ACT.14 RB20三人衆(前編)
4月4日の午前5時30分、柳田とバトルの約束して3日後──。
智と翔子は朝早く赤城道路を走っていた。
智のR35、翔子のワンエイティが赤城道路のダウンヒルをしていく……。
(柳田にウソの年齢を言っちゃった──もし柳田に会ったらどうしよう……あと、バトルは本当に受けてもよかったのだろうか……)
智のR35を追いかけていくと同時に、翔子の脳裏にはこの前の柳田のことについて思い浮かびあがった。
調子に乗ってバトルを受けてしまい、さらに年齢の2歳サバ読みということをしてしまった……。
もし、16歳だとバレたらどうなるのだろう……。
赤城道路には智と翔子が走っている頃、ふもとには3台がいる。
この3台は智と翔子が赤城に来た頃はいなかったが、いつ来たんだろう?
3台の車種とはオレンジ色のC33型ローレル、黄色のHCR32型スカイラインセダン、青色のA31セフィーロだ。
C33はフロントにカナード、リアにBNR34型GT-Rのウィングが装着されていて、フロントグリルが取り外されている。ホイールはENKEI製の黒い5スポークを装着。車内にはロールバーが貼ってあってある。
HCR32はフロント、リア、サイドにエアロが装着されている。ウィングは着いていない。ホイールはWORK製の黒いホイールを装着している。
A31もHCR32と同様で、フロント、リア、サイドにエアロが装着されていて、ウィングが着いていない。ヘッドライトはS13型シルビアのヘッドライトに交換している。ホイールはR32同様のWORK製、色はR32。
この3台を知らない人に説明しよう。
まずはC33型ローレル。
ローレルはブルーバードより上級で、同社の大型高級車のセドリックとは別のキャラクターのライトバンを一切設定しない「ハイオーナーカー」として企画された中型高級セダンだ。同社のスカイラインとはプラットフォームやパーツを共有する兄弟車に当たり、トヨタのマークII3兄弟とはライバル関係に当たった。
C33型のローレルは6代目に当たり、この代から先代C32の角張ったデザインから曲面構成で丸みを帯びたデザインに変わる。
先代のC32ではハイソカーとして熟年オーナーにヒットしていたが、このC33型は若年層にも視野を入れてスポーティーなキャラクターになっていた。安全性の関係から、ローレル伝統のピラーレスハードトップはこの代で最後。
スカイラインとセフィーロよりスポーティーさは劣るが、スカイラインと車体を共有した手頃なサイズのFR車であるため、AE86トレノ/レビンやシルビアに負けないほどドリ車のベースとして人気が高い。
次はスカイライン。
スカイラインはプリンス自動車工業の主力車種として発売された。後にプリンスが日産に統合合併すると「プリンス・スカイライン」から「日産スカイライン」となった。日産の車では一番知名度の高い車で、同社の看板車にあたる。
このR32型は先代R31の5ナンバー枠限界の大柄なボディからダウンサイジングされ、小型化した。
さらにワンエイティや上記のC33ローレルを産んだ「901運動」の一つとして、このモデルからスカイラインGT-Rが復活する。
搭載エンジンは上記のC33ローレルと同じでRB20DETだが、パワーはそれより10馬力高い215馬力になっている。
R31までは海外でも販売されていた。しかしR32は海外で販売されておらず、国内専用車だった。
ボディスタイルは2つ。「4ドアセダン」と「2ドアクーペ」がある、この作品に登場するR32は4ドアセダンだ。
R32からR34までのスカイラインといえばGT-Rのイメージが強いが、GT-Rじゃないスカイラインも人気も高くお主にドリフトに使われていることが多い。
最後はA31型セフィーロ。
セフィーロはスカイラインとローレルと同じ位置を置くセダンとして1988年にデビューした。某ミュージシャンの「元気ですかー!」というCMが有名。
ワンエイティの兄弟車・S13型シルビアのオプションパッケージになどでしか採用されなかったプロジェクターヘッドライトの顔が印象的だった。
