9 男の子がいること
暗がりの部屋の中、そよいは目を覚ました。
就寝した時間は深夜の一時ごろ。夕方ごろに二時間ほど寝てしまったせいか、早くからベッドに入っていようが眠ることができてないでいた。
もしかしてとスマホを手に取れば、お察しの通りの時間帯。真隣りにあるカーテンを開ければ太陽は昇っており、午前八時頃といつもの起床時間より遅めであった。
寒いからもう少し蹲っていたい。落ち着く体勢を解放したくはないが、バッと起き上がればベッドから抜け出すことができる。
髪がボサボサ、寝起きの薄っすらとしか開かない目。眼鏡はと、ケースから取り出せば視界は少し良好になり、大きく伸びをした。
少しボーっとするかのように周りを見ては再度思う。泊っているのだと。
見慣れないクローゼットの位置に、小さな机と座椅子。違和感のある空いた空間に、セミダブルのベッド。カーテンの位置も違えば、ブラウン管テレビにノートパソコンも置いてある。
これはこれで好きかも知れないとそよいは比較する。あまり人気のなさそうな自身の部屋と比べれば。
部屋を出れば一階は閑散としていた。
誰もいないのだろうか。リビングの奥、茅島家の寝室へと目を向けるもドアは閉まっていては、電気が付いている様子も窺えない。端におかれたケージにはモモがおらず、散歩にでも行ったのか。
まずは髪と顔、そう思えば洗面所へと向かう。
「おはよう──えっ!?」
洗面所の扉を横にスライドさせると、鉢合わせするかのように、目の前に綾人がいてはのけ反ってしまい、後ろの壁に後頭部をぶつけてしまう。
(…………)
そよいは完全に忘れていた。この家に、同年代の男の子が居ることに。
髪がボサボサ、むくんでいるだろう顔、開いていない目。それ等を考えれば、顔は必然的に隠さなければならない。
毎日こんなのことになってしまうのか。慣れの問題だろうがもう少し考えるべきであった。綾人の存在を軽視しすぎていた、流石に無理、無理だ、無理すぎる、そよいの頭の中は羞恥で満たされては、あの頃のどうでもいいとは違い、現実では縮こまってしまう。
「……おはよう」
隠した顔は向けず、三角座りをして丸まっていれば、挨拶だけは返しておく。
小さな声でも彼に届いていれば、クスクスと笑い声が聞こえてきては、より体を丸めていた。
「大丈夫?」そんな声を耳にするも、そよいは小さく頷くだけであった。
「朝ごはん上で用意してるから。あと、さっきヘアアイロン使い終わったから気を付けて。別に使ってもいいから」
彼がしっかりと二階に行く姿を盗み見れば立ち上がる。
洗面所には彼の言っていたとおり、ヘアアイロンが置かれていては、寝癖直しに有難く使わせてもらうことに。
顔を洗い、保湿し、日焼け止めを塗っては、寝癖を直していく。
鏡に映る自身の姿は頬が赤く染まっている。電球色による温かみのある空間になっているはずなのに、目に見えてわかるほど顔は赤い。落ち着くように息を吐いても、変わることはなかった。
ジト目を向ける自身に問いかける言葉は、バカですか、と、動揺しすぎとも投げかける。
──笑うな──
そう誰かもわからない心の声が突如として突き刺さると、鏡に映る自分自身に嫌悪感を抱く。
視線を逸らせば、一度部屋に戻って着替えを済ませていた。




