どらごん戦争(0)どらごん神社
聖書「どらごんのむら」は、実にフリーダムな内容だった。宗教の教義というより、個人的な愚痴なのでは?
晩御飯の時に、キナコに「どらごんのむら」の話をしたところ、おもしろい事を言い出した。
「その祠を、私達は見たと思います」
「せんねんのひほうなんだわ」
ほほう、それは面白い。実に面白い。見に行こうじゃないか。
「こにゃにゃちわー!」
「こーんにーちわー!」
「あの、気が散るので奇怪な儀式はやめてもらえますか…。事故りそうです」
わしらはメルちゃん号に乗ってドラゴン山に向かう。ターマ市のカステーラ家が言うところのターマ山、オタマ市の宿屋の女将さんが言うところのオタマ山。目的は、祠の中に隠されたドラゴン神社千年の秘宝だ。
道中、猫ドラゴンに躾をしていたら、運転手のキナコに苦情を言われた。キナコには、早朝からメルちゃん号の運転を仕込んだ。
なお、この国には運転免許制度は、多分ない。あるかも知れないけど。取り締まる警察機構が無いから問題ないじゃろう。何かあっても、プラチナカードの力で解決する所存。
「マスコットキャラは、インパクトのある挨拶が必須なのじゃ」
「覚えてくださる気配がありませんが」
確かに、にゃー、としか言わぬ。先代みたいに、しゃべったりもしない。わしが巫女ではないからか。むう。女神は巫女の上位互換なのでは?
早々に運転に慣れたキナコが爆走してくれたお陰で、最速記録でドラゴン山に到着。そういえば、メルちゃん号に一度も燃料を補給していない。ガソリンスタンドなんか一軒も見ないんだけど、どうするんじゃこれ?
「あのー、正直怖いんですけど…」
そう言いながらも先陣をきって森の中を進むキナコ。そりゃそうだろう、ここで悲惨な死に方してるもんな。ふんふふーん、とはなうたを歌っているコルサが豪胆過ぎるのだ。あほの子なのかも知れないけど。
「ドラゴンが一緒じゃけ、大丈夫じゃ」
コルサに抱かれた猫ドラゴンが、近辺に敵を寄せ付けないはずだ。
「えー、確かこっち…。あー、お墓の場所も分からなくなったので、よく分かりませんね」
すまんな、墓標もなんもない場所に埋めて。そこまでしたのに、危険な奴に生存がばれてしまっている。復活したんだから、まあいいじゃろ?
「なんか目印ないんじゃろか?」
「林檎の木に囲まれていましたね」
雑な情報だな。現代日本で「コンビニの近くです」というようなものでは。でも、もしかしたら、あそこかな?ドラゴンの巣に向かう途中で、林檎の木を見たような記憶があるよ。
「川まで戻って。上流に進むのじゃ」
川の上流に向かって進むと、林檎の木の林があった。さすがにこれは生命の実ではなかろう。その林の中に朽ち果てた鳥居がある。
「これですー。おそろいなのですー」
鳥居に刻まれた紋様は、コルサが首から提げている十字架に刻まれたものと同じ。ということは、これはエタナル神社?学園のパンフレットには「エタナル神社には800年の歴史があります」と書かれていた。この神社は聖書によると1000年以上前のものなのでは?
学園のパンフレットが正しいとは限らないし、へっぽこ聖書もあやしいものだが。キナコに聞いたズンダ王国東端で発掘された遺跡は、2000年は地下に埋まっていた、というのが遺跡調査団の見解だとか。
関連ありそうなものの、年代がまるで一致しない。
まあ、どうでもいいけど。
今、気にしているのは祠の中身だ。キナコ曰く「フィギュアが入ってました」と。気になるでしょ。
鳥居をくぐって、生い茂った木々をかき分け進み、祠に辿り着く。さあ、開けるぞ。
「コルサ、開けるのじゃ」
「どーん」
呪いとかあるじゃん、こういうの。なので、メイドに開けさせた。
「じゃーん」
確かに、フィギュアだね。木製かな。着色までしてある。
巫女さんの衣装を着た幼女のフィギュアだ。これがシスターと呼ばれていた巫女?特徴的な髪型をしている。
ツインテールなのじゃ。




