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最速の美少女オオサキ ~幼い美少女ドライバーと赤城の山~  作者: まとら 魔術
キャプター2「となりの白い未確認飛行物体」
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ACT.21 タイヤ勝負

 現在柳田との差は230m離れている。

 翔子の眼には柳田の姿はない。

「ワンエイティはすごく離されている……あのサクラに勝ったワンエイティは柳田Z33に負けるのかァ?」

 翔子が柳田に負けると思うギャラリーも現れる。

「どうすればいいだよォ……差を縮めるのは……」

 離された翔子は焦り始める。

 どう縮めるかを焦り出す。

 今回はタイヤ温存のためにはドリフトなんてしたくない。

 どうすればいいのか……。


 が、2連続ヘアピンに入ると 翔子の走りが光り始めたッ!

「曲がり過ぎないように……。1つのコーナーをハンドル曲げすぎないように走るよゥ……。」

 今までのコーナー同様にグリップ走行で突っ込む。

 曲がりすぎないように突っ込む。

 すると……。

「ワンエイティ、曲がりすぎちゃダメだよ。あれ、ワンエイティが小刻みに曲がっているよ!」

 翔子は1つのコーナーをトントントン、とハンドルを曲げながらコーナーを攻めていく。

「そっかッ! ハンドルを曲げる続けるのではなく、ときどきハンドルを戻しながら曲がるほうがいいんだね」

 この、ときどきハンドルを離しながら曲がるほうが走るほうが早く走れると翔子は感じる。

 この走り方を「グリップとんとん拍子」と名付けよう。

「ワンエイティ、柳田のZ33に着いていくよ!」

 2つ目のコーナーをグリップとんとん拍子で曲がっていく。

 グリップとんとん拍子でコーナーを曲がっていくことで、柳田のZ33との差を縮めていく。


 ふもと。

「大崎がグリップ走行しているのは、タイヤを温存させるためだ」

 智は翔子がなぜグリップ走行をしているのかを言う。

 実は翔子、タイヤを温存させるためにグリップ走行で走っている。

 ドリフト走行だとタイヤに負担を掛けやすいため、タイヤの負担が掛からないグリップ走行で走っているのだ。

「(ピピッ!)こちら第2高速セクション前のコーナー。順位は変わってませんがワンエイティのコーナリングスピードは速くなっています」

「ワンエイティ乗りの大崎はなかなかやるな……。が、柳田にヒルクライムで勝とうとするなんて甘くはない。柳田は俺たちから見たらよその場所である赤城(ここ)でも速いからな。柳田に勝とうなんて10年速いんだよ」

 トランシーバーを持っている女性ギャラリーが今の状況を説明する。現在翔子は第2高速セクションにいるようだ。

 翔子のスピードは「グリップとんとん拍子」で速くなったものの、それでも戸沢は「柳田に勝てない」という。


 第2高速セクションの終わり、

 その後の2つのコーナーをグリップ走行で抜ける。

「見つけたよォゥ! 柳田ッ!」

 ワンエイティの視界には一瞬柳田Z33が見えた。

「追いかけるよ、ワンエイティッ! イケェーッ!」

(ブオーン、ブオーンッ!)

 第3高速セクション。

 柳田のZ33に追いつくために翔子はワンエイティのアクセルを全力で踏む。

「来たか、前には行かせないじゃんッ!」

 セクションが終わり、連続ヘアピンへ。

 翔子のワンエイティが柳田の後ろに食いつく。

「ワンエイティずっと後ろにいろッ!」

 サイドブレーキドリフトでワンエイティの追い抜きをブロックする。

 柳田は翔子を前に行かせたくないようだ。

「ここで抜いてやるッ!」

「行かせねーじゃんッ!」

 U字ヘアピン。

 翔子は攻める。

 が、柳田のドリフトでブロックされてしまい、追い抜けなかった。

「このままブロックすれば勝てるじゃんッ! もう勝ったッ! 残念だったな、これで最終回じゃん、もう終わりじゃん。これ以上続いたらダメじゃん」

 翔子の追い抜きをブロックした柳田は勝ち誇る。

 これ以上ブロックすればもう勝ったと思った。

 が………ッ!

「柳田のZ33はスタートした(ころ)より動きが変になっている……タイヤをいじめすぎたみたい。タイヤをいじめすぎて動きが変になっているよ……」

 翔子の脳裏には電流が流れるッ!

