表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強襲ボランティア  作者: 永久院 悠軌
新学年編
40/55

40. 月は会う

「——私を、SVTにいれてください」



とある放課後

俺たちSVTが仕事をしていたら、隊員の一人、赤木あかぎしるべから緊急事態宣言を受け取った

突然後輩に絡まれてただ話していただけなのにどうやら相手はまずい人だったらしい

訓練された技術で、敵にバレないように信号を送ってきたのだが、状況はかなりヤバい

インカムの存在はバレていないとの事だが、洞察力でいつまで保つかはわからない

相手の名前は、集音から永月えいげつ美花みかと名乗る一年生である事はわかっている

会話を聞くところ、相手の目的はSVTへの入隊

そして、凄まじい行動力と洞察力でSVTについての鋭い見解も持っている「まさか、こんな事になるとはな」

失笑せざるを得ない

はっきり言って、こんなこと誰が予測できる?

「お前は、どう思う?」

俺はこれでも一応はSVTの最高司令官だ

優秀な奴に意見を求め、参考にする

「先輩と同意見です」

「なるほどな……」

俺の考えを聞いてもいないのに答えになっていない答えをしたのは、SVT隊員の一人、鎌月かまつきまい

優れた工作技術を持っている他、優れた交渉術も持ち合わせている

相手の感情を読み取る事も、操作する事も、彼女にとってはお手の物だ

「やはり、考えるまでも無いな」

この状況、一見するとSVTの存亡の危機のような状況に立たされているように見える

だが、中を割ってみれば『有能な人材が入隊を志願している』だけだ

さて……

「それじゃ、鎌月隊長、図書室に向かってくれ」

「……了解しました」

いきなり見ず知らずの人間を本部に招き入れる気は無い

鎌月と会話させて、裏がないかどうかを調べる

なお、鎌月にはSVTの隊長の演技をしてもらうことで、スカウトを円滑に進める

俺の考えすらも見抜く天才交渉人の鎌月はこう言うときに便利だ

「ナナちゃん。行ってくるね」

「うん!いってらっしゃい!頑張ってね!」

鎌月が集音マイクを制服の襟の裏に隠しいれて、折り畳み式のコンパクト鏡を見ながら少し前髪を整えて、部屋をあとにした

ここから図書室までは3分もあれば行けるはず

赤木を配属した場所からは二分でつける

冴崎さえざき。赤木に二分かけて図書室に行くように指示を出してくれ。鎌月リーダーが待機してることも伝えてやれ」

「わかりました」

オペレーターの冴崎がマイクのスイッチを押して、指示を出す

さて……

「経歴には目立った活動は特にないが……すさまじい洞察力と推理力、行動力を持っているな」

SVT隊員に不足なし

「あいつなら、ちゃんとスカウトできるだろう」





「俺がSVT隊員であることは認めるよ。君はすごい思考力を持っているもんだね」

「あっさり認めるんですね」

俺は今、危機的状況にたたされている

なんか後輩から突然脅されたのだ

彼女の話術は見事で、俺は反論するタイミングを逃し、先程緊急事態を報告した

出された指示は、『二分かけて図書室へ移動する』こと

ここから図書室までは普通に歩けば一分もあれば辿り着けるだろう

だが、二分かけなければならないとのことで、俺はもう少しここで無駄話をすることにした

鎌月にバトンを渡すまでだ……!