流麗なデザインながらボディ形状はプレスドアを採用した4ドアセダンで、上記の2台とは兄弟車に当たる。
同時期の登場したワンエイティや上記のR32とC33、「シーマ現象」と呼ばれるほどのヒットを起こした初代シーマ、4ドアクーペブームの日付け役・トヨタカリーナEDのライバルとして設定されたプレセアらと共に「901運動」の名車の一つで、80年代に経営不振に陥った日産を救っている。
2代目以降のセフィーロはFFでターボモデルがないことからマイナー車(ただし海外では東南アジアを中心に頑丈な日本車という理由でタクシーのベースとして人気は高い)だが、FRでターボモデルの初代ことA31セフィーロは人気があり、ドリフトを始め、ドラッグレースやサーキットレースをするためのチューニングカーのベースになっている。某ドリフト雑誌では看板車を勤めたことがある。
上記の2台は国内専用車だが、A31は海外でも発売された。
智のR35と翔子のワンエイティはダウンヒルを終えて、Uターンしてヒルクライムに入った。。
「楽しそうに走っているね、あの2台」
翔子たちの走りを見て、C33ローレル乗りの少女が呟いた。
C33乗りの少女の髪型は後ろ髪の跳ねたショートカットだが、もみあげは長く股間まで届いてるほどある、そのもみあげを黄色いヘアバンドで結んでいる。瞳の色はレモン色に輝いている。
服装は髪色と同じオレンジ色のジャージで、袖の長さは長い。手と足の袖、チャックの部分、ポケットの入り口には白い線がある。
身長は158cm、ちょっと高めの身長だ。体重は50kg。
「あのワンエイティはこないだサクラに勝った車らしいよ」
そして、HCR32乗りの少女も喋った。3人もサクラに勝ったことを知っているとは……。
髪型は腰まで届くほど長い、えんじ色のポニーテール。瞳の色は水色。
服装はえんじ色のTシャツに、黒いショートパンツを着ている。
身長は150cm、体重は38kg。この体系なのか、小学生に見える。
「サクラに勝っただけであって、結構速いやんか」
C33乗りに続いて、A31乗りの少女も喋った。
彼女の髪型は、腰まで届く青くて長い髪をツーサイドアップ風のツインテールに結んでいる。瞳の色は黒色。
服装は赤い線の入った白いジャージの上着に、その下に黒いシャツを着ている。下半身は青いスカートを履いている。
身長は154cm、体重は41kgだ。
「けど、あいつは本当に速いのかァ? この学生ドリフト甲子園優勝のウチらがあいつを追いかけてやるべッッ!!」
サクラに勝った翔子の実力が気になったC33乗りは追いかけることにした。
この時、C33乗りの口調は福島弁に変わる。
実はこの3人は、前年度学生ドリフト甲子園の上位3名で、
C33乗りがチャンピオンの熊九保宣那、
HCR32乗りが準優勝の小鳥遊くに、
A31乗りが準々優勝の川畑マサミだ。
3人はそれぞれの車に乗り、赤城の道路に入って翔子たちの後を追ってヒルクライムを始めた。
「ワンエイティちゃん、ワイたちは抜くべッ!」
5連続コーナー、熊九保のC33は4ドアセダンと思えないほどのコーナリングスピードで翔子を追い詰める。
なていう速さだ。前年度学生ドリフト甲子園優勝者と恥じないほどだ。
2つ目のコーナーで、翔子を追い抜いた。
続いて小鳥遊、川畑も翔子を追い抜く。
「なんだァ? あの見たことのない3台はおれを抜いたッ! くそォ、おれと智姉さんの距離を切り離すなッ!」
彼女たち3人はドリフト甲子園上位の人だが、彼女たちのことは翔子は知らないらしい。
学生ドリフト甲子園の上位者に抜かれたことで、翔子の前から智が離れていく。
「サクラを倒したワンエイティちゃん、ワイたちは速いべ。ワイを追いかけてみなべッ! ワイと勝負べッッ!!」
「追い抜かされたからには、抜き返してやろうッ! 1対3でまあいいでしょッ! おれと智姉さんを切り離した仕返しに抜きかえすよッ! 智姉さん、今すぐ会いに行きますからね……」
智と一緒に走るために赤城山へ来たのだが、熊九保ら3名の乱入によりバトルすることになったのだッ!
