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只人の『召喚魔法』運用法  作者: 上昇線


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「おーい、生き残りはいるのかー?」

「このゴブリン達は召喚獣だろうー?」

はっきりとした男性の声が響く。


俺は体を起こし寝る時に手放していたゴアデビルの杖を拾い上げ立ち上がる。

傍らの森林狼を伴い出口へ向かう。

外には待機させていたゴアデビルが控えており、俺は彼らと扉の泥人形に入り口を開けさせ外に出た。


「うおっ!……びっくりしたなぁ」

現れた召喚獣の数に驚き「すまない」と言いながら一定の距離を空け友好的に話しかけて来る男性。

短く刈り込んだ髪にキリッとした目元。

爽やかで実直そうな印象だ。


「初めまして俺は第四階位のパーティー『翡翠』の牧村レンと言う」

そしてこっちはと指し示すのはレンの腕を臆病そうに掴んだ小柄な女性。

「ほら、自己紹介を」

促されてようやく絞り出すように声を発する。

「初めまして……翡翠のルカです」


黒髪に大きな目元は神経質そうな印象を受ける。

第四階位のパーティーにも関わらずこれほど怯えているのか。

疑問が顔に出てしまい、レンは苦笑して補足した。

「すまないね。翡翠のメンバーは殆ど死んでしまってルカは酷く動揺しているんだ。普段はこんなんじゃないんだが」


――死んだ? 第四階位のパーティーが?

「……初めまして。自分は春花アキと申します」

そう返して彼らから少し離れた位置にいる女性に目を向ける。


緩やかにウェーブかかった肩口までの水色の髪は目を引いた。

じっとこちらを見つめる瞳は大きく力強いがどことなく不思議な印象を受ける。

「初めまして。私はさっきの2人とは別のパーティー。『メルトアの森』のミル。よろしくね」

そう言うとまた黙り込んだ。


今回の訪問者は3人。

俺は焚き火を起こし彼らを歓迎することにした。


少し待ってもらい迷宮ニジマスを複数匹捕って来て焚き火を囲み食事をする。


「そうか……生き残ったのはアキさんだけか」

俺は事情を話した。

相変わらずレンにべったりなルカだが、彼女はそのレンよりもハイペースでニジマスを平らげている。

その健啖ぶりにレンが少し安堵したように笑っていたのが印象的だ。


彼らも出口の消失を確認したらしく水場を探してここに辿り着いたようだ。

俺の事情はおおよそ話した。

スタンピードで戦っている最中に気がつけば……と。

悲鳴茸で気絶するような貧弱体質なのは伏せた。


「奥では何があったんですか?」

そう問いかけるとレンは言いづらそうに口を結び話し出す。

ルカは食事を終えレンにもたれかかりながら寝息を立てていた。


紅蓮人(ぐれんびと)は全滅した」

その一言に俺は大きく動揺もしなければ驚きもしなかった。

おおよそ覚悟していた事だ。


「最奥のボスにやられたんですか?」

「違う。俺たちはボスを見ていない」

続く言葉に俺は眉をひそめた。


「俺達は奥で紅蓮人に襲われた。翡翠もメルトアの森も……紅蓮人のメンバーに殺されたんだ。その後紅蓮人は同士討ちの末に全滅した」


初めて俺の口から驚きの声が漏れる。


「私も見たから確実だよ。私達は三人とも紅蓮人に襲われて逃げているし、三人とも最後の一人『桐生大牙』の死に目に遭遇している」


――桐生大牙。

紅蓮人の実質的なリーダーでエース。

炎系遺物を複数所持しイケメンでメディアにも引っ張りだこだった超人気探索者だ。


「桐生さんは紅蓮人の他のパーティーから俺達を守ってくれて死んだんだ」

そう言いレンは悔しそうに俯く。


「――混じってる」

ミルは手元の魚を齧りながら独り言のように呟いた。


俺はその一言に反応し目を向けるとミルと視線がぶつかる。

しっかり目を合わせミルは確認するように再度口を開いた。


「桐生大牙は死の寸前に私達に言ったの。……レンが抱えて、ルカが治療遺物を使ってる時にね」

続けてミルは言う。

「『気を付けろ……()()()()()』ってね」


焚き火の炎に照らされた彼女の顔は、恐ろしく不気味で綺麗に見えた。


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