意識
そして私は目覚める。
白い白いその空間に。
そしてあなたも目覚める。
白亜のその牢獄に。
「ついに……ここまで……」
「あぁ、僕達とシエル達、そしてイル……この三組以外の人類は死滅した。管理の意味を成さなくなったエゴの世界が自壊して、強制起床させられたんだ」
あなたはハイパーエゴの世界でも、存在出来ている。
それが何故だか分からなかったが、今はどうでも良かった。
とにかく、この夢を終わらせなければならない。
「……行こう、僕達の悪夢を、終わらせに」
「……うん」
私とルイズは手を繋ぎ、そして部屋から出た。
白い白い私の寝室が、遠ざかっていく。
どこまでも続く、迷路のように入り組んだ世界、夢想のIL''臓。
一面が白一色のこの世界は幾何学的な形状をしており、変形と変化を繰り返し続ける。
自分達が立つ通路は空中に浮遊しており、その周りにも奇妙な形をした白い物体が同じように浮遊している。
その異次元の神を祀る神殿のような空間は一種の得体の知れない神々しさをも感じられた。
空中に浮遊していた白いブロックから、武装した黒い人型のロボットが進路を妨げるように複数体飛び降りてくる。
背後にもそれらは現れ、こちらに銃器を向けてきた。
『発見、排除、排除』
私と貴方は背中合わせに刀を構える。
頷き合うと同時にロボットに切りかかった。
飛んでくる銃弾を弾き飛ばし、ロボットを切り裂く。
真っ二つになったロボットは倒れてそのまま通路から落下し、どこかへと落ちていった。
他の個体も同じように排除し、進路の妨げを消していく。
「やぁっ!」
『排除、ハ、イ……ジ……』
あなたが最後の一体の首を斬り飛ばすと、残った胴体を蹴り、通路の外へと落とした。
刀を鞘に納めると再び手を繋ぎ、道を行く。
さっきまで通っていた道もまた変化により無くなっており、もう引き返す事は出来ないと、私達に知らしめる。
常に変形を繰り返す、白だけの幾何学的物体の集まり。
真面にその光景を眺めれば、精神的にも負荷がかかり、正気ではいられなくなりそうだ。
前に進んでいるはずなのに、気付けばさっきまで歩いていた道が遥下にあったり、階段を上っているはずなのに、どんどん下へ下っていたり。
視覚から入り脳に伝達する情報とは起きている現象が異なり、頭が混乱する。
「はは、地図が欲しいくらいだね……これじゃあ、目的地がどこなのかも分からない」
あなたは冗談を言ったようだが、冗談抜きに確かにそうだと思った。
だが常に変化が繰り返されるこの空間において地図が意味を成すのかも些か分からないし、この何処を歩けば何処へ向かっているのかも検討が付かないこの空間において、その地図が果たして私達に理解できるかも分からない。
到底望み薄なため、私達はとりあえず先に進む事だけに専念した。
やがて進んでいくと、上へ上へと続いていく、長い長い一直線の階段が現れた。
そしてその階段の先には、大きな門が見える。
「……行こう」
「うん」
私とあなたは手を繋ぎ、歩幅を合わせて一緒に上へと昇って行った。
目覚めの時が、刻一刻と訪れる。




