どらごん戦争(14)No Smoke Without Fire
おしるこは、やっぱりつぶあんなのじゃ。
こしあんも捨てがたいけどね。つぶあんは、ぜんざいとしてターマでも作るといいのじゃ。
「あんた、何しにワワンサキに来たのよ」
クリームちゃんが、あきれているね。
でも、戦争とかもうよくない?
ドラゴン山を開拓して、のんびり暮らそうよ。
オエド銀行は潰すつもりだったけど、それはハナちゃんが脅威だったからで。
そのハナちゃんが、銀行をクビになって、うちの組員になった今、やる必要ある?
ワワンサキには、幼女隊だけで来た。
わしと、コルサ、クリーム、ハナの四人。
キナコ隊は、露天風呂の拡張工事。働き過ぎないように厳命しておいた。あいつら、死んでも働くからな。
アンはターマに戻らせた。メイド喫茶仕様のお団子屋を営業中。ターマの動向を探らせつつ、5人の配下をメイドに育てている。暴力あんぽんたんばかりでは困るからね。
おしるこを食べた後、久しぶりにワワンサキの自宅に戻ってみた。
「なんで、うちが焼かれてるのかしら…?」
わしらの家賃60万円が、真っ黒焦げなのじゃ。
先払いの家賃はどうなるんじゃ?え?貴族の義務で復興費用として、没収?あ、そう。
お金持ちに厳しい国じゃのう。
「ここは幼女の巣だったからね。テロの標的になってもおかしくないね」
「どういうことかしら?」
ワワンサキの事なら、元オエド銀行頭取のハナちゃんが把握している。彼女には、何か見えているものがあるようだ。
「ワワンサキ貴族は少子高齢化でね。6人も幼女を囲っているリーザは、それだけで重要人物なんだよ」
「テロリストは、貴族の子供達が邪魔ということ?」
「テロの首謀者は、この国の老害なのかもね」
学園は復興を諦めた。通っていた生徒達は、ほとんどが親元に帰ったそうだ。
国の未来をつくる子供達の教育の機会が失われたのだ。ワワンサキには、大きなダメージだな。
「学園の理事長を、すげ替えようとしてた連中がいたから、学園内部の抗争の可能性もあるね」
理事長がどうこうってのは、入学手続きで行った時に、聞いたな。
あのやかましい事務員さん達は、今どこで何をしているのじゃろうか?
「学園のスタッフ達は、どこへ行ったんじゃろうか?」
「もう、どこかで再就職してるんじゃないかな。門番なんか、ズンダの王立騎士団に匹敵するくらい有能だし。もし、浮いている状態なら、うちでスカウトしたいくらいだけど」
「では、学園の元スタッフ達を探してみましょうか?」
「そうだね、それがいいだろう。もしかしたら、テロの黒幕に近いところで再就職しているかも知れない」
手がかりがないものかと、学園跡地に来てみた。
学園の施設は解体工事をしている。
利権を狙って、再建に乗り出すやつは居なかったのだろうか。
「リーザが再建に名乗り出たら?あんた、金だけはあるじゃない」
金だけはある、とか。むぐう、その通りなのじゃ。
「再建は無理じゃないかな?ここの土地はエタナル教の持ち物で、国王でも手が出せないからね。エタナル教の神父は行方不明だから、交渉も出来ないだろう?」
ワワンサキ市の土地は、全部国王が所有しているけど、エタナル神社とエタナル学園だけは例外。
「学園のスタッフをどうやって探そうか?ここに来てはみたものの、当然というか居るわけもないし」
なんとかクエストとか、ファイナルなにがしなら、その辺の村人に話しかければヒントが貰えるところじゃが。門番すら居ない。
「解体工事の発注元を探ってみるのは?」
それが、よさそうじゃな。




