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「海神の唄」  ~Takaの唄~  作者: Taka多可
6/9

4>機械、故に純粋で。-1

多可谷はあたしが泣き止んで落ち着くまでずっとあたしの肩をさすってくれていたらしい。

全く覚えていなかったのが余計に情けなくて…



「途中まで送っていくよ、もうだいぶ遅くなっちゃったしね。」


靴を履くのにやたら手間取っている多可谷を手伝いながら…

あたしはさっきの光景を真剣に考えていた。



本当に人形の様だった。

男でも女でもない。

胸は真ッ平で、ムネも無い。

たしかお父さんにだって…お母さんほど大きく無かったけどちゃんと…あった。



どうして…?

多可谷は本当に人間じゃ無いっていうの…?

そんなの……




急に恐くなって来た。

体中を冷たい風が流れていくみたいに寒い。


「多可谷…」

「何?」

「ごめんね……」

「どうして海神が謝るのさ?だめだよ。悪いことなんてしてないのに、何でもかんでも謝って片付けようなんて考えちゃ。そうだろ?」


あたしは無言で頷いた。

でも…確かにそうだけど…謝る以外の方法が見つからない。

多可谷は一度謝ったから、しつこく何度もペコペコはしない_____

そう言って、昨日までの多可谷らしい笑顔に戻った。


いつまでも、うだうだしていちゃいけないのはわかるけど…






そんなこんなで


多可谷に腕を引っ張られながら玄関から出て、階段を降り、アパートの玄関アーチを抜けた。



「「見っけ!」」

「!?」

「な、何?」


突然男の人が二人、あたしたちの前に飛び出して来た。

あたしをかばうように多可谷が立ちはだかる。



「何です、あなたたちは…」


二人とも茶髪、色違いで揃いの眼鏡をしている。

双子なのか そっくりだ。


「(海神、逃げてっ)」

「(バカ言わないでよ、あんた足悪い癖に格好つけてどうする気さ!)」


あたしたちは男二人をほったらかしにして 小声で喧嘩していた。


「…丸聞こえだぞ(汗;」

「…まぁ、子供ですからねぇ。」

「「~~~~ッ(汗;」」



「兎に角。Girl、あなたは離れていたほうがいいですよ。巻き添えになりたいのでしたら何も言いませんがね。」

「俺達が用あるのはお前にだけだからな、ボーズ。」

「! 自分…ですか?」

「多可谷ッ 駄目!」


あたしは多可谷の腕を引っ張った。


「あっち行ってよ!大声出すよっ この…変態!ゆーかい犯!!あたし知ってるもんっ!最近 子供さらって変な事して殺しちゃう変態がいるの、ニュースでみたもん!」

「わゎ、海神…;」



「大丈夫、何も僕たちはそんな変態趣味はありませんよ。彼を必要としている方の所へ連れていくだけですから。」

「お前の[創造主]のお使いが、お前を探してくれと 俺達に依頼してきたんでね。俺達はそれに従うだけだ。」


結局 誘拐するんじゃないか! と、怒鳴ろうとしたが……

ものすごい違和感を感じ、踏み止まった。


「[創造主]……?」


ふと横を見ると…多可谷が何かに怯えるように、がたがたと震えていた。


「ぅ…あ……」

「多可谷 しっかりして!!どうしたの?大丈夫?」

「…わかんない……でも、なんか…すごく…恐い………!」


「詳しい事を知りたければついてきなさい。こんなところで大騒ぎでも起こしたら面倒ですよ。」



「多可谷…絶対駄目だよ!あんなこと言って…殺されちゃうよ、ついていっちゃ駄目!!」


あたしは歩き出そうとした多可谷の肩を必死に抱き留めた。

でも…


「…確かに…不気味だし不安要素は多すぎる。でも、なにか自分の事がわかるのなら…知りたい。わかってくれなんて言えない。理解できるはずが無いからね…」


多可谷はあたしの腕を振りほどいて、男達の後を追った。



「……ッ あ、あたしも行く!!」







あたしと多可谷が二人の男の後を追って、たどり着いたのは…今はもう使われていないカニの加工工場。


「さぁ、言われた通りについてきた。教えてくれるんでしょう?自分の事……」


多可谷の肩はまだかすかに震えている。


「……多可谷ぃ…」

「………」


多可谷は無言で二人組を見つめている。

あたしはその多可谷のダウンジャケットの袖をしっかりと握って・・・・


男のたちは淡々と語り始めた。


「我々に貴方の捜索を依頼しに来たのは、ロボットでした。多分、以来主が創造 主ですね。」

「そして、お前もその人が造ったロボットなんだよ。」


「………はあっ?!」

「ぇ…っ」


あまりにもサラッと言われて、しばらく固まってしまった。


ロボット…!?

まさか そんな…


「俺達が知っている範囲だと…人間の皮膚とか骨や内臓なんかの細胞を異常増殖させて、さらに遺伝子配列の破壊と復刻を繰り返して…金属と組み立てて『人間』の形をした…本当の意味での 『人形(ロボット)』を造る技術があるらしい。

たしか、『ヒューマドール(人造人型人形)』っていったかな。そのプロトタイプの一部がテメーだ。」

「科学は爆発的に進歩する。今では寿命は短いが生きた人形(奴隷)として裏世界で取引できるほどになったらしい。」


「そん…な……」

「んなわけないじゃない!!命はみんなお父さんとお母さんから生まれて来るんだよっ そんなビーカーとか実験器具の中から生まれてくるわけがないじゃない!!」


あたしは必死に反撃した。

多可谷の顔が真っ青になっている。


ありえない。

多可谷は人間だ。

だって 多可谷には『心』があるもの。


ミトメタクナイ


「信用してないな…そうだ。事前に調べていたんだが、プロトタイプには生殖機能が全く無いんだったな。…おまえ、そうだろ?」


「「!?」」


どさっ!


多可谷はもう立っている事すら出来なくなってしまった。

ひざをついて…震えている。


「たっ多可谷!しっかりして……ッ!」


男の一人が、あたしをよかして多可谷の胸倉を掴んで引きずり起こす。


「いいかげん大人しく捕まれ。手間かかるのは一番嫌いなんだよ。」


男は左手に なにかの機械を掴んでいる。

咄嗟にそれが危険なものである事を理解した。


「たかたにぃいい!!!」

「レイ!よしなさい!!」

「ぅわッ!?」


どかっ!



バチバチバチッ ビリリッ!!


「…………………!!」



すざっ……


ガシャーンッバチバチッ……





体が動かない


目の前は真っ暗


何かが弾けたような気がして


何も感じなくなった

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