どらごん戦争のおしまい
「たこ焼きの1日の売り上げ数が、もちもちブックに世界一認定されたわ」
この世界にも、世界一認定ブックがあるんだね。お団子屋が発行元なのかな?
あの日、使ったズンダ金貨は、たったの50枚だった。
わしらは、金貨50枚でズンダを支配した。
国ひとつ、200万円で買ったのじゃ。
シン王女様の帰還と、女神様御光臨の効果で、底値だったズンダ金貨は、その日の内に1枚4万円から100万円まで上がった。その後も上がり続け、今は1000万円。
ズンダ国民だけでなく、エタナル教の巫女共や信者まで欲しがっているのに、50枚しか市場に無いのだ、そりゃ無限に上がるわ。
インターバンクの協定で、1000万円の固定レートになった。
誰が、どうやって使うんだろうね、そんな超高額な硬貨。
どらごん組の総資産はズンダ金貨140万枚、円に換算すると14兆円となった。
あの日以来、ドラちゃんはたこ焼きが大好物だ。たこ焼きさえ食べられるなら、ピカピカコレクションは要らないそうだ。ズンダ旅行に行って良かったよ。
「旅のおみやげが大き過ぎるけどね」
ズンダ共和国は即日解体され、神聖ズンダ共和国が樹立した。新世紀の幕開けだ。
革命軍の雇われ兵士達は、近衛騎士予備校で小学生からやり直している。
教育を受ければ、時給500円で傭兵に身をやつす事もないだろう。
なお、ヤキトリの妹スズメは無事だったよ。近衛騎士予備軍でもある彼女が、時給500円に負けるわけも無かった。
神聖ズンダ共和国は、民主資本主義を採用する。ワワンサキの民主化研究会のメンバーが、共和国に帰化し、不眠不休で憲法の草案などを作成中だ。あいつらも、本当は純粋に民主化を研究したい者の集まりだったのだ。ちょっとは休めよ、と思うのだが、国民の信頼を得るため、必死なのだ。
国家体制の移行は、10年かけてやる予定。国民への教育も必要だから時間がかかる。
女神リーザは、元よりあの国では祭神なので、待遇は変わらない。そのリーザは、わしとは別モノなんだけどね。女神が、そうほいほい降臨するわけにもいかない。ドラゴン山では、全裸でうろついているけどね。
騒動の黒幕は、エタナル神社の神父と、ワワンサキ国王であったらしい。神父は、おそらく粛清済みだし、国王は死ぬよりつらい国民の奴隷と化しているので、これ以上与える罰は無い。
「本当の黒幕は、国外に居る気もするんだけどね」
「周辺三国以外は、眼中に無いんだから、放っておきましょう」
それがいいのじゃ。
神聖ズンダ共和国と、ターマの国は同盟を結んだ。2000年前のドラゴンの怒りも、少しは浮かばれることだろう。
「ワワンサキからも、和平の打診があったよ」
ラジオの生中継で、国家機密を暴露されて、オエド銀行の現頭取や国王ちゃん達が、もうやめてくれと、泣きついてきたそうだ。ワワンサキの事は、ハナちゃんを外交担当として、任せておこう。
こうして、どらごん戦争は終わった。
ドラゴンが参戦しなくて良かった。
疲れ切った体と心を癒すために、久々に幼女隊のみんなと悪魔の湯に浸かっていた時に、あいつらが帰って来た。
「帰って来たぜ、姉ちゃん」
セリカ先輩と、ミーだ。