 柳田の動きが最初と違って変になっていると翔子は見た。

 そう、柳田はサイドブレーキのドリフトの使いすぎでタイヤを痛めつけてしまった。

「行くぜッ! Z33ッ! くッ、前より動かしにくくなっているじゃんかッ!」

 タイヤを痛めたことでグリップ力が低下し、ハンドリングも悪くなり、操作がしにくくなっている。

「まだ終わりじゃないよ、柳田ァ! おれはこれからも続けるよッ! 行くよワンエイティ、柳田を追うよッ!」

 U字コーナーと、その後の3連続コーナーを抜け、直線に入る。

「パワー全開で直線を駆けてやるじゃんッ! あれ、ワンエイティに追いつかれている……。どうしたZ33ッ! パワー低下したのかァ!」

 直線で煽ってくる翔子のワンエイティを柳田は必死に逃げようとするが、

 Z33のほうがパワーは上回るのに関わらず、非力なワンエイティにギリギリ着いていかれる。

 パワーが低下したと思っているものの、実は違う。グリップ力低下のせいで車のパワーを伝えられなくなったからだ。

 タイヤを温存していた翔子の作戦が勝ったと言える。

「飛び込むよッ!」

 いよいよ最後のヘアピンッ!

 2台同時に飛び込むッ!

