どらごん戦争(17)Stairway to Heaven
ご飯をおいしそうに食べる幼女、いいですね。
「この肉うまいなー、おかわりある?」
「どうぞ。お肉多めですよ」
「やったー!」
セリカ様が、お肉好きなのは、1万年前と変わりません。
最近は、沢山食べるようになりました。
「レベル上がったからなー。腹が減るぜー」
柄が悪いところも、変わらないです。
「あいつら、何してるかなー?」
ワワンサキの自宅には、「ドラゴン山に行くのじゃ」と、書き置きがありました。
それを見たセリカ様と私は、ターマ山に行きましたが、お会いできませんでした。
ターマ山には、オタマ山、ドラゴン山という別名があります。
リーザ様は、「ドラゴンの居た山」という意味で言われているのだと思います。
別の山、ということは無いと思うのですが。
「シスターは、何も知らないのか?」
セリカ様が、私の事をシスターと呼んだのは、乗り合い馬車で再会してから、7日目の事でした。
似てるなー、とは思ったけど、まさかまた蘇っているとは思わなかったそうです。
シスターに気付いてもらうために、ずっとこの髪型なんだぜ、とも言ってました。
蘇ると思っていないのに、矛盾していますよね。
コルサちゃんの蘇りを見てからやっと、もしかしてミーはシスターなの?と思ったそうです。
リーザ様にも、そういういい加減なところがあります。
女神という生き物は、その日暮らしで、先の事をちゃんと考えている様子がありません。
過ぎたことにも、拘りません。特に、嫌なことはすぐに忘れます。
1万年も生きるのですから、随分とのんびりと生きているのでしょうね。
私達とは時間の感覚が違うのは当然ですね。
私は、トータルでも1000年生きていません。
何度も転生していますが、どれも100年以下の、並の人生の長さでした。
セリカ様とお会いしたのは、その内2回です。1万年前と2000年前。
今回が、3回目です。3回目では、リーザ様を先に拾いました。
「コルサ様が、ご一緒なので、心配はないかと思いますが」
リーザ様の侍従には、コルサちゃんがなりました。
私が、先にリーザ様にお会いしたのは、天使の手配ミスなのでしょうね。
天使も、いい加減ですから。
今回も私はセリカ様の侍従なのだと理解して、今回の作戦を進行中です。
「あいつなー。あいつドラゴンよりも強いもんな」
コルサちゃんは、2000年前のズンダ王女様とそっくりです。転生や蘇りではなく、子孫なのだと思いますが。
2000年前の王女様は、どらごんのむらでドラゴンと喧嘩してしまいました。
喧嘩の原因は、今も分かりません。喧嘩は国同士の戦争に発展しました。
先代のドラゴンはドラゴン山を作って、引き籠ってしまいました。私達が再会できた時には、もう代替わりの時が来ていました。
どらごんのむらで起きた戦争の原因は、永遠に人類の謎ですね。
「俺はもう寝る。眠い」
「おやすみなさい、セリカ様」
セリカ様は、最近よく食べるようになっただけでなく、よく眠るようになりました。
学園や神社を焼いたりして、女神レベルというものが沢山上がったそうです。
女神レベルが上限に達すると、地上での暮らしはおしまい、なのだそうです。
それが、もうすぐなのだそうです。
このかわいらしい女の子が、本当に人類を滅ぼすというのでしょうか。
セリカ様の寝顔を見つめながら、最後までお付き合いする覚悟を決めるメイドなのです。




