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⑫ 新しい生き方

それは、豪雪の次の日だった

今年始まって最大の豪雪で、停電すらも起きたあの日の翌日

私が生徒会の放課後の定例会に参加しようと思い、生徒会室に行ってみると、入り口の前に見知った三人組の姿があった

少し話して、生徒会室に入ろうとすると止められ、私は彼の名を呼んだ

相手の名前を呼ぶ事は、相手に強く感情を伝える手段になり得る

だから彼は、私の「通してほしい」気持ちを受けて、通してくれた

それから、生徒会室の中に入ると、私は異様な光景に目を奪われた

何人かの生徒会役員が席に座り、四人の生徒が教室の四隅に陣取り、一人の女子生徒と生徒会副会長が言葉を交わしていた

それはまるで、取り調べか尋問の様な光景で、何が起きているのか理解に苦しんだ

一言、副会長に何が起きているのかを問いたけど、答えは謝罪だけだった

やがて、少し経ってから、クラスメイトの一人に『副会長の悪事』について聞いた

『SVT』を捕縛するために、犯罪を犯した

民間人にも被害が出た。そして、クラスメイトの彼は「それが許せなかったから告発した」という

それが、彼らの仕事だと言う

そこで私は咄嗟に決意した

「『SVT』に入ろう」と

言うべき事を言い終えて帰ろうとしたクラスメイトに声をかけた

静道せいどう君。私を『SVT』に入れてください。」

彼は足を止めてゆっくりと振り返った

その時の顔は真剣なもので、緊張感が伝わって来た

「何故『SVT』に入る?御奈沢みなざわ

やがて彼は、一つの問いを投げかけて来た

私はその問いに対して答える

「自己実現。ボランティアが大好きなあなた達ならその意味が分かるはずです」

「……。歓迎しよう」

彼は一瞬だけ考え、すぐに返事をしてくれた

「ボランティアに目的がある事は本来邪道(じゃどう)だが、自己実現の為にボランティアを行なう人間は少なくない。ボランティアをしようと言う意思のある人間は手伝ってくれる方が社会に貢献する事には役に立つ。これらの理由からお前を『SVT』に所属させる事を認める。」

「あ、ありがとうございます!」

「だが、忘れるなよ。『SVT』の行動目的は社会貢献。自分の事に精一杯になって行動に支障が出るようなら、即座に除隊してもらうからな」

「は、はい!」

厳しくとも冷静で、行動力に満ちあふれ、優しさがあり、責任感もあり、リーダーシップもある

確かに、ついていきたくなるようなリーダーだ

この静道せいどうあきらと言う男はうちの高校でも稀に見る不思議な人間だ

かつて自分たちを駆り立てていた集団、生徒会

そのトップである私を『SVT』に所属させてくれるなんて

「じゃ、明日の朝のホームルーム前、8:00頃に学校の四階、学習準備室前に来い。そこでお前を紹介する」

それだけ言い残して、今度こそ姿を消した静道君に心の中で感謝した。




翌日、言われた通りに学習準備室前に来ていた

中に入れば良いのか、周辺には誰もいなかったので戸惑っていたら、内側から静動君の声が聞こえて来た

やがて「入れ」と聞こえたので咄嗟に「はい」と答えてしまい

退く訳にも行かないので中に入ってみた

そこは物置のように化した多くのガラクタが積まれた部屋だった

奥へと進むと少し開けた空間が見えて、向かってみた

そこにはよく見知った『SVT』のメンバーが驚いたような顔で座っていた

静道君を見ると「自己紹介しろ」と言うような促す視線を送って来たので、自己紹介をした

「2年3組、御奈沢みなざわ雨羽あまはです。今日から『SVT』に入りますのでよろしくお願いします」

「「えぇぇぇええええええ!?」」

絶叫が渦巻いた

凄いリアクションだ……

「武器を納めろ。俺が許可を出した。」

静道君が気だるそうにそう言うと、赤木あかぎ君はいつの間に持っていたのか折りたたみナイフを素早く閉じて隠し、確か……裁凪さいなぎとか言う人も抜いていた拳銃みたいなものをしまってくれた

「静道先輩。良いんですか?御奈沢先輩は生徒会長ですよ?」

赤木君が静道君にそう聞いたのでヒヤッとした

だけど、次の静道君の言葉で安堵する

「生徒会長だろうと関係ない。それだけ意欲が強そうで良いだろ?志望理由は〝自己実現のため〟だそうだ。問題ないだろ?」

全員の顔を見渡しながら聞く静道君に意見する人は居ない

「では、次回訓練……今週末から本格的に参加してもらうが、毎朝のミーティングには顔を出してもらおう。今夜の『深雪除去作戦』には参加してもらわないから。予定通りの作戦で行くぞ」

テンポよく話を進めていく静道先輩を見ていても、やはりリーダーの素質に驚かされる

クラスではいつも荒威君と話しているばかりでよく分からない存在だったので、普段との違いに驚く

確かに、体育の授業なんかで稀に異常な運動神経を見せたり、授業で組んだサッカーのチームを初回とは思えない程まとめあげてたりしたけど……本当に凄い力

「さて、御奈沢」

静道君がひとしきり喋り終えてから唐突にこちらに声をかけて来たので、顔を向ける

「そこの棚の一番上を見てくれ」

と、言われたので、指を指している先にある入り口から見て壁のようになっている棚の一つの一番上を見る

ガラスの入った横引き扉のその棚の中には大きな横向きの布地がある

白の布に書かれた文字は『All For All』聞き慣れない言葉だが、意味は伝わる

「仲間を大切に、それが『SVT』のメンバーのルールだ。違反は許せない。俺たちは社会貢献をする事も重要だが、仲間のことを考える事が一番重要だ。それをわかった上で活動してくれ」

自分の事よりも社会貢献が重要で、社会貢献よりも仲間を思う事が重要

それがここで活動するときの重要事項

その環境の中で真心を込めたボランティアを行なう彼らは、本当に社会を愛している




私も学ばなければならない

この心が強く。素晴らしい正義のボランティア達とともに

本当の私

新しい私を探す

たとえ見つからなくても、探し続けると決意した

自分がどうあるべきか

これから迎える春に、私は何を学ぶだろう







どうも、永久院悠軌とか言う精霊です

今回は本来、時間軸的に冬のラストのお話ですが、過去編として持ってきました

会長の新しい決意

『SVT』として生きる事にした御奈沢先輩のお話でした


次回予告

いつもとは違うミーティング

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