聖なるものに飢えた王女様がふたたび蘇る(4)
キナコを連れて家に帰ると、アンとご対面。
「姉さん!」
「アン!生きていたのか!」
そっくりなふたりが他人なわけもなく。双子の姉妹なのだった。
キナコが姉で、アンが妹。泣きながら抱き合うふたり。
一体何があって生き別れていたのか?
そこには壮大なストーリーが、あったりなかったりした。
アンも元々は姉と同じく、ズンダ王女の近衛騎士だった。もっともキナコは王女直属、アンは影武者王女の部隊の所属で、直接の交流は無かったが。アンは、部隊内の理不尽なシゴキに耐えきれずに、逃げたんだそうだ。ターマに亡命し、カステーラ家の派遣業に兵士としてスタッフ登録。元近衛兵士としての能力を活かし派遣先で活躍。その功績を評価されて、カステーラ家の護衛に採用される。そこから更に出世して、クリーム直属の護衛になり、メイドを兼任、メイド長まで登り詰めた、と。アンは、立身出世の見本みたいな人だった。
影武者王女の近衛騎士隊には理不尽なシゴキが横行しているのはキナコも知っていた。しかし、王女直属の自分とは指揮命令系統が異なるため、妹を守りたくても、公式な手段ではこれが叶わぬ。そこで、キナコがコルサに相談したところ、アンも王女直属に取り立てることが決まったのだが。アンは既に逃げ出した後だった。
かくして、姉妹は生き別れてしまった。
キナコは、妹を失った腹いせに、影武者の近衛騎士隊長を、殺害してしまう。この行為は、王女の内乱と見做されてしまい、コルサは王宮の離れに幽閉されることとなる。キナコは処刑されるところであったが、コルサがキナコを奴隷とすることで救った。ズンダ王国では、奴隷を処刑することは禁じられているのだ。
コルサは「しばらく、のんびりできるわねー」と幽閉を全く苦にすることなく。度々、キナコを連れて町に抜け出しては、メイド喫茶でバイトしてみたりしていたそうだ。そこで、ハナちゃんと遭遇したわけだ。ハナちゃんは、バイトの娘がよもや本物の王女だったとは、今も知らないはずだ。運よく亡命できた資産家の娘くらいに思っているだろう。
民主化革命の兵士が王宮に突入した際、コルサ達の居た離れへは展開が遅れた事と、普段から王宮を抜け出す事に慣れていた事が、王女の逃亡を成功させた。離れに王家の宝物庫があったので財宝も持ち出すことが出来た。
結果的に、幽閉されていた不幸が、ふたりの身を助けたことになる。
もっとも、追っ手を振り切るために、ターマ山越えを強行したため、命を落とすこととなったが。偶然、通りかかった女神により復活を果たせたけどね。
キナコは、アンからメイド業務を学ぶこととなった。
早速、ふたりで不動産屋に出かけていった。住民が増えたので、もっと広い物件を探すのだ。
ところで、コルサは何故、今朝からずっと、メイドごっこをしているのか?
「ふっかつのー、だいしょうなのー」
「それはもう貰ったじゃろ?ズンダ王家の財宝」
「ちがうのー。きなこのぶんなのー」
なるほど。こいつ、キナコを復活させてもらうために、朝からお給仕していたのか。
「そういうことなら。300億円になるんじゃけども?」
コルサが復活の代償としたズンダ財宝が300億円で売れたからね。
メイドの賃金は庶民と同じ、年収120万円。300億円を労働で支払うのであれば、5万年だ。実質、奴隷落ちだな。
5万年間、よろしく頼むわ。
※あほの子なので計算を間違って居ます。




