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23. イケメンコンテスト、開催

遡る事、およそ10分前の話をしよう

俺、赤木あかぎしるべ雨羽あまは先輩と一緒に行なった巡回警備(パトロール)からSVTメンバーが集るシートに帰って来た

静道せいどう先輩に用件があったのだが、そこに先輩の姿は無く、サンドバックを殴打していた星霧ほしきり先輩に声をかけた

星霧先輩の話によると、静道先輩は星霧先輩と賭けの腕相撲で負けて、イケメンコンテストへの出場を余儀なくされたらしい

さらに、俺にまで火の粉が飛び、腕相撲するハメになり…………


「はぁ……」


見事に敗北して、出場する事に……

回想終了、現在は本部テント前で受付待ちをしている

「導君ならいい結果だせますよっ」

隣からは雨羽先輩が励ましだか応援だかよくわからないコメントをしてくれて……

「赤木君、本気を出そうね?宿命だから」

後ろからは銀嶺ぎんりょう先輩(俺が一人で並ぶのもいやだったから誘った)も後ろから宿命とか……

両者に言いたい

現状、俺らは受付を待っているのである

つまり、俺らの前にはイケメンコンテストの受付を待つ人影がある、参加者が多い証だ

背が高く、短髪、かなりの美形の男性が目の前にいる状況でよく意気込みがあるもんだ……

と、内心一人ごちていると受付の番が回って来て、机の上に置かれている書類にボールペンをつける

「…………」

氏名を書いて……それだけ!?

簡単なメモ用紙のようなものに名前を書いて、受付のおばさんに渡す

「はい、ステージに上がる時はこのバッジをつけてね、このバッジの番号通りにプログラム進められるから、把握しておいてね。はい、これはプログラム表ね。注意書きも書いてあるから、読んでおいて。はい、じゃ、次の方ー」

忙しいようで手早く説明されて、追い出される

受け取ったバッジをポケットに突っ込んで、プリントに目を落とす


と、ここでイケメンコンテストの説明をしよう

このイケメンコンテストは、参加者各自1分の持ち時間をもらって自己PRをして、それをみた審査員が外見のかっこよさやPR内容で審査する

さて、ここで何が言えるかと言えば……


「全員で前に出て並べばいいんじゃないのか!?」

思わず叫ぶ

俺はてっきり参加者がステージ登場でもして適当に審査されるものかと思っていたが……

自己PRだと!?

そ、そんなの聞いてねぇし!

面接じゃないんだから、そんな……ってか……えぇーー!?

どうしろと言うのだ……

しかも、既にイケメンコンテストは始まっている様で、ステージや観客席からは歓声が聞こえて来る

「よう……赤木……帰って来たか……」

グロッキーな静道先輩がシートから声をかけて来て意識が引き戻される

一部のSVTメンバーが集合してシートの上で円陣を描いているようだ

俺も靴を脱いでシートに上がり、円陣に入り込む

「結局……SVTからイケメンコンテストへの参加者は合計で4人だ……」

静道先輩は言う

参加者は、静道先輩と水爪みつま、俺、銀嶺先輩

巡回警備(パトロール)鎌月かまつき葉城はしろ裁凪さいなぎ五十嵐いがらしに任せる……荒威あらいはシートのセキュリティを頼む……」

「僕……こう言うの始めてなんですけど……」

「僕も経験は無いが、エクソシストの力を使えば——」

「はぁ……PRってどうすんだよ……」

それぞれがそれぞれの言葉を発し、ぐだぐだする

今回のコンテストのシステムは、名前を呼ばれるまでは会場の付近のどこかで待機していて、呼ばれてからステージ上に直接現れるシステムらしい

だから呼ばれるまで考える時間はあるのだが、永遠にある訳ではない

……

「裁凪、発煙弾(スモーク)あるか?」

「ん?鞄の中にあるはずだけどどうしたんだ?」

静道先輩は何かを思いついた様で裁凪先輩に声をかける

「あるならくれないか?ちょっと使いたいんだ」

「あぁ、いいぞ」

裁凪先輩が鞄の中から大きな弾丸を取り出して静道先輩に渡す

「赤木、ナイフを貸してくれ」

「あ、はい、どうぞ」

制服のポケットの中に入っているバタフライナイフを渡す

馴れた動きでチャキッとバタフライナイフを開いた静道先輩は……

弾丸の底の部分、火薬と雷管をナイフでかき出している

「何やってるんだ……?」

発煙榴球(スモークグレネード)にしているんだ」

「なんで発煙榴球(スモークグレネード)なんか作るんですか?」

「いや……使おうと思ってな」

静道先輩はスモークグレネードを使う……?

