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間違いなくVtuber四天王は俺の高校にいる!  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第五章 兎と夏休み

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第76話 ラッキースケベ

 8月13日――夜。

 セミの鳴き声だけが響く人気(ひとけ)のない神社で、

 俺は生まれて初めて……キスをした。



 --- 



 8月13日(土曜日)。7時30分。

 今日は夕方から夏祭りがある。俺はアオと朝影姉妹と日比人と一緒に祭りに行く予定だ。

 集合場所は夏祭りが開かれる商店街近くの公園。スタートは16時からだから、15時50分に集合することにした。

 それから20時まで遊んで、花火を河川敷で見て終了の予定だ。


「祭りなんていつ振りかな」


 今日は6期生全員、配信休みだから気兼ねなく遊べる。

 麗歌曰く、近所で祭りがある日はエグゼドライブ生は配信しないそうだ。祭りの音が配信に入ると場所を特定される恐れがあるのだと。

 天気予報を確認すると今日1日は雨の恐れはないらしく、朝昼は暑いが夕方から夜に掛けて涼しくなっていくという素晴らしいまでの夏祭り日和。


「ふぁーあ。シャワー浴びっか」


 寝起きのシャワーを浴びようと、脱衣所の扉を開ける。


「ん?」


 肌色が瞳に飛び込んできた。

 瑞穂だろうな。と最初は思ったのだが……瑞穂にしては背が高く、胸が大きいような――

 顔を見て、絶句する。

 真っ裸で肩を拭いていたのは……瑞穂ではなく、アオだった。


「アオ……!? なんでここに……!?」


 アオは叫ぶわけでも、暴力を振るうわけでもなく、胸から股下に掛けてをサッとバスタオルで隠して、深くため息をついた。


「……10秒1万だよ」


「すみませんしたっ!」


 俺は慌てて扉を閉めた。


「なんでアオがいるんだ……」


 俺は呼んでない。となるとだ。

 俺は妹の部屋の扉を開ける。


「おい瑞穂……」


 瑞穂はなぜか下着姿で鏡の前に立っていた。


「なっ、なっ……!?」


 真っ白な上下揃いの下着。なんともまぁ、子供っぽい。


「アオを呼んだのお前か?」


「なに普通に続けてんだバカ兄ッ!!!」


 貯金箱の豚さんがカツーンと頭に当たる。

 俺は大げさによろけて、仰向けに倒れた。

 この1日のスタートを幸運と取るか不運と取るかは人によるだろうな。



 --- 



「着付け? 瑞穂の?」


「そうだよ」


 リビングでアオから話を聞く。


「浴衣を着たいんだけど、1人じゃ無理だから手伝ってほしいって」


「浴衣なんてウチにあったっけ? 瑞穂が買ったのかな」


「ママが送ってくれたって言ってたよ、瑞穂ちゃん」


「ああ~、そういやこの前段ボールで色々送られてきたな。あの中にあったのか」


「もしかして、送られてきたのってアレら?」


 アオは部屋の隅にある置物たちを見る。


「そう。アレ」


 どこぞの部族のお面やら、ホラー系の謎の絵画やら、トーテムポールやら、世界中の奇妙な物が集まっている。


「兎神君のお母さん、相変わらず世界中周ってるんだね」


「ああ、風景カメラマンだからな。大して金にもならないのによくやるよ」


「カッコいいよね~」


「つか話変わるけど、なんでウチのシャワー使ってたんだ?」


「こっちのシャワーが今壊れててね。いま修理中だから借りたの」


「そりゃ災難だったな」


 バタン。と瑞穂の部屋の扉が開かれ、部屋から浴衣姿の瑞穂が出てくる。

 黄色で、ひまわり柄の子供っぽい浴衣。浴衣に合わせて髪も束ねている。


 やれやれ、まったく――可愛いな俺の妹!


「じゃ、私友達の家行ってくるから!」


「行ってらっしゃい」


「気を付けて行ってこいよ」


 瑞穂は元気そうに玄関から外に出る。


「可愛いよね瑞穂ちゃん」


「まぁな。ところで、お前は浴衣着ないのか?」


「着て欲しい?」


「別に」


 アオは「ふーん」と目を細める。


「私が女の子っぽい格好して、ドキッとするのが怖いんじゃないの?」


 ドキッ。


「そんなわけないだろうが。お前がどんな格好しようが、俺の心臓は何1つ乱れることなく鼓動を刻み続ける」


 アオは笑顔を見せる。

 アオ検定一級の者ならわかるだろうが、これは怒っている時の笑顔だ。


「本当かな~? じゃあ勝負してみる?」


 アオは腕に巻いていた腕時計型のデバイス、グレートウォッチを外し、俺の腕に取り付けた。


「なにする気だ?」


「これで兎神君の心拍数は私のスマホでわかります」


 アオはスマホの画面をこっちに見せる。ホントだ、俺の心拍数が数字とグラフでわかる。


「今から私が服を1枚ずつ脱いでいく。兎神君の心拍数が大きく変動したら私の勝ち。変動しなかったら兎神君の勝ち。勝った方は負けた方になんでも1つ命令ができる――っていうのはどう?」

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

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