「まずはA31セフィーロのお前ッ! おれと勝負だッ!」
最初にターゲットにしたのはA31セフィーロ乗りの川畑マサミだ。
彼女は前年度学生ドリフト甲子園の準々優勝の強敵 結構速いぞッ!
「バザードを出してバトル開始だッ! これはありがとうじゃなく、バトルをしようという合図なんだッ!」
ワンエイティはバザード(左右両方のウインカーを同時に点灯させる)を点灯させた。
バザードは道を譲った時、「ありがとう」の合図で出すものだが、翔子は「バトルをしよう」という合図で出したッ!
「バトル? 受けるでッ! うちも容赦なしやッ!」
川畑のA31もバザードを出してバトルを受けた。
5連続コーナー終わりの直線、蛇行路ストレートから翔子vsドリフト甲子園上位3人のバトルの1戦目、大崎翔子vs川畑マサミが始まる。
川畑の前にいる2台は観戦者で、2人のバトルを見守る。
「行くよォォーッ!」
バトルが始まり、川畑と翔子は蛇行路ストレートを攻める。
2人共に免許の取れない16歳でドリフトが得意という共通点を持つ。
その共通点を持ちながら、翔子はワンエイティ、川畑はA31型セフィーロとメーカーは同じだがキャラクターは違う車が相方だ。え
翔子のワンエイティはSR20DETから、350馬力にチューンナップされたRB26DETTを換装してる。一方、川畑のA31はエンジンはRB20DETとそのままで、そのエンジンを380馬力にチューンナップしている。パワーのほうは川畑が上であるものの、トルクのほうは翔子のワンエイティが47kg、川畑のA31が41.5kg、と翔子のほうが上だ。トルクはヒルクライムで重要になる、トルクが良ければ良いほど登りの加速が良くなる。トルクを見れば翔子のほうが有利に見えるが……。
「速いッ! バトル漫画に例えるとまるでおれの連続攻撃をかわしているみたいッ! 速いよ──ッ!」
トルクでは不利な川畑が優勢ッ!
3人の中では実力的に下だが、準々優勝は結構高い順位。翔子の攻撃をかわすような走りでリードする。
「1回勝ってきただけでは甘いわッ! うちは大会で前の2人と共にいっぱい勝ってきたでッ!」
これが実力の差か……。
ザコを除けば、1回しか翔子は勝っていない。熊九保、小鳥遊、川畑の3人はドリフト甲子園の上位者であって、何回も勝ってきてる。
ドリフト甲子園上位者の実力は恐ろしいものだ。
蛇行路ストレートが終わった後のヘアピン、ここでも川畑が勝った。
どうする翔子、あの3人に勝てないのかァ?
「このアホエイティッ! これぐらいの実力でうちに勝てるわけないやろッ! あんたは完全に負けやッ!」
コーナーで苦戦する翔子を見て、もう負けていると川畑は言い出した。
が、
コーナーを上がって、後ろを見ると……。
「なァんやァ? 後ろからついて着て、うちを抜こうとすんのォ?」
翔子が川畑の後ろを捕らえたッ!
スリップストリームだッ!
「葛西サクラがおれを抜いたやり方だよッ! 次のコーナーまで着いていくッ!」
「スリップストリームべッ! 空気抵抗を減らして加速をよくする技だべッッ!!
川畑を捕らえた翔子はセリフの通り、コーナーまで着いていき──。
「お前をッ 抜くッッ!! イケイケイケイケイケイケイケッッッッ!!」
コーナーはアウトから入って、コーナーの終わりに川畑のA31を追い抜くッ!
(ブウオオオオンッ!)
「そんなァ!? ドリフト甲子園準々優勝のうちがァァ!!」
ドリフト甲子園準々優勝の川畑マサミ、ここで抜かれるッ!
残る相手は3人ッ!
プロットでは短かったのですが、前回同様に長くなってしまいました……力尽きた……。
そして、セリフの想像力が無くなる──orz
さて、登場した3人の名前はD1の選手から取っています。誰から取ったでしょう?




