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死姫のヒミツ  作者: 猫柳
第二章
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第二十六話 死姫、嘆願中

視線が集まるのを感じながら、私はゆっくりと口を開いた。緊張して乾ききった口を動かし、なんとか言葉を紡ぐ。


「俺の本当の名は、アリシア・エルヴァーレン。性別は女。でもだからといって、俺はお遊びで近衛士をやっていたわけじゃないってこと、共に戦ってきたお前たちが分かってくれることを願ってる」


今までだって、副隊長として彼らの前に立つことはあった。にもかかわらず、今日はとても緊張する。

きっとそれは、『シアン・バード』というベールを脱いだからだ。


これがアリシア・エルヴァーレンとして彼らと対面する、初めての機会だからだ。


「かつて、近衛隊は形骸化したお飾り役職なんて呼ばれる職だった。そのことは、きっとみんなも知っていると思う。その結果、何が起こったかもな。俺は、いや私は、それがひどく辛かったよ。多くの人が傷ついて、多くの人が死んだ。もう二度と繰り返してはいけない、近衛隊最大の汚点だ。それを立て直すとき、私は、その一員として共に大切な人達を守れる人間になりたかった。だから、私は近衛隊に入った」


副隊長なんて役職になるとは思ってなかったけどな。くすりと笑って、それから再び顔を引き締める。


「私は、もう近衛士じゃない。私はもう王宮を守れない。けれど、みんなを信じている。私の代わりに王宮を守ってくれることを」


入隊の頃から、ずっと一緒に稽古してきた真っ直ぐなブライアン。若輩な私が副隊長となる時、たくさんのアドバイスをくれた先輩のルイス。陰気だった性格を克服し始めたロイ。

私が剣を取ったその時からずっとついてきてくれたデューイ。そして、その隊をまとめ、支え続けているアルバード。


皆、私の大切な仲間だ。


深々と、私は頭を下げた。


「これから、頼む」


隊員達は、皆口々に「承知しました」と頷いた。


私、本当にこの隊にいることができて、良かった。


私がにっと笑い返したところで、ふと思い出したように。叫び声が上がった。


「ふ、副隊長がアリシア姫ってことは、隊長の奥さんじゃないっすか!!」

「……何を今更」

ねぇ、と後ろに視線を投げかけると、隊長もうんうん、と頷いて。

「って、何その手。ちょ、待て待て待てあのね!?部下いるからね!?」

「ということで、これが俺の新妻だ。よろしくな」

「ここで紹介しない!抱き上げない!ハグしない!」

「うわぁ、副隊長の格好だとシュールだなおい……」


その後数日、『実は隊長は両刀使い』という噂が秘密裏に流れたのは、完全なる自業自得だと思う。

だからやめとけと言ったのに。




◇◆◇◆◇




酒場で解散してから屋敷に戻ってきたアルバードは、自室の机に腰掛け、僅かに目を伏せた。


(これで、少しは大人しくなってくれるといいんだがな……)


適量に含んだアルコールが、ゆっくりとアルバードを眠りへと誘おうとする。クッションの効いた椅子に体を埋め、しばらく目を閉じていたアルバードだったが、やがて眠気を振り払うように背もたれから体を起こし、引き出しの一つを開ける。


そこには、一通の手紙が入っていた。既に封の切られたその手紙を開き、アルバードは眉間にしわを寄せる。


「……彼女も秘密が多いが、周りも全く訳が分からないな。俺の秘密など霞みそうだ」


小さく呟いて、それからアルバードは再び手紙を引き出しにしまった。その代わりに書類を引っ張り出し、次のダンスパーティの人員配置を練る。


(もう二度と、悪夢などは繰り返させない)


心の中でそれだけを何度も反芻し、アルバードは羽ペンを手にとった。




『  近衛隊長に警告する。

   第三王女アリシアを狙う者あり。隻眼の悪魔は既に獲物に印を残した。

   どうか悪夢が繰り返されんことを。


                                シアン・バード  』

よっしゃああああああこここまで書けたあああああああ

かなり苦しかった。シリアスきつい。しかしまだまだシリアスは続く。

でもアリシアはそろそろウジウジモードを脱出するので、ちゃんとテンポよく書けるかと思われ。

次からは女の子の憧れ、舞踏会編だよ!


どうでもいいですが、これって『びぃえる』注意タグ入れるべし?いや、びぃえるじゃないんだけれども。

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