「ドリフトでまたブロックしてやるじゃんッ!」

 お家芸のサイドブレーキドリフトで柳田は突っ込む。

「インを奪うよッ!」

 翔子のほうはグリップ走行でインに入る。

「行くよッ! グリップ走行の技……ハヤテ打ちィィッ!」

 ハヤテ打ちとは翔子のグリップ技。

 時速140km/h以上のスピードでグリップ走行しながらインを攻める技だ。

 この技で翔子は柳田をオーバーテイクする。

「抜かれた──速いじゃんワンエイティ乗りの小娘……あたしのZ33よりパワーを高く感じる」

 コーナーの後は直線が続くが、グリップ力を失ったZ33は直線でもワンエイティに敗北した。

 翔子のワンエイティは先を行きながら直線を進み、ゴールした。

「勝ったよ……ワンエイティ。おれはよそ者に初めて勝利したよ……」

 翔子は勝った。

 よその峠から来た走り屋に公式戦として初めて勝った。

 これにギャラリーは驚きと喜びに沸く。

「大崎さァァァァんッ! よく勝ちましたね、あの強敵に勝ちましたね」

 熊九保が翔子ワンエイティの前に来る。

「勝ったよ熊九保さん。おれはよそ者に勝ったよ。あの野獣を追いかけるのはすごい骨折ったけどね」

 あのバトルはすごい骨を折るほどの接戦だったと翔子は語る。

「お前すごいじゃん。どうやって勝てたのか教えてくれ」

 Z33から柳田が降りる。

 翔子の前に来て、勝因は何なのか聞く。

「それはタイヤの温存なんだ。君のサイドブレーキドリフトはタイヤをいじめるから良くないんだ。熊九保さんから聞いた」

 このバトルの勝因はタイヤを温存しながら走ったと言う。

 翔子が言う、柳田のサイドブレーキドリフトがタイヤに良くないということは熊九保から聞いた話だ。


 バトル前日

「柳田のサイドブレーキだけでコーナーを曲がるスタイルはタイヤに悪いらしいです。なんかタイヤを温存させるやり方なら勝てそうだと思います」

 熊九保が昨日言っていたことを翔子は取り入れたのだった。

 結果、これが勝利へと繋がった。


「タイヤを温存しなかったから負けたんだよ。直線でパワーを感じなくなったのはタイヤのグリップ力の低下が原因だよ」

 柳田の敗因はタイヤのことを考えなかったことだ。

 これが原因で敗北した。

「やっぱすげえなワンエイティ乗り」

「俺、あの娘が好きになったッ! 結婚してェーッ!」

 ギャラリーから翔子への歓声が沸き上がった。

「じゃあ帰るよ。熊九保さん、小鳥遊さん、川畑さん」

 バトルを終えた翔子は、後ろに熊九保と小鳥遊が乗るC33、川畑のA31を連れて行きながら帰っていった。


 帰る途中、一旦ふもとに車を止める。

「勝ちましたよ智姉さん」

 柳田に勝ったことを言う。

「よくやったな大崎。お前は速い走り屋になったな。サクラに勝つし、ドリフト甲子園チャンピオンに勝つし、そして今日柳田に勝ったんだ」

「柳田は強敵でしたけど、勝ててよかったです。おれ帰りますから、助手席に乗ってください」

 強敵だったものの、勝てて良かったと語る。

 翔子の言葉で智は運転席に乗った。

「──大崎……」

 運転席の窓の前にサクラが来る。

 翔子を冷たい目で睨む。

「──お前はバトルに勝利した……だが、オレは認めない……。チームのためにリベンジするためにオレと雨原さんはお前を狙っている……」

 勝利したことは認めない。翔子に負けたことが悔しかったらしい。

 リベンジするためにサクラと雨原は翔子をターゲットにしていると言う。

「──オレには2人の妹がいる……しかも双子だ……。双子の妹のためには……負けられない……」

 双子の妹がいることも言う。

 双子の妹のためには負けられないらしい。


 この言葉の後、翔子の前からサクラは去っていく。


「サクラはお前の勝利を認めなかったらしいが、それを気にするな」

 サクラの言葉なんて気にしないほうがいいと智は翔子に言う。

「気にしませんよ。けど、おれに負けても諦めてないことが分かります。じゃあ家に帰りましょう」

 絶対に気にしないと翔子は言うが、サクラの言葉から、まだこないだ勝負は諦めてないと翔子は感じた。

 ふもとで止まっていた、赤白黒の派手なカラーリングが印象的な翔子のRPS13型180SXは熊九保の乗るオレンジのC33型ローレル、川畑と小鳥遊が乗るA31型セフィーロを連れていきながら、赤城山を去っていた。

 翔子ワンエイティ他2台が赤城山を去っても、ここを残っている人たちはまだたくさんいる。

 その1人の榛名のWHITE.U.F.Oのリーダー、戸沢国光はバトルの激しいバトルの始まる語らせるスタートラインのタイヤ跡を(なが)めていた。

「大崎翔子──俺の見た通り恐ろしい女だ。サクラに続き、俺の仲間の柳田マリアを倒した……。可愛らしい見た目に反して車の運転がヤバい……。本当に無免許の16か!? 今夜彼女の恐ろしさを感じたぜ、俺は走り屋人生で赤城最速の雨原芽来也だけしかビビったことがなかった。しかし、雨原に続き、俺は新たに怖い奴を作ってしまった……」

 バトルで傷ついた道路を見て(つぶや)く。

 WINDSONICの雨原しか恐れていなかった戸沢は今夜のバトルで翔子を恐れた。

 ヒルクライムで強い柳田をそれで翔子は破った。柳田は赤城(よそ)でも地元さながらに速い走り屋だが、翔子に負けてしまった。

 ダウンヒルでは葛西サクラを破り、ヒルクライムでは熊九保をはじめとするRB20三人衆、今夜柳田マリアを破った。

 翔子──恐ろしい人間だ……。

 無免許でありながら勝利していく……それが恐ろしい……。


 柳田とのバトルから翌日……。朝6時の赤城山。

 今日は智と一緒に赤城山をランニングする日だ。

 前に智のR35型GT-R、後ろには翔子のRPS13型180SXが赤城の上りをランニングする。

「前に比べると速くなったな。バトルを繰り広げたから速くなったのか。私はお前とすぐ近くいるから感じるぞ」

 葛西サクラのJZA80、RB20三人衆のC33・HCR32・A31、昨日の柳田マリアのZ33らのバトルを繰り広げた翔子の走りは進化している。

 性能的にも、スキル的にも智のR35が上だ。けど、翔子はその車をコーナーで追いつめるかのように速くなっている。

「が、私はかつて最速と言われたんだ。絶対に行かせないぞッ!」

 第3高速セクション終わりのコーナーに入り、智のR35は4WDドリフトで翔子の攻撃をブロックする。

 翔子は走り屋として強くなったものの、まだまだ智に遥かに及ばない。


 頂上。2人はこれまでのバトルについて話す。

「まだお前は無免許だが、葛西サクラと柳田マリアと有名なドライバーに勝利してきたな」

「このことは実感はありませんが、おれは運転の腕が良くなったなって思う気持ちはあります」

 勝っていくことは実感はあるが、腕が良くなったっていうことは実感はあるという気持ちは翔子にはある。

「最初は有名な走り屋と戦うのは怖いと思っていたことですが……今は怖くありません、楽しいと思っていますッ! 負けるということは嫌なことです。しかし、姉さんにいつも練習で負けていることによって負けを恐れていません」

 有名な走り屋と戦うことは怖いと思ったことだった。

 しかし、今ではそれは楽しくなった。

「私とのドライブがお前の運転を良くしているようだな。これからも一緒に走ってやるぞ、永遠にな」

「そう言われると嬉しいです! これからも一緒に走ってくださいッ!」

 途中、「これで最終回だ」というメタ発言がありましたけど、この小説はまだまだ続きます。

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