後片付け(2)Don't Ask Me About Shit
「お金がありません」
解説のハナちゃんが言った。
問題がある時は、彼女が勝手に指摘してくれる仕組みです。
しかし、ズンダ金貨が沢山あるのでは?えーと、何枚だったか忘れた。1枚で田舎に家が建つくらいの価値じゃなかった?額忘れたけど。
うーん、ほんの3日程度前の話なのに、覚えてない。リーザちゃん、あほなのでは?
「労働力も足りません」
近衛騎士は肉体労働は出来るけど、前線基地みたいな味気ない建物しか作らない。事務方が必要でしょう。
「ズンダ金貨は、使えないわよね」
「うん。ハイパーインフレを起こすんじゃないか?知らんけど」
「だったら、ズンダ金貨を担保にお金借りる?」
「それしかないかな?」
「国債を発行するってことじゃな?」
「あんた、女神のクセに、そんな事知っているの?」
「リーザちゃんは記憶力に問題があるだけで、あほじゃないもん」
私には、異世界おやじの知識があるのだ。それくらいは分かるのだ。
「ちょっと、あんたおかしいわよ?リーザちゃんって何?もんって何?のじゃを何処に落としてきたのよ?」
リーザちゃんは、自意識が芽生えました。もう、自分の言葉で喋れるのだ。
「いつまでも、のじゃじゃないのだ」
「はあ?なにこれ」
「まあまあ、そのうち飽きて元に戻るよ。女神なんだし」
さっきから、女神を、あほの慣用句みたいに言っているのだ。ぬう、異論も反論もないのだ。
「お金は、それでいいとして。ズンダ国立銀行と、ナニワ銀行、オエド銀行から300億円づつ借りる感じかしらね?」
「そんなに居るかな?」
「戦後補償を兼ねて、周辺三国にはお金をばら撒くべきじゃと思うのじゃ」
あれ、もうのじゃに戻った。わしの脳ポンコツなのでは?
「労働力は、神社の巫女を攫ってこようと思うのじゃ。少子高齢化の貴族社会の反感を買うかも知れぬが。巫女は適齢期の女性じゃからな」
とゆーわけでじゃ。
ねこバス号に乗って、神社にやって来たのじゃ。
メルちゃん号だった車は、猫のラッピングになって、今は「ねこバス号」と命名されているのだ。
学園の事務員だった巫女達が余剰人員となっているはずなので、開拓の労働力として雇いに来たのだ。
だが、出遅れてしまったようだ。
あのやかましい元学園事務員の巫女達は、居なくなっていた。
ハナちゃんが、学園の事務員は優秀なのだと言っていた。
門番は、ズンダ王立騎士団並の戦闘力を誇るそうだし、引く手あまたに決まってるわ。
初代巫女のミーが降臨した事で、総本山に無駄なパニックを起こしただけじゃった。
21世紀のライブハウスに、ジョンレノンやジミヘンが乱入するようなものだ。
もはや地獄絵図じゃったよ。
非人道的な人攫いをせずに済んで、ほっとしている。
巫女30人は、ニャンブー線の貨物列車に、家畜扱いで積んで輸送する予定じゃった。
旅客は乗れないので、仕方ないとは言え非道である。
労働力の問題は、再検討だのう。
銀行との協議を終えたハナちゃん達と、以前住んでいたマンションの1階定食屋で合流した。ワワンサキの拠点も欲しいところだね。
「オートモービル買っていかない?」
物資の運搬にも必要だし、出来れば大型車も欲しいね。
自動車販売店に行ってみるよ。