「君はなんでそんなに勘が鋭いんだ?」

俺は率直な疑問を問いただす

「……姉妹の姉と言うのはしっかりしてないと務まらないのですよ」

そう言うものなのだろうか

「君は、しっかりものの姉と言うよりは、もっと優れた力があるよね。なんだろう、好奇心に忠実なのかもしれないね」

「よく言われますよ。否定はしません」

入学して数日しか経ってないのに俺がボランティアにせいを出している事を調べあげ、さらにそこからSVTへの所属までも予測した

並外れた行動力だ

これをやるには相当な好奇心も必要だろう

「……さて、君をSVTに入隊させるかどうかはよく話し合わないといけないし、僕の権限では決定はできない。立ち話もなんだし、僕のボスに会いに行かないかな?」

今から向かえばいいだろう

「ボス……?」

「SVTのリーダーだよ。彼女に会わないと君が入れるかどうかはわからない。たぶんいつもの場所にいるから、行ってみる?」

「そうですね。必要ならば会いましょうか」

さて……行くか

俺は壁から背を離し、歩き始める

「ついてきて」

今日は本当は図書室は空いていない日だ

だが、逆に好都合だ

誰も人がいないのだから

鎌月なら簡単に鍵を開けれるから、俺がいく頃には空いているはず

通常は空いていないはずの部屋で待機しているなんて本当に秘密組織の親玉みたいだな




俺は無言に歩き、体内時計で時間を測りながら図書室へ付いた

「図書室ですか……?」

永月さんが聞いてきたので、軽く頷いて答える

「今日は一般生徒は入れないんだが、君は来客だ」

コンコン

「こちらアルファ1。ボス、来客です」

俺は右手でガラスの押し扉をノックして、若干雰囲気の出ることを言う

「入りなさい」

中から鎌月の応答が聞こえて、俺はガラスの扉を開きつつ「失礼します」と、呟き、中にはいる

電気はついておらず、窓から差し込む夕陽のみの照らす図書室の置く、本棚に向かう少女の影がある

「よく来たね。まぁ、かけたまえ」

鎌月はいつもの口調とは違う。

いや、それは俺もだ

演技で、鎌月がボスであることを偽る

俺は立ったままだが、永月さんには座らせよう

「永月さん。座って」

「はい」

永月さんも若干緊張しているみたいだが、やはり好奇心が強く出ているようで、逃げ出す様子はない

「ご苦労だったなアルファ1。さて、君が永月美花さんか」

鎌月は本棚から一冊の本を取り出し、こちらに歩んできた

ん……?

黒ぶちの眼鏡をかけているな。いつもよりも知的に見える

似合っているな。自然な感じだ

「どうして私の名を……?」

「うちの隊員は一人や二人じゃないと言う事さ。君も知っている通りSVTの仕事には多くの人手が必要だ。少し部下を動かして君の事を調べさせてもらった」

質問に答えつつ、永月さんの向かうように机の向こうに座った鎌月は、本を開き、読む

「さて……今のSVTは人手は十分だ。機密情報の漏洩を防ぐ為にもあまり多くの人間を雇うわけにはいかない。君が有能な人材であるならSVTにいれようと思うが、そうでないなら口を封じる」

「……!」

永月さんも、危険な橋を渡っている事に気付いたようだ

「君は、何でSVTに入ろうとしている?調査によると君は過去にはあまりボランティア等に参加した経歴は無い。目立った活動もしていない。ただの好奇心かな?」

「はい。好奇心ですよ。不思議なものは人間に少なからず関心を集めさせる」

「ふむ……面白いな」

鎌月は立ち上がり、窓際に歩いて行き、夕陽を眺めながら言葉を続ける

「君は、私と同じ『月』の字を名に持っている。君は、月は好きか?」

「嫌いではないです」

「そうか。私は月が好きだ。理由は様々だが、特に挙げられるのだとすれば……そう、暗闇を放っておかない明るさか」

鎌月は珍しく感情を込めるように、語る

「昼間は太陽のおかげで明るく照らされているが、夜になると光が当たらなくなり、暗闇に包まれる。そんな時に、暗闇から人々を救ってきたのは月光だ。月明かりこそが人間を暗闇から救う希望だった。当たり前のような暗闇なかで、僅かな人をも慈悲でたすける」

SVTは、極秘裏に誰かのために働く

たとえ、困っている人が一人であっても、救う事になるだろう

それがSVTの仕事だからだ

「君は、月になりたいかな?なりたいからここに来たのだろう?」

「わたしは……」

少し考えて、永月さんは応える

「私は、自分自身を高める為にボランティアに参加したいです」

……これは雨羽あまは先輩と同じ考えか

ボランティアには三原則が存在する

『利他性』『無報酬性』『自主性』

つまり、目的があって行なうボランティアは厳密にはボランティアとは言えない

だが、最近では『自己実現』を目的とする社会奉仕は、ボランティアと呼ぶ事が認められ始めた

ボランティアを通じて、自分自身を高める

「君は、SVTとして多くの人を救えるか?」

鎌月は最後の締めくくりに入る




「はい」



その返事の決意は、強く

しかし、間違っている




こんにちは永久院です

短編を一本出していて更新が遅れていました

さて、新メンバー追加ですね

志願兵ですよ

SVT、新学年編

そろそろ、動きますか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