ってこんな事をしている場合ではない

どうするんだ、俺は

特技でも披露すりゃいいのか……?

じゃあ……両手バタフライナイフ高速開閉……

ってそれじゃ駄目だろ

流石に桜祭り会場で武装している事がバレたら怒られる

…………

取り敢えず、プログラムを見よう

時間を見てから……決めれば……

「ってあれ……静道先輩」

「なんだ?赤木」

「先輩、もうすぐですよ」

「は?」

「いや……ここ見てください」

プログラムの上のほうに、静道先輩の胸元のバッジと同じ番号が書いてある

「やべっ、じゃあ俺、行って来るっ!」

「呼ばれてからでもいいのじゃないのか?」

「ちょっと準備が必要なんだ!」

そう言うなり静道先輩走り去って行った

「俺等も、観客席の方から見るか」

「そうだね」

「そうしましょう」

俺たちも一応は参加者なので、いつでも行けるように、また、なんかの参考になるようなネタを見るように観客席へ向かった

と……そこは凄かった

敷き詰められたシートの群れ

イベントが始まり、多くの観光客が陣取り、埋め尽くされていた

既に置かれている長机には三人程の人物が腰掛けて……って!

つ、ツバキの会の会長と……着物の会の会長……で、なんで市長までいるんだよ!

御奈沢(みなざわ)市長、仮にもあなたそれなりに広い地区の市長やってるんだからSPでも雇ってくれないと危ないですからね!?

ともあれ……その三者の腰掛ける長机には『審査員』と書かれた紙が貼られていて、マイクも置いてある

ツバキの会の会長は性格、内面の美、人好きを判断する

着物の会、会長は外見の美だろうか……

市長は何を判断するのかはわからない……

そしてステージの中央には、イケメンがたっている

番号は……2番目か

マイクを持って、スタイリッシュな服を着てステージ上を練り歩いている

これは……静道先輩に匹敵するイケメンだろ……

それでも銀嶺先輩には敵わない程度か……

総合すると、俺とは比べ物にならない程のイケメンだ

彼は最後に一礼するとマイクをステージ脇に立っている冴崎さえざきに渡してステージを降りた

さて、3番目は静道先輩である

「エントリーナンバー3番、静道彰さん、ステージ上へどうぞ」

冴崎が手持ちのバインダーを見てからマイクに声を通す

だが、静道先輩は現れない

「……静道さん。エントリー失格になりますよ」

冴崎の言葉に会場がざわつき……変化は起きた

『遅れてすまない。今から参る』

スピーカーから静道先輩の声が聞こえて、会場が静かになる

そして……

ボウッ!

