どらごん戦争(2)Kill The King
暴力は、最後の手段だ。
これでも女神なのじゃ。ドラゴンをけしかけて、おしまい。みたいなのは、やめておこう。最近、そんな夢を見たけど。寝覚めが悪かったからね。というか、姑息に卑怯に済ませたい。暴力に頼ると、より強い暴力に屈する。もっとも、人類最強と言われるズンダ王女に勝てるやつは居ないはずだが。
まずは、情報を集めよう。
いつもの、おみくじはなし。エタナル学園と共に、同じ敷地にあるエタナル神社の総本山も燃えてしまったからね。機能していない気がする。
王様の自宅跡に来てみた。
真っ黒、こんがりだね。これはもう人は住めない。見張りも立っていない。簡単に侵入出来そうだけど、中にはもう何も残っていないんだろうね。野次馬も、わしら以外居ない。
現場百篇、なんていうけど。何もないね、これ。
爆弾で、一気にどっかん、じゃなくて、じっくり炙ったんだろうな。敢えて、王様を逃がしてやったとか?うーん、わしは名探偵ではないので、推理しても何も分からん。真実は、いつもみっつ以上。
王様の自宅の推定資産価格は100億円だそうな。そうかー、わしでも買えるのかー、この家。黒焦げじゃから要らんけど。
コルサとキナコは、ふたりでワワンサキに内偵に来た事があるそうだ。確かに、以前来たことがあるとは、コルサが言っていたけれども。まさか、王女自ら敵国に侵入して活動しておるとは。さすがは、暴力あんぽんたんのズンダ王家じゃ。
目の前にある王様の家は、一戸建て。宮殿でもなければ、城でもない。
でかい一戸建て。やくざの親分が住んでそうなやつ。素手ゴロで戦う女教師の実家とか、あんなの。
100億円もする?って感じだけど。おしるこの値段的に考えて。この国では珍しい一戸建てだから、無駄に人件費がかさんでいるとか?ズンダのものさしが基準だし、分からんな。
王様は、どこかのホテルで仮住まいでもしてんだろうけど。その辺に居ないかな。
ワワンサキ王、御用達
などと幟の立った、お団子屋が王家の近所にあった。
もちもちおもっち。ワワンサキは団子屋が多い。チェーン店かな?あちこちにあるなこれ。
トイレ前の、一番居心地の悪そうな席に、冴えないおやじが居た。上下スウェットで、無精ひげぼうぼうだ。
「2割程仕入れ値下げてもらうから」
「あ、はい」
「あんたも家を焼け出されて大変なんだろうけど。こっちも困ってんだからな」
「あ、はい」
対面に座っていた陳述客らしいのが居なくなると、冷めてそうなお茶を、ずずっとすするおっさん。こんなのが、この国の王様か。王様の顔はコルサが知っていた。内偵してたからね。
この国のトップである王様は庶民達の下僕。この国の貴族・王族の義務は、ノブレスオブリージュなんて甘いもんじゃない。お金持ちは、貧しき庶民に搾取されるのだ。王様はホームレス状態なのに、下請けいじめみたいなことされてる。目が死んでるね。
ちなみに、この国の王様は、ワワンサキ市の地主だ。
エタナル神社系の土地以外は、すべて土地も建物も王様の所有。市民は全員賃貸生活。王家は代々家賃収入で暮らしているけど、今見た通り、優雅に暮らしているとは言い難いね。
うわー、この国で出世したくないわー。
「おうおう、王様ちゃんよー、ちょっとツラかせやあ」
なんて話かけようかな、なんて思ってるうちに、コルサちゃん特攻。何してんのアンタ。
「あ、はい。なんでしょう」
「おやびん!がらおさえやした!」
何ごっこ始めたのか知らんが、王様も幼女のごっこ遊びだと思ったらしく、相手してくれる。
とりあえず、王様の対面に腰かける。コルサちゃんはわしの横に座ってお団子食べてる。いつ頼んだ?
「あー、わしはこういうものじゃ」
名刺代わりに、プラチナカードを差し出す。
「あ、これは、リーザ様ですね。私、この国の王をやらせて頂いています、クラウンと申します」
なんというか、まんま王家って名前だね。どうでもいいけど。
「あー…」
しまった。ノープランで来てしまった。
「えーと、爵位の件ですよね?すみません、ここ最近エタナル学園の派閥争いに巻き込まれて忙しくて。家は燃やされるしで、手が回りませんで」
そういえば、わしに公爵以上の身分が与えられるとか、そんな話あったわー。
「この場で、リーザ様には、ドラゴン爵を、授与させていただきますので。どうか、今後とも、この国を盛り立てていただければ」
軽いな爵位授与式。旅のお土産配る雰囲気で爵位くれたぞ。そして、ドラゴン爵ってなんだよ。どれくらいの地位よ?
「おやびん!こいつはもうようずみなんで、かえりましょう!」
あ、そうね。帰ろうか。こんなふざけた幼女2匹に対しても腰の低い王様がいたたまれないわ。ハナちゃんみたいな権力者幼女に、普段からいじめられてんのかね。
コルサちゃんは、自分のお団子の伝票を王様のテーブルに置いて行った。鬼だな。おにーちゃんだな。
さて。ドラゴン爵を獲得したぞ。要らんけど。
いつかお披露目会でもやるのかね。誰も知らないんじゃ意味ないじゃん。でも、やらなくていい。そんなん出るのめんどいわー。
次は、学園に行くのじゃ。




