ハナちゃんは黙ってない(5)
ずどん!と、テーブルに革袋が置かれた。
「これー、わわんさきのおかねになるかなー?」
革袋の中身は、金貨だね。
確認してみると、ズンダ金貨が149枚。
「ズンダ金貨が149枚で間違いない?」
「なのよー」
一体、どうやって持ち出したのだろう?
そもそも、メイド喫茶のアルバイトで、こんなに稼げるの?あやしいお店ではあったけども。コルサちゃんも、ズンダの貴族なんだろうか?
「ふたりは、知り合いなんじゃろか?」
「ズンダのメイド喫茶で、ぼったくられたのよ」
「なんで、そんな危険なとこ行ったのじゃ?」
「ズンダの革命は、ワワンサキの民主化研究会が黒幕だからね。オエド銀行も、資金提供で参画してるから」
(はあ?あほかこいつ?)って顔しているね。うん、私もそう思うよ。自分で行くしかなかったんだよ。頭取には、危険手当なんか出さなくていいし、おかわりならいくらでも居るからね。
「ズンダ金貨なら、今1枚50万円だから7,450万円だよ」
「なの、よー」
「戦争の影響で、金貨は値上がり中なんだよ。ズンダは内戦してるし、ターマ市は独立しようとしてるでしょ?」
「のよ?」
「だから、もう少し寝かしておくのもありよ。どうする?」
コルサちゃんは、ふるふると首を振る。
「暴落もありえるじゃろ?今のレートでいいから、買取って欲しいのじゃ」
コルサちゃんは、こくこくと頷く。
リーザちゃんは、まるでコルサちゃんの通訳だね。
「分かったわ。口座も作るわよね?カードはどうする?この額ならブロンズも発行できるけど」
「ぴんくがいいなー。わたしは、しょみんなのでー」
「リーザちゃんもピンクがいいなら、残高を1000億円以上にすれば、プラチナピンクが選べるわよ?」
リーザちゃんが、(わしも、ピンクがいいのう)って顔してたから、教えてあげた。
私は、おはぎをお腹いっぱいになるまで食べてから、リーザちゃんの家を後にした。
これで、王女を駒のひとつに出来るね。
リーザちゃんとコルサちゃんの、どちらかが王女なのかも知れないけど、それはどうでもいいんだ。
重要なのは、王女生存の証拠を、私が握った、ということ。
もうこの世に居ない事にも出来るし、生きてましたー、じゃーん!って事にも出来るわけよ。
生きてる方が、圧倒的に都合がいいよね。私は、銀行員だから、どっちがお金になるかしか考えないよ。
復活の王女様が、近衛騎士団を引き連れて、王都に帰還する、なんて素敵じゃないかい?
王女も近衛騎士も、何処に居るのかも分からないけどさ。別に、本物じゃなくていいのだから。
民主化研究会には引いて貰うだけで、王女の勝利は演出できる。
研究会は渋るだろうけど、クーデターなんか、また起こせばいいじゃないか。
王女が王国を取り戻せば、ズンダ金貨が高騰間違い無しさ。
空けちゃった穴を埋めるために、20万枚くらいズンダ金貨を集めようか。100億は必要になるかな?どうやって集めようか。
おいしご飯を食べるためなら、私はいくらでも俗物になってやる。