ステージの真ん中から白煙が上がった

「煙!?」

「じ、事故か!?」

「なにあれ!?燃えているの!?」

観客の人たちは再度ざわつくが、俺にはわかった

「なるほどね……そういうことか」

銀嶺先輩も呟き、コンテストは進む

白煙が風に流されステージの視界が開けたとき、そこには静道先輩がいた

「遅れて申し訳ありません、静道せいどうあきらです」

「「わぁあああああああああああああああ!!」」

発煙榴球(スモークグレネード)で煙を焚いて、そこに現れる

忍者のような演出か

「このような登場で申し訳ありません」

「静道さん、パフォーマンスタイム、開始です」

「わかりましたよ、司会さん」

冴崎の声に応答して、どこから取り出したのかマイクを構えて話し始める

「改めまして、静道彰です、特技は……徒手登攀(ボルダリング)です」

先輩は言うなりマイクの電源を切って、ステージの鉄柱へと走り出した

勢いを殺さずにジャンプして、鉄柱を掴み……

本当に忍者かなにかのような速度で、ステージ上部まで登った

「「おぉー!」」

観客の反応も良さそうだ

ただのマイクパフォーマンスではイケメンに勝つ事はできない

だからマイクパフォーマンスが地味に思えるような強烈な身体能力を披露する作戦にでたのか

嫌々で参加している俺たちでも、やはり、参加している以上は頂点をとりたい、全力を出すべきなのか……

鉄柱で様々なパフォーマンスを繰り広げた先輩は降りて来て、一礼し、拍手の中降壇した

「あれ、ここでスタンバイしていたんですか」

「雨羽先輩?どうしてここに?」

「さっき導君と巡回警備(パトロール)に一緒に行ったからオフなんですよ」

「あぁ、なるほど」

「それにしても……静道君も凄い事しましたね」

「あれじゃ忍者みたいでしょうに……」

事実、静道先輩は忍者のような身体能力をしている

それを活かしたPRはいいものだ……

だが、俺は内心焦っている

実は俺も順番まわって来るまで内容思いつかなかったら徒手登攀(ボルダリング)をしようと思ってたのに

特設ステージの高度を登ったり降りたりするのは俺よりも静道先輩の方が早い、地味になる

どうする……

「続きましてエントリーナンバー4番、水爪(しょう)さん、どうぞ」

次は水爪の番か

「おい、水爪……ってあれ」

「彼は姿を消して向かったらしいね」

銀嶺先輩が言う通り、そこには水爪の姿はなく、ステージに向かったらしい

そして、いつの間にかにステージの上に水爪の姿があった

これもまた静道先輩とは違った意味で面白い登場だ

水爪は冴崎からマイクを受け取り、観客の方向に向かって話し始める

「こ、こんにちはっ……!水爪祥です……!」

緊張しているのか……?

ってか……うん、緊張しているな

「あれじゃ頂点は無理ですかね」

「いや、赤木君、少し見てご覧」

銀嶺先輩に向かって言うと否定され、示された方向を見る

……。

「あの子緊張してる、可愛い……」

「何歳なんだろ……」

「弟にしたい……」

「食べたい……」

…………。

「緊張で人気をとっている……!?」

「水爪君は外見が幼いので、許されるのでしょう」

隣から雨羽先輩の謎の分析

いや……ショタ優遇ずる!

一人内心で愚痴をこぼしまくる

「特技……はっ……!鳥を呼ぶ事……です!」

緊張しながらそう言うなり掌を空に向けて、観客席の方に差し伸ばす水爪

そして、電源が入ったままのマイクから聞こえる、口笛

そこで俺と銀嶺先輩は気付く

「気配……消してるね」

「消えてますね」

「えっ?」

雨羽先輩は気付いていないし、この客席の中で気付いているのは俺たちだけだろうけど

水爪(あいつ)、口笛を吹きつつ自分の気配を消している

気配と言うのは第六感のようなもので、どの感覚でも無い感覚で感じ取る

そしてSVTは任務中常に民間人の気配を気にしているため、距離がある程度あっても水爪の気配が消えた事に気付ける

水爪は気配をゼロに近づけつつ、口笛を吹き続け、変化はきた

それは、名前に由来した和やかなうぐいす色の翼と体をもつ、(うぐいす)

手の上に降り立った鶯に、水爪がマイクを近づける……

ホーホケキョ

「「おぉ……!」」

観客席から声が上がる

「以上です」

水爪が一礼して鶯を宙に放ち、拍手が舞い上がった

……今気付いたけど

俺たちSVTって全員連続でやるのか!

次が銀嶺先輩でその次が俺じゃないかっ

しかも時間が無い……!

こうなりゃ本気でバタフライナイフに……!

「続きましてエントリーナンバー5番、銀嶺静流さん」

拍手が止んでから冴崎が言い、銀嶺先輩が駆け出した

観客の間を駆け抜ける

ステージ直前になって銀嶺先輩は大きく前に向かって飛び込み……

両手を地面について、ロンダート

ロンダートの着地の勢いを殺さずにバク転

ラストに、バク宙をかまして壇上に現れた!

新体操のような技のコンボ、三段跳で登場って……!

なんでうちのメンバーはみんな登場にこだわるの!ってかなんて銀嶺先輩は練習もしないであんな大技しちゃうの!?

観客も拍手喝采のお出迎えだよ!

「こんにちは、銀嶺静流です」

「「キャー」」

「イケメン!」

「背高いわねー」

「知的な顔してるのにあんなにアクロバットな動き……かっこいい」

評価高い!!

