後片付け(8)Light It Up
わしも鬼じゃない。鬼よりたちの悪い女神じゃ。
入りたくないなら仕方ない。
しかし、にゃ娘は、コルサちゃんに蹴飛ばされてしまった。
「おとなしくはいるのです」
「ごにゃっ!ごほごえにゃにゃにゃっ!!」
大丈夫かな?この湯は心肺停止からでも蘇生するので大丈夫だろう。
「うーにゃー。なんてことすりゅにゃ」
「まあ、立派な猫耳ですねえ」
まじか。ほんとに猫耳生えてきたよ。
「うー…、おぉ…、ほへー…にゃあ…」
いざ湯に浸かってみると、気に入ったらしい。
その様子を見ていた、ドラちゃんと魔王が、「お?入っても平気なのか?」って感じで、湯舟にじゃぼんした。
「ぉぉおおお…」
「ふひ、ふひひひひ、ふぅ」
もはや、誰が何言っているのか不明な有様なんじゃが。
猫耳幼女が3頭になりましたよ。
にゃ娘と、幼女型ドラちゃん、そして、幼女型魔王。
みんな、猫耳ついてる。
どういう原理なんじゃろうか?お湯に浸かったら、進化?した。
「これはよいもの」
「いいゆですね」
なんかカタコトなのが、ドラちゃんと魔王だ。少し語彙が多い方が魔王。
魔王は、褐色肌で、髪の毛はうじゃっとしたくせ毛。アフロがゆるんだ感じ?
ドラちゃんは、以前と同じ銀髪ロングに猫耳が追加された。
にゃ娘は、トラジマ柄猫の茶色部分みたいな髪色で、もさっとしたショート。
全員、4歳児くらいのサイズだ。
「そういえば、お名前をお聞きしていませんね」
ヤキトリが言う通り、にゃ娘の名前聞いてないわ。
「ノビーにゃ」
猫耳トリオにノビちゃんが加入して、フルコンプ達成。
女神的な特殊能力がわしにあるとしたら、この異様な幸運じゃろうか?
神絵師をゲットしたと思ったら、他の属性までコンプリートしてしまうとは。
「のじゃのじゃー」
しまったな、のじゃだけだとコミュケーション出来ない。
「なんにゃ?お風呂が気に入ったから、ここで暮らすにゃ」
「のじゃ?」
「にゃーは、ドラゴンにゃ」
「のよ?」
「そっちのドラゴンとは、違う種族だにゃ」
「のじゃー」
「のよー」
ノビちゃんのコミュニケーション能力が高過ぎる。のじゃーだけで会話出来た、わけないね。聞かれそうな事に、答えてくれてるだけじゃ。それをコミュニケーション能力が高いっていうのか、そうじゃな。
「王女様はともかく、親分はさっきから一体何を?」
「のじゃのじゃー」
だめだ、キナコには何も通じない。
「のろいですね」
「のろい…」
「のろいにゃ」
猫耳隊の見解が一致している。
「かみののろいですか、これは」
「はらってやるかにゃ?」
「やったるかぁ?」
「さんたいいれば、いけそうです」
おお、三位一体攻撃で、神の呪いを解いてくれるようだ!
猫耳娘達は、湯舟の中でわしを取り囲むと、ぺろぺろなめ出した。
うひょひょってなっているうちに、ぶるぶるっときたよ。
「おお、しゃべれるのじゃ。リーザは感謝するのじゃ。ありがとうなのじゃ」
一人称がおかしな事になっておるが。わし幼女じゃし、問題ないな。
一人称がマイネームな幼女枠、とったりー。
「いえいえ、おきになさらず」
「たこやきよこせ」
「お前は、あるじだからにゃ、当然にゃ」
やけに丁寧なのが魔王で、ちょっと柄悪いのがドラちゃんか。ノビーは、にゃだから分かりやすい。
うーん、ドラちゃんは庶民の間で育ったからなあ。
魔王は、近衛騎士が面倒みてたからかな。だいたいの騎士は貴族だから。
これで、今まで困難だった、ドラちゃんと魔王のコミュニケーションが、改善された。
新しい設定が増えると、わしの幼女脳にインプットしきれないので、敢えて何も聞かないけど。
お風呂の後は、ご飯だ。
熊の丸焼きと、たこ焼きパーティだ。
たこ焼きの材料と、たこ焼き器もワワンサキで仕入れてきた。
小麦粉はいずれ、村でも採れるようになるだろうけど、タコは山にいないからなあ。出汁もいるし。
キナコ村にはたこ焼き無いのに、ドラちゃん、今までよく我慢してたな。
何かやる事があったのじゃろうか?
ドラちゃんが居ると、山の獣が近寄らないので、村の警備が楽になるという利点が大きい。キナコ村にたこ焼き屋の常設が望まれるね。
国外との貿易体制を早く整えないと。
「おー、うめーにゃあ」
「うーまーいぞー」
「とてもおいしいです」
猫耳トリオも満足そうだ。そういえば、猫はタコ食べていいんだっけ?悪魔の湯があるからいいか。
猫耳トリオは、村のアイドルとなった。猫型の時も大人気だったけど。
人気が分散されると、コルザとリーザにまとわりつくのが減って良い。
今日も、よく遊んだのう。明日は何しようか。




