どらごん戦争(19)Get It On -Bang a Gong-
ずんずんずーんずんだずんだーなんだもーん
コルサちゃん絶好調だ。久々の故郷だからね。ズンダに、敵情視察を兼ねた、観光に来たのだ。
「はい、今日はね、こちら、ズンダ共和国に来ていまーす。今居るのは、ズンダ王宮です!民主革命軍が邪魔ですね!」
ラジオ局のアナウンサーも同行して、観光ロケの収録もしている。
「にゃー」
「なのよー」
「ドラちゃんにも分かりますか。あの王宮の美しさが」
「姉さんと旅行なのです!」
「観光地としては、素晴らしいところだぞ」
メンバーは、ドラちゃん、コルサちゃん、ハナちゃん、キナコ、アン、ヤキトリ。
クリームちゃんは、アンの不在を埋めるために、お団子屋で店長代理。自分も来たかったはずなのに、従者に甘いからね。
ラジオ局を連れて来たのは、報道関係は中立だから、弾除けだ。
ヤキトリというお団子隊の近衛騎士は、ガイド役で連れて来た。
彼女はスズメという妹と一緒に、ハナちゃんと同じ孤児院に居た事がある。ハナちゃんと旧交を温めてもらいたい。
スズメが近衛騎士予備校の生徒としてズンダに残留しているので、安否確認の目的もある。
「きゃー、王女様ー」
「こっち向いてくださーい」
「あ、今私を見たわ」
「ありがたやー」
わしらの乗った車を、ズンダ国民達が取り囲んでいる。
コルサちゃん、マジアイドル。完全無欠の究極アイドル。老若男女に大人気。やっぱり国民に身バレしてた。
コルサちゃん推しの群衆に囲まれて、アンの運転する車がゆっくりと進む。
車は、魔法少女のイラストを消されて、ズンダ王家の家紋が描かれている。どうせばれるのだから、開き直ったのだ。
「こらこらー、ここを何処だと思ってるんだ!なんだ、その妙な馬車は!」
「おいおい、ここは国会議事堂だぞ?お前ら死にたいのか?」
王宮、というか今は、国会議事堂なんだな。警備兵が、飛んできた。
ざんっ
キナコが、予告も無く斬り捨てたよ。
キナコ、アン、ヤキトリの3人共、外に出てしまった。
誰が運転するのこれ?今日は、幼女用ブースターパックを積んでいないし、ラジオ局のアナウンサーは運転出来ない。でもまあ、車の中は安全だろう。
「ふんふんふふーん。みーなごろーしー。あははーん」
コルサちゃん、ご機嫌だね。その物騒な歌で武道館目指すかい?
わしも、これが映画なら楽しめるが、これ現実なんだよね。
「おーっと、これは先に手を出したのは、民主化くそ野郎の方となるのでしょうか?シンズンダ王女様を愚弄したのだから、打ち首は当然ですよね!はい!シンズンダ対ニセズンダー戦の開幕ですよー!ここからはライブでお送りします!」
ラジオ局のアナウンサーが戦闘の生中継を始めた。こいつは、ズンダ王立放送局の局員だ。
ターマのラジオ局とも連携しているので、この放送はズンダだけでなくターマやワワンサキでも流れている。
当然、生中中継を聞いた人達が、集まって来るよね。群衆の規模が、ドームライブ並になって来た。
「やはりと言いますか、ユリシーズが戦場に投入された模様です。これまで物量で押してきた、頭がパーの連中とは思えないまともな判断ですね」
中継が、偏り過ぎててウケル。
ユリシーズとかいう連中が、こちらに歩いて来る。20名くらいの女騎士だけの部隊だ。きっと一騎当千のエース級なんだろう。
モーゼのあれみたいに、群衆がさっと道を開ける。自主的に整理役を買って出た連中が誘導している。いつの間にかロープまで張られて、円形の開けた空間まで出来あがった。コミケのスタッフ並に優秀だ。
「おい、あれ、うちで用意してた偽王女じゃないか」
ハナちゃんを連れて来ておいて良かった。聞き捨てならない情報だぞ?
「どういうことですか?解説のハナ・サキさん」
「ユリシーズの先頭を歩いている幼女は、ワワンサキで用意していた偽王女だ。あいつが王立騎士団を扇動してクーデターを起こすシナリオだった」
「なんと、衝撃の事実が判明ですよ!ということは?あのちんちくりんは、ワワンサキの裏切りものですか?」
「ああ、そういうことだね。民主革命派も、ワワンサキの仕込みだったんだが、作戦中に連絡を絶ったのは、事故ではなく意図的なものだったわけだ」
「雇用主の依頼を破棄して、独自に始めちゃったと…?」
「そういうことだ。黒幕は、あのちんちくりんなのか?何者だあいつ」
実況と解説付きで、歴史的イベントを特等席で鑑賞するよ。