銀嶺先輩はマイクを顔に近づける

「特技は、ソロモン72柱の暗唱です。今回は片手逆立ちをした状態でやりたいと思います」

「「えっ……?」」

観客が唖然する中銀嶺先輩は逆立ちを始める

片手でありながら見事なバランス感覚、そしてその状態でマイクを口に近づけて……

「行きます。バアル、アガレス、ウァサゴ、ガミジン、マルバス――」

観客唖然

まるで何をやっているかがわからない様子だ

そもそも、ソロモン72柱を知らないのだろう

ソロモン72柱はソロモン王が封じ込めた72の悪魔を魔術書、レゲメドンにしるしたもの

つまり、超有名悪魔一覧とでも言えばいいのか

厨二病の銀嶺先輩はそれを全て暗記して、完全に読み上げれらしい

しかも、逆立ちした状態でも噛む事も迷う事も無く、PR時間の1分に間に合うように高速で悪魔の名前を暗唱して行く

ひどく不気味で地味だ……

それでいてイケメンヴォイスだから残念さが半端ではない

ホント……イケメンなんだけどな……

「っと、雨羽先輩、次は俺の番なのでステージに行ってきますね」

「はい、頑張って来てください」

俺も、ステージに向かう

今からカッコいい登場をしようにも、徒手登攀(ボルダリング)は奪われたし、気配は消せないし、新体操はできない

普通に登場しよう

PRも致命的……

俺の特技なんか徒手登攀(ボルダリング)しかないし、静道先輩と被るとやっぱり地味だし、先輩も地味になる

やっぱ……バタフライナイフか……

「銀嶺静流さん、ありがとうございました。続きましてエントリーナンバー6番、赤木あかぎしるべさん、お願いします」

呼ばれた!

急いでステージに駆け寄り、普通に階段をのぼる

背後の観客からの視線が集るのを感じつつ、壇上でマイクを受け取る

息を吐きつつ振り返れば、群衆が俺に注目している

「赤木導です、よろしくお願いします」

挨拶と一礼をすると辛うじて拍手が上がってくれた

が……どうする……

奥の手をつかうか……

「特技は——」

俺が左手をポケットに入れようとした時、声が聞こえた

泣き声……?

反射的に声の出所を目で捜し、見つける

ステージを飛び降りて、客席を駆け、見つけた

周りの観客はざわついてるけど、気にしない

「君……迷子なのかな?」

そこにいたのは焦燥感にかられているように泣いている小さな女の子

少女は泣きながら頷いた

「一緒に来て」

少女の手を取って一緒にステージの上に戻る

背をかがめて少女と目線を合わせて会話をする

「君、名前は?」

彩花(あやか)……うぅ……ママぁ……」

「そう、彩花ちゃんだね」

立ち上がり、観客に向かって話す

「迷子のお知らせです、この子、彩花ちゃんの保護者の方はいらっしゃいませんか?」

流石にざわつく観客達

どうにも、SVTの職業柄、困っている人がいると最優先するたちだから許してほしい

自己PRよりも迷子の女の子を助ける方が重要だろう

「彩花!」

観客の中から一人の女性が現れてステージ前までやって来て声を上げる

「ママ!」

彩花ちゃんも近づいて行く

「お兄さん、ありがとうございます!」

「いえいえ……偶然聞こえただけですから」

「ほら、彩花!あなたもありがとうって言いなさい!」

「ありがと……」

「もう迷子にならないように気をつけてね?」

「うん」

親子が去って行き、俺は再度ポケットに手を伸ばすが……

気付いたら拍手が響いていた

「あれ……」

「最近の高校生に足りていない優しい青年だ!素晴らしい!」

大きな通る声でレビューを話すのは御奈沢市長

「精神の美、他人を慮ることを第一に考え、そして行動する。日本男児が本来持つべき心だ!みなさんも拍手を!」

市長が立ち上がりながら言い、観客からも大喝采が響いた

なんだかわからないけど……取り敢えず一礼をして、ステージを去った



このイケメンコンテストはステージに立つ事で高台からの迷子の位置割り出しが簡単になり、結果、素早く保護者を見つける事に繋がった

参加して良かった、と思った


桜祭りは、まだ続く


こんにちはイケメンじゃない永久院悠軌です

桜祭りの小イベントを挟みました

さて、実は今まで僕の頭の中にあって、それでいて一度も書いて来なかったのですが

この桜祭りは深夜の11くらいまで行なわれるイベント、と僕は考えています

つまり、夜桜を見るところまでが僕の脳内での桜祭りです

まだまだ続きますね、はい


そしてこの23話は僕が試験開け始めての投稿ですので、執筆がうまくいかず、長めの話になってしまいました

誤字や文脈が変な箇所もあるとは思いますが、ご容赦ください


これからも強襲ボランティアをよろしくお願いします

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