーナーも同じ。翔子はいつも使っているドリフトではなくグリップ走行で攻めていった。

 3つ目、4つ目、5つ目もドリフトで攻めず、グリップ走行で攻める。

「柳田のZ33、コーナーでワンエイティを追いつめているッ! 重くて曲がりにくい車なのに速いッ! あと、前のワンエイティはなんでドリフトしないんだ?」

 柳田Z33は重量級で大柄な車でありながら、軽量級で小柄なワンエイティをコーナーで追い詰める。

 今回、翔子ワンエイティがなぜドリフトしないのかギャラリーは疑問に思う。

「速い──Z33はドリフトが難しく、車重は重い車なのにコーナーでおれのワンエイティを追いつめていく……」 

 Z33はJZA80より車重の重い車。(1550kg)

 柳田はこの重量級マシンでサイドブレーキのみドリフトをしながら翔子ワンエイティと互角にコーナーで戦う。


 ワンエイティとZ33が5連続ヘアピンを終えた頃、ふもとにて……。

「(ピピッ!)5連続ヘアピンはワンエイティが先行! ワンエイティはドリフトせず、グリップ走行のようです!」

 バトルの状況をギャラリーがケータイで伝える。

「なんでドリフトしなかったんだ……」

「──サイドブレーキのみのドリフトに対向するのに……グリップ走行か……。グリップ走行をさせているのは作戦なのかァ……!?」

 翔子のグリップ走行は柳田の走行スタイルに対する作戦だとサクラは考える。

 果たして作戦なのだろうか……。


 バトル中の2台は登り第1高速セクションに入る。

「着いてやるぜッ!」

(ウワォォォォォォン!)

 柳田Z33が直線からのハイパワーで先頭の翔子ワンエイティに着きまとう。

「500馬力は伊達じゃないね──おれのワンエイティにギリギリ着いていく。柳田ってこんなにすごい走り屋なんだ……曲線でおれと互角に渡り合い、今直線で苦戦している」

 速い。直線では350馬力トルク47Kg・mのワンエイティじゃ、500馬力トルク59kg・mのZ33に勝てない……。


「抜いてやるじゃんッ! 大崎ィ、サヨナラだッ!」

 2台は右ヘアピンに突入する。 翔子は引き続きグリップ走行で突っ込む。

 柳田はフットブレーキを踏まず、サイドブレーキだけのドリフトでヘアピンに攻める。 グリップ走行とドリフト走行がぶつかり合う。

「抜いたぞッ! 柳田さんのZ33が抜いたぞッ!」

 柳田のZ33が翔子のワンエイティを追い抜く。

「抜かれたけど、気にしないッ! 前の柳田に着いていくよォ」

 抜かれた翔子はここから着いていこうとワンエイティに話しかける。 翔子は柳田の後ろをどう着いていくのだろう。


 ゴールの頂上……。

「(ピピッ!)高速セクション後のヘアピンにて柳田さんのZ33がワンエイティを抜きましたッ!」

「大崎さんが抜かれた!」

「さすが柳田マリア、ヒルクライムが得意というわけがあって速いね……」

「あのZ33は恐ろしいで」

 頂上にも柳田が翔子を追い抜いたこと伝えられる。 RB20三人衆はそれを聞く。

「大崎さんは強い走り屋、絶対勝ちますよ!ダウンヒルではサクラの80に勝つし、ヒルクライムではあたしのC33に勝つから。頑張れ大崎さん!」

 後攻になっても翔子が勝つと熊九保は思う。

「けどォ、柳田マリアは結構速い走り屋や。地元榛名のヒルクライムではほとんど負けてないで。赤城(ここ)の登りで も暴れていたんやで。これぐらい強い走り屋や。大崎はんは勝てないと思うで」

 しかし、柳田は榛名の上りではほとんど負けてない走り屋だ、赤城山でも結構勝っているので柳田が勝つかもしれな いと畑冷静に考える。

「バトルのことはいいけど、なんか忘れてなかった?」

「なに?」

「年齢サバ読んだことを謝ることだよォ!」

 突然、小鳥遊は翔子が年齢をサバ読んだことを言う。

 もうそれは終わっただろ!

 さっき翔子は謝ったんだッ!

「大崎ちゃんは謝ってくれたんだろうか……」

「もし許してくれなかったら……」

「大崎ちゃんが殺されるゥゥー!」

 おいおい、小鳥遊。翔子は謝ったぞ。

 そして許してくれたぞ


 RB20三人衆の会話はさておき、翔子の視点に戻ろう。


「速い……。速すぎて追いつけない──」

 翔子は柳田に離されていた……。

 距離は100m以上に離されている。

「遅い……遅く感じる……。赤いワンエイティが遅く感じるぞォ!」

 離されているのは、柳田Z33が速いのではなく翔子ワンエイティが遅いからだと、そばにいる男ギャラリーは見る。

「どうすればいいんだろう……差を縮めるには………。タイヤ温存のためにはドリフトなんてしたくないし……」

 ずっとグリップ走行だったのはタイヤ温存の作戦だったらしい。

 サクラの言っていた「(タイヤ温存の)作戦かもしれないな」という発言は的中した。


 柳田にどんどん離されていく翔子。

 その距離をどう縮めるのか、 果たして距離を縮めることができてタイヤ温存のできる作戦はあるのか?